狭心症と心筋梗塞

方針イメージ

 糖尿病、高血圧、高脂血症といった生活習慣病により、狭心症や心筋梗塞が増えています。この疾患は、心臓が元気に働けるための栄養源を血液と一緒に供給するパイプの役目をする直径3mm程度の冠動脈という血管の内腔がコレステロールを中心とした塊(プラーク)が詰まってくる病気なのです。特に覚醒して間もない朝の出勤時の駅や職場の階段や坂道を上った時などに、数分間突然胸部や頸部の締めつけられる様な痛みを感じ、立ち止まって安静にすると間もなく症状が改善するものが典型的な狭心症です。これが進行し、突然血管が完全に詰まってしまう病気が心筋梗塞です。狭心症はあくまでも数分間の発作ですので、心臓そのものにはダメージはありませんが、心筋梗塞となると冠動脈が完全に詰まってしまうので、大半は七転八倒する苦しさで救急車を呼ぶことになります。冠動脈の詰まる部位によりそのダメージの大きさは異なりますが、平均1/4~1/3の心臓は壊死して元に戻りません。冠動脈の付根が詰まってしまうと数分以内に死亡してしまうこともある、恐ろしい病気です。


心房細動

  •  心房細動は、元来 心臓弁膜症(僧帽弁逆流症や狭窄症)により左心房に負荷が掛って起こる場合と、心機能には殆ど問題がないにも関わらず、加齢により起こり得る不整脈です。はじめの頃は、突然発作的に数分程度起こって自然に改善しますが、これを繰り返しているうちに慢性化していく例が多くあります。自覚症状が殆どなく、偶然健診などで見つかることも多いのが特徴です。心房が不規則に細かく動くため、心房内に血の塊(血栓)が形成され、それが脳の血管に流れて行き、突然脳梗塞を引き起こすことが少なくありません。特に、糖尿病や高血圧に罹患されている心房細動を有する高齢者の方は高い危険性を有します。脳梗塞の原因の約30%を占めていると言われています。治療は年齢により多少は異なりますが、脈が速くなりやすく(動悸)、血栓ができやすくなりますので、その予防薬を永続的に服用するのが一般的ですが、カテーテルアブレーションといって心臓内の原因となる心房細動の基地を電気を通して焼き切ってしまう根治術があります。

心臓弁膜症

  • 家の部屋と部屋の間に扉があるように、心臓にも4つの部屋(2心房、2心室)とそれらに接する2つの血管との間に合計4つの扉に相当する弁があります。扉の開きが悪くなったり、閉じが悪くなったりするように、弁も開きが悪くなる狭窄症と、閉じが悪くなる閉鎖不全症(逆流症)があります。軽度~中等度の程度では、内科的に投薬などで治療をしますが、重症になると弁形成術や人工弁置換術など心臓外科による手術が必要になります。
  • 1)大動脈弁(大動脈と左心室の境);大動脈弁狭窄、閉鎖不全(逆流)
  • 2)僧帽弁(左心室と左心房の境);僧帽弁狭窄、閉鎖不全(逆流)
  • 3)肺動脈弁(肺動脈と右心室の境);肺動脈弁狭窄、閉鎖不全(逆流)
  • 4)三尖弁(右心室と右心房の境);三尖弁狭窄、三尖弁閉鎖不全(逆流)

閉塞性動脈硬化症

  • 下肢の血管(動脈)の内腔にコレステロールや血栓がこびりつき、血管内腔が狭くなったり、詰まったりする疾患です。高血圧、糖尿病、高脂血症、喫煙などで起こりやすく、200Mほど歩くと足の先や下腿部(ふくらはぎ)が痛くなったり冷感や痺れを感じたりするようになり、安静にて間もなく改善します。症状がさらに進むと、安静時にも痛みや痺れを感じるようになり、最悪の場合は足先から壊疽に進行します。

循環器の検査

  • 心電図
  • 胸部レントゲン
  • 心臓超音波(エコー)
  • ホルター心電図
  • 運動負荷心電図(トレッドミル)
  • 下肢血流測定(ABI)
  • 冠動脈CT
  • 心臓カテーテル(冠動脈造影)

    * 青字は当院で行っている検査

    (心臓カテーテル検査は 2017.12をもって院内では終了致しました。)