2024.4.1 『 紅麴 』 機能表示食品で死亡!

遂に出てしまったのか、日本版 『 トリプトファン事件 』。このブログの 2022 年 12 月 29 日および 31 日の記事『 健康食品・・・科学的根拠が要らない 』 と 『 トリプトファン事件 』を参考にして欲しい。今回、恐ろしいのは健康補助食品(いわゆるサプリメント)でなく、機能表示食品であるということである。表向きにはサプリメントよりも格が上の信頼性のありそうな印象を得るが、私も知らなかったが、販売側の自己申告で国の審査もなく了承されてしまうということである。この小林製薬、次から次へとウサン臭い商品を面白おかしくネーミングを付けて売りさばいている。てっきり厚労省の天下りが山ほどいて、簡単に承認されているのかと勝手に理解していたが、どうも国の承認の仕方に問題があったようである。医薬品としても 『 ナイシトール 』 と名付けて内臓脂肪が減少するなどと売っているが、これは 『 防風通聖散 』 という昔からある漢方薬に添加物を加えて売っているだけで、一昔前、『 防風通聖散 』 がやせ薬として週刊誌を騒がせたことがあり、結局それは効果なしと結論づけられた。また、足の痙攣(こむらがえり)を抑える医薬品として 『 コムレケア 』 というネーミングで売っている商品があるが、これも昔からある 『 芍薬甘草湯 』 という漢方薬に何らかの添加物を加えて売っている。この芍薬甘草湯はこむら返りに非常に良く効く漢方薬で、当院を含め日常よく医療現場では処方される。咳、痰の切れを良くする薬として 『 ダスモック 』 という商品も、漢方薬の 『 清肺湯 』 に添加物を加えて売っているだけ。これはあまり効かない。一般の人なら、この会社は次から次に凄い薬を作り出しているんだな~と感心し、過剰評価をしてきているに違いない。製薬業を愚弄するようなこのような商売の仕方がまかり通っていることに、何か制限を掛けるべきと常に思っていた。先月も、診察中に S さんとこれらの商品について話したことがあった。そこにきて今回の事件である。今、この商品のどこに問題があるかと精査中のようであるが、医者の立場からすれば、疾患をサプリなどの食品で治療しようなどと考えるのは大きな間違いであると考える。血液をさらさらにして脳梗塞や心筋梗塞を予防しようと 『 ナットウキナーゼ 』 を服用している人も多いようだが、ナットウキナーゼの作用機序では、これらの疾患の予防には全く意味がない。素人同士の浅い知識で予防、治療できるものではないことを認識するべきである。


 

2024.1.26 最近目立つ B to B テレビCM

前回のブログにも記したように、最近は横文字による略語が増えてきた。文化や経済などの国際化が進むが故に、仕方のないことかもしれない。しかしながら、無理に横文字を使ったり、カタカナで表記したりするのには、時として大きな疑問を感じる時がある。本来の意味をはき違えて拡散されていることが多く、無理せずもっと日本語を大事にすればいいのにと感じる。最近、青少年が咳止め薬を大量に服用し、意識が低下するような状態を 『 オーバードーズをする行為 』 と言っている。医学用語でもあるが、ドーズ( dose ) とは服用量を意味し、それがオーバー( over ) である.。則ち『 オーバードーズ = 過剰服用量 』 のことであって、意識が低下するような意味合いは全く含まれない。正確に表現するなら、『 オーバードーズを摂取することによって意識が低下した 』 が正しい。また、SDGs (エス・ディー・ジーズ)という用語を良く耳にするが、もはや不快音となって鬱陶しい。『 持続可能な開発目標 』 を意味するが、何のことか全く解らない。調べてみると、17 の目標を掲げられ、 2030 年迄に達成しようということらしく、『 貧困をなくそう、飢餓をゼロにしよう、全ての人に健康と福祉を、質の高い教育をみんなに、ジェンダー平等を実現しよう、エネルギーをみんなに、そしてクリーンに・・・ 』 など、要するに国際社会が貧困な後進国を無視せず、皆で協力していい社会を 2030 年迄に達成しましょうという目標のようである。当たり前といえば当たり前のことをわざわざ国際会議で提案されたようである。しかし、日本社会では SDGs という内容、意味をはき違えて使っていることが多い。唯、もったいないことは止めて節約しましょうというだけの理解になっているようで、これなら、わざわざ SDGs という用語を使うことなく、『 無駄をなくし節約しましょう!』 でいいのである。馬鹿馬鹿しい略語に翻弄され、踊らされている私を含む英語のできない日本人の哀れな姿である。何の知識も無く、薄学の芸能人が公共の電波を使って騒ぐものだから、コロナの時もそうであったが日本国民はおかしな方向を向いてしまっている。未だに、コロナワクチンを接種しているわけだから。
 さて、引き続いて本題に入るが、最近の TV 番組は非常に面白くないものが多い。薄学芸能人が何の知識もなく情報番組で偉そうにコメントしてみたり、お笑い芸人が自分たちでガヤガヤ騒ぎ立てて楽しんでいるところを番組にしたり、どうでもいいクイズを当てては自慢したりと出演者達の学芸会をわざわざお茶の間で見させられているようなものばかりである。しかるに、日の丸を背負って戦うスポーツ番組が非常に高価に思え、必死で観戦しようと視聴率が上がるのも無理はない。そこで気になるのが、テレビ視聴の中での CM がやたらと意味不明なものが増えてきていることである。皆さんはお気付きであろうか。いわゆる B to B 企業の CM なのである。B to B とは Business to Business の略で、企業が企業に対して行う事業を意味し、これに対し、企業が個人に対しての商取引を B to C ( Business to Customer ) という。これまた、横文字を使った略語表現である。これまでのテレビ CM といえば、お菓子であったり、洋服であったり、化粧品であったりと個人に対する衣食住的なものが中心であったが、最近のテレビ CM には企業から企業に対するアピールを目的とした B to B CM が増えてきた。例えば、ビズリーチ( 人材派遣 )、AGC ( 素材の会社 )、SCSK ( IT サービス )、SKY ( 業務系システム開発 )などが有名だが、どれも個人にアピールする CM でなく、関連性のある他企業への特に担当者へのアピールである。これまでは企業訪問などで担当者が担当者へ挨拶、宣伝をしていたが、効果的でなく、テレビ CM にすれば、多くの関連企業の人間にアポもなく一度に何度でもアピールでき、かつ世間一般にも会社の知名度が上がるという大きなメリットがある。これも企業戦略によるアイデアなのであろうが、なんだかテレビの意味合いが変わっていくことに抵抗を感じる。B to B CM 益々増えていくものと思われる。


2024.1.1 2024年のスタート

新年明けましておめでとうございます。只々月を跨ぐだけなのに、年が変わると世間は大騒動です。しかし、時が過ぎ行くのは早過ぎますね。兎に角、一週間が早過ぎる。当然一ヶ月が早く経ってしまう。人間が気付かないうちに地球の回転速度が変わって一日24時間が実は12時間ぐらいになっているのではと考えたくなる。全てが神の仕業で科学でも気付かないような変化が起こっているのではと疑いたくなる。2019 年の年末から始まった新型コロナ騒動が何もかもおかしくしてしまったのもその要因の一つなのかもしれない。新年早々、能登半島が震源地と思われる大きな地震が起こってしまった。5 Mほどの大きな津波が押し寄せてくるとの警報が出されている。被災地の方々には大変気の毒な災害であるが、元日からこの出来事では、今年も前途多難な一年になると覚悟したスタートである。今、このブログを書いている時点では詳細は不明なのでこれ以上のことは控えるとする。
さて、今年はどんな年にしたいものかと考えてみるが、特に何も浮かばない。仕事柄、多くの患者さんの疾患が、上手くコントロールできるようにと努力しつつ祈るばかりである。高血圧、高脂血症、糖尿病など生活習慣や加齢によるこれらの疾患は比較的治療も容易であるが、治癒できるわけではない。如何に自己管理と薬を上手く調節しつつコントロールし、脳や心臓などの合併症を防ぐかである。自己管理だけに頼っても疾患のコントロールはできないし、薬だけに頼っても同じである。当院には他院に比べて多くの慢性心不全の患者さんがおられる。よく聞かれるが、『 心不全って、どんな病気ですか? 』と。心不全は病気(病名)ではありません。字の如く、心臓の状態が完全ではない状態を意味する用語である。要するに慢性心不全とは慢性的に心臓が悪い(正常ではない)というだけのことなのである。では、その心臓が悪い原因は? というところが病名になる。それが、心筋梗塞によるものであったり、弁膜症(僧帽弁や大動脈弁の逆流症、狭窄症など)や心筋症(拡張型心筋症や肥大型心筋症)であったりで、これらが原因で心臓が慢性的に悪くなっていく(慢性心不全)。この慢性心不全は、経年的に確実に悪化して行くのだが、先ほど記したように自己管理と薬の調節でできるだけ進行を遅らせようとするのが我々が行っている医療(治療)である。開業して 20 年以上経過するが、この間、凄く良い薬が次々と創り出され、新しい治療法が生まれてきている。20 年前の知識(医療)では疾患を持った患者さんに最良の治療を反映してあげることができない。我々も日々勉強である。診察中に多くの患者さんから『 先生、いつまでも元気で私たちを診察してくださいね!』なんて暖かい言葉を頂くが、自分の中では、年々きつくなってきた体力の限界か、知識の習得ができなくなる(勉強できなくなる)時が引退と思っている。80 歳、90 歳と高齢でありながら診療をされている大先輩の先生方には頭がさがるが、中には、十分かつ新鮮な知識を取り入れられず、首をかしげてしまうような処方もよく拝見する。責任重大な仕事だけに、患者さんとの信頼関係も重要である。今年も宜しくお願いします。


2023.12.7 ダイアベティス

世間一般同様に医学界でも馴染んでいた呼称が変更されることが目立つようになってきた。痴呆症が認知症、高脂血症が脂質異常症、慢性腎機能障害が慢性腎臓病など。最近では糖尿病の呼び名をダイアベティスに変更しようという案が日本糖尿病協会がら先日発表された。糖尿病は英語では diabetes mellitus(ダイアビティース メリタス)となるが、医療現場ではその頭文字を取って DM(ディーエム)と呼ぶのが一般的である。確かに糖尿病とは如何にも尿に糖が出てくる病気と思われがちであり、間違いではないが、糖が出ない糖尿病などよくあることである。私は予てから、糖尿病という呼び方には納得しておらず、診察室ではよく患者さんに『 全身性動脈硬化症 』という病態であると説明している。脳動脈がガタガタになりそのうち詰まってしまう脳梗塞、冠動脈がガタガタになって詰まってしまう心筋梗塞、目の血管が詰まってしまう網膜症、腎動脈が詰まってしまい腎不全に陥り慢性透析に移行、下肢の動脈がガタガタになり詰まる閉塞性動脈硬化症などなど、血糖のコントロールを怠ると全身の動脈の内腔はどんどん狭くなり、カチカチ(石灰化)になり(動脈が硬化する)、やがて詰まって(閉塞して)しまう。しかしながら今となって糖尿病の呼称変更として英語用語をカタカナ表記にするなど昭和の英語教育みたいなセンスのない変更には頭をかしげたくなる。どうせ、糖尿病協会の古臭い幹部が提案したことであろうと予測できる。また、高脂血症が脂質異常症に変更された(高脂血症も併用可)ことにも納得いかない。コレステロールや中性脂肪を脂質というが、共に高値であることが問題(動脈硬化の大きな原因)であって、低値であることは何の問題もない。脂質異常症にしてしまえば、脂質の低値も問題であるかのような誤解を招く。にも拘わらず、高血圧は変更せずそのまま。高脂血症が脂質異常症なら、高血圧は血圧異常症だろうと反論したくなる。全く、どこの権力者が自己を誇張しようとしているのかバカバカしい。 余談になるが、医学で使う略語が一般社会で使われる略語と同じものがいくつかあるので紹介する。日本の力を世界に知らしめた野球大会 WBC は医学では白血球( white blood cell )、最優秀選手である MVP は心臓弁膜症の一つである僧帽弁逸脱症( mitral valve prolapse )、チャットGPT は肝機能の指標の一つである GPT( glutamic-pyruvic transaminase )、音楽グループの AAA は医学では腹部大動脈瘤( abdominal aortic aneurysm )、教育現場での PTA は医学では下肢動脈などの末梢血管のバルーンやステント治療( percutaneous transluminal angioplasty )となる。まだまだ沢山ある。略語も本来の意味を知った上で使いたいものである。


2023.11.12 騒がしい世の中 ― ゴルフでストレス発散!

早いもので今年も残すところ 1 ヶ月半ほどとなってきた。11 月なのに暖かい(暑い)といっていたら、昨日、今日は 12 月並みの寒さ。春以来、初めて寒いと感じた。コロナが再度大流行したかと思えば、嬉しそうにマスコミ報道は息を吹き返したかのように騒ぎ立て、今度はインフルエンザが大流行となると同じように騒ぎ立てる。コロナは減少傾向にあるものの、まだ流行しているというのにその話題は全くなしである。それに流され、視聴者はコロナは落ち着いたと勘違いしている。重症化することのないオミクロンコロナやインフルエンザを 3 年前の新型コロナの出現の時(重症化しやすかった)のように報道するバカバカしいマスコミと、真に受けて大騒ぎしている多数の国民には、もうブレーキをかけることもできない状況にきている。新型コロナが出現する前、毎年のように風邪をひいたりインフルエンザに罹ったりとしてきた我々は、そのことを忘れて風邪をひくのも恐れているという有様である。物事を自分で考えず、人任せの人間がこんなに多いのかと呆れかえり、怒りにも似た感覚である。『 7 回目のコロナワクチンを予約しています 』 とか『 既に接種しました 』という患者さんからの発言には、『 そうですか 』としか言いようがない。『 7 回目のワクチン接種はどうすればいいですか 』と聞かれることもあるが、このような人には何をアドバイスしても、結局は 7 回目のワクチン接種を受けるので、『 どちらでもいいんじゃないですか 』と答えるようにしている。以前のブログにも記したが、すり込み現象によりコロナワクチン接種の効果はほとんどなく、メリットはないと判断するべきである。短い間隔で同じようなワクチンを繰り返し接種すれば、医学的には人体の免疫に負荷をかけ悪影響(免疫力低下)につながると考えられている。しかし、このようなワクチン接種は世界的に未曾有の経験であり、この免疫力低下がどの程度持続するのか、あるいはこの先数年続くのか、数年先に更に悪化してくるのかということは誰にも知る由もない。免疫力が低下すれば様々な感染症に罹りやすくなったり、ガンなどの悪性疾患に罹りやすくなるわけであるが、今の時点では断言できるわけでもなく、誰にもわからない。数年 ~ 10 年ほど先に何らかの傾向が見えてくるかもしれない(当然、何も起こらないことも十分あり得る)。

 さて私事、今年もストレス発散にゴルフに励んできたが、慢性の首痛や肩痛、腰痛に悩まされながら頑張ってきた。長時間椅子に座り、前かがみになって血圧を測ったり、聴診をしたり、心エコーをしたりと姿勢の悪さが影響しているのは自覚しているが、こればかりは職業病としか言いようがない。ゴルフをされる人ならお分かりであろうが、パットの時にカップからボールのラインを左右に首を回して読むのであるが、少し回すだけでも首には激痛が走り、十分ラインを確認することができない。私は現在、北六甲カントリー倶楽部をホームコースにしているが、2 年前に倶楽部競技で知り合った Y さんとその友人達とラウンドすることが多くなってきた。この Y さんは私より 8 つ歳は若いのだが、ゴルフを一緒に回る上では非常に心地よい人で、かつ腕前はプロ級のハンディ 1 である( 私は ハンディ 9 )。私にとっては、ゴルフの神様の様な人で、私の下手なショットやミスにも温かい言葉をかけて下さり、時々アドバイスを頂きながらラウンドしている。1 年少し前に 30 ~ 50 cm の超ショートパットが全く打てない パターイップス になり悩んでいた時にも、同じ悩みを経験したという Y さんに中尺パターを勧められ、Yさんの愛用されていた 1 本を譲り受けた。そのお蔭か、今年は倶楽部競技で 2 回 Best 10 に入り、1 回は 3 位になった。今年のハイスコアーは何年振りかの自己タイ記録の 76( 37 / 39 )を出すことができ、80 以下も 5 回出すことができた。当然、調子悪い時もあり、諦めず投げ出さないゴルフのご指導も頂いている。ゴルフって、思い通りにならないことの方が多く、なのでまた行こうと思うのでしょうね。


2023.9.19 なぜ、高等学校の授業料無償化

診察中、ブログを愛読していただいている何人もの患者さんからそろそろ新しい記事を書いて欲しいとの依頼がある。今、充電中などと返事はするが、相変わらず世間に立腹することがテーマになってしまう。それでもいいとの後押しを頂いて、久しぶりに記事を書いてみようと思い、まずは高等学校授業料の無償化について私見を記してみた。こういった記事は反論したくなる人も多いであろうからお許し頂きたい。
世帯年収の上限を撤廃し、全世帯の生徒が無償で高校に通学できるというシステム。なんだか大阪が初めての試みと得意がっている吉村知事。戦略会議では 「大阪の子供たちが所得や家庭の状況に左右されず、自分の可能性を追求できる社会を目指すべきだ。その大きな第一歩を踏み出せた」 と意気込んているようだ。
現行制度では世帯年収が 590 万円以下の子供は実質無料で高校に通うことができている。
そもそも現行制度が出来上がった理由として、高等学校に行きたくても親の年収が低い子供は授業料を払うことができず、平等に教育を受けることができないという理由で立ち上がったシステムのようである。恐らく現実的には、志望した府立高校の受験失敗で滑り止めとした私立高校に入学する例が低所得世帯の場合の救済適応になるのではないだろうか。そういう家庭を救済する政策なのであろう。ならば、なぜ高所得世帯まで無償化にする必要があるのか非常に矛盾している。百歩譲って現行制度なら、知事の言い分も否定はしないが、親の所得が理由で平等な教育が受けられないというなら、高所得家庭を無償化にする必要はない。では、なぜ新制度にしようとしているのか。政治家とは自分が人気を得、自分の政党が人気を得ることを最優先に考え、その手段として国民、府民から集めた多大な税金を美辞麗句を並べて自分たちのために利用しているのである。今、参政権は 18 歳以上になった。これまでの選挙では、高齢者の投票率が圧倒的に高いので高齢者から人気を集めるために医療、介護、福祉といったところに重点を置いた政策が取られてきた。ある程度確立され、政党が変わっても大きく変化することがない。この高齢者層以外の年齢層から更に票を集めるためにはどうすればいいか。それが高校授業料の無償化という彼らの作戦である。この政策に喜びを感じるのは高校生ではなく、その親である中年層である。高校生の親の年齢層は凡そ 40 歳代 ~ 50 歳代であろう。590 万円以下の世帯所得制限による授業料無償の現行制度では、授業料を支払っている中~高所得世帯の中年層の親たちには不評なため、彼らからの票を集めることは困難なのである。よって所得制限を撤廃することで、さらに多くの中年層から人気を集め、票を集めることができるというカラクリである。全く幼稚な政策である。高校授業料無償化が成立すると、次は大学授業料の無償化も準備しているようであるが、これは投票権のある大学生( 18 歳 ~20 歳代)とその親( 40 歳代 ~ 60 歳代)からの票集めであろう。まとめると、高齢者以外の全年齢層( 30 歳代が抜けているが)から票を集めるために、授業料の無償化という偽善事業で我々から集めた税金を自分たちの人気のためにばらまいていくのである。細かくは調べていないが、この無償化に費やす補助金(ばらまき額)は府が持っている税総額のごく一部程度で、ビクともしない額らしい。それなら、税金をもっと安くするべきで、それは即ち府民全員に公平である。税というものに対して本末転倒である。


2023.7.16 ブログ休養

長らくブログの更新をしてきませんでした。複数の原稿は書いてはいたのですが、殆ど全てが世の中を批判する内容ばかりで、読まれる方々には非常に不快な思いをさせてしまうだろうと投稿することは躊躇しています。オミクロン株に変異した約 2 年前でコロナ(重症、死亡の出現)は終わったものと判断していますが、相変わらずの状況です。権利に対しての男女平等が、いつのまにか生物としてのジェンダーレスを主張しだしたり、LGBT に対する一部の人間(マスコミを含む)の偏見を一方的に推進したり、金を出せば少子化は解消されるだろうという馬鹿げた方針、また人間本来の意味を失い、チャット GPT など AI に魂を奪われ喜んでいる人々。民主国家が正義だと平和ボケしている先進国が、間もなく覇権国家に滅ぼされてしまうであろう近い将来(既に民主国家の世界人口はたった 30 % に減少しています)。便利だ便利だといって、何重にもパスワードを設定させられ、非常に不便な現代。私が古臭い人間なのかもしれませんが、何もかも腹立たしく、賛成できる世の中ではないことに住みにくさ、生きにくさを強く感じています。何か、楽しいことを感じられるようなことがあれば、またブログを投稿しようと思います。閉鎖する訳ではありません。コロナ前のブログには、診療中の医療関連の記事が多いので、時間のある時に読み直して頂ければ何か参考になるのではと愚考致します。


2023.4.29 ぎっくり腰

30 年ほど前に腰部椎間板ヘルニアを起こしてから、慢性の腰痛が始まり、10 年ほど前から頸筋から背部にかけての痛みが加わり、湿布が欠かせない生活をしている。コロナ前には約 1 年間、週 1 回のペースで鍼治療に通ったが症状の改善には至らず。昨年夏ごろから週 1 回 80 分のペースでストレッチに通っている。カチカチに収縮してしまった筋肉を、関節に負担が掛からないように引き延ばす施術である。『 イテテテテ・・ 』 となるような痛みを我慢しながらも、老化してきた筋肉をほぐし、伸ばすことで体は楽になる。しかし一週間ほど経つとまた、あちこちの痛みや凝りが出だしてくる。夏で約 1 年になるが、ストレッチは永遠に生活に取り込んでいかざるを得ないのかという結論に達している。とはいえ、昨日、診療を開始する直前に、突然の強い腰痛が発症。いつもの『 ぎっくり腰 』である。西欧では 『 魔女の一撃 』と言われるだけあって、突然腰から臀部に掛けてイナズマが走る。 1 年に 1 ~ 2 回は起こるので慣れてはいるが、骨盤にまで響く(圧し掛かる)痛みで非常に憂鬱になる。『 あ~あ、またか!』 という落胆した気持ちと、座っていることの苦痛で診察が始まった。こんな時に限って、高齢の患者さんが『 腰が痛いのがリハビリに行っても治らないんですが・・・ 』 と言われる。『 う~ん、年齢からして湿布で対処するしかないのではないですか 』 と流すが、治らないですよね。幸い、この日は土曜日で半ドン。午後の診察がなく家でゆっくりできたのがせめてもの救いだった。座ることが苦痛であり、椅子から立ち上がるのが非常に困難で、腰が伸びない。ゆっくり、ゆっくり腰を伸ばしてやっと真っ直ぐ立つことができる。初日は安静が大事だが、2日目となるとそこそこ動かないとだめなようで、昼から小梅と散歩に出かけた。心なしか、いつもグイグイ引っ張る小梅も遠慮気味に歩いているようだった。今週、ゴルフの予定があるのだが、どうにか間に合わせないとと医者の不養生である。寒い 1 ~ 3 月にもゴルフを欠かさずラウンドしてきたお陰か、4 月には春日台CCで自己タイ記録の 76( 37、39 )で廻ることができ、先週の田辺CCで行われた医師会ゴルフ部のコンペでも 79( 41、38 )のベスグロで廻ることができた。調子が出てきたこの時に一気にスコアーアップをと狙っていた矢先にぎっくり腰とはトホホである。肩も痛い、頸も痛い、背も痛い、腰も痛い。全身のイタイイタイ病との戦いである。


2023.4.29 免疫の刷り込み(抗原原罪)・・・ワクチン追加接種の無用性

最近、診察中にコロナワクチンの 6 回目を接種したと得意気に話される高齢者の方がちょこちょこおられる。『 先生はもう、打たれましたか?』 と聞かれる。『 いえ、私は3回で終了しました。家族もそうしています。』 昨年 3 月までの分として、 8 億 8 千万本以上もアメリカとワクチンの契約をしてしまった日本は、今後も更に追加分の契約を結んでいるようである。次から次へ送ってこられるワクチンを廃棄するわけにもいかず(期限切れで廃棄した分は 30 %もあるようだが)、あの手この手で国民に接種させようとしている。赤ん坊~高齢者まで均等に接種したとしても一人 8 回は接種する計算になるが、当然子供や若者はその手には乗らない。そうすると高齢者はどれだけ打つように仕向けられるのか想像できる。最早、『 本当にワクチンは効果があるのか? 』 と国民は考えているのだろうか。高齢者施設での感染をできるだけ抑えようなどと最優先に何度もワクチン接種をしてきたにも関わらず、クラスター発生が後を絶たない。これだけでもワクチンの効果はないのではと疑うべきではないだろうか。実際、厚労省も昨年 10 月より開始したオミクロン BA 4、 5 対応の 2 価ワクチンを接種しても、オミクロンに対する抗体の出来は想像以上に少ないことを認めている。これは、免疫の刷り込み( 抗原原罪 )といって、ヒトの体が少し異なる変異株に遭遇すると、最初に病原体( あるいはワクチン )に対峙した際に引き起こした免疫反応が起こってしまうことが解ってきたようである。即ち、オミクロン株が進行している今、昨秋に承認されたオミクロン対応のワクチンを初めて打った人には、追加ワクチンの効果はあるが、既に何度も何度もワクチンを打っている人は、従来株対応のワクチンを初回から数回接種しているので、今更オミクロン対応のワクチンを何度打ち続けても効果は非常に低いということである。 5 回もワクチン接種したのに感染してしまった高齢者の方もそこそこおられる。それでもまだ接種をするというのだろうか。それ以上に、感染しても風邪程度の症状しかでないのに何を恐れているのかということの方が問題である。こんな状況で国はまだワクチン接種を勧め( アメリカと契約しすぎた )、ワクチン接種を協力している医療従事者がいる( そこそこの収益が得られる )ことは根底には見えない事実があるからであろう。一日も早くマスクを外し、風邪如きを怖がらない生活を取り戻すべきである。


2023.3.22 突発性難聴

『 あれっ、何となく左耳の詰まるような感覚がある。右耳は普通だが。 』と 3 日前の日曜日の昼前に感じだした。『 ムム、遂に自分にも来たか !?』 そう、 40 ~ 60 歳代に多くみられる疾患で当院を受診されておられる患者さんの中にも、時々この疾患に罹って耳鼻科に通院あるいは入院されている方がおられる。突発性難聴である。日曜日で天気も良く、大阪の桜開花宣言もされたこの日愛犬小梅を車に乗せて、ふたりで大仙公園に出かけた。駐車場は満車のところが多く、どうにか穴場の駐車場を見つけ、広々とした公園を気晴らしに散歩した。途中、柴犬の飼い主の男性と立ち話をしていると、何となく気になっていた左の耳閉感が急に聞こえにくくなってきた。2 時間弱、小梅と散歩し帰宅したが、やはり、出掛ける前に比べて遥かに音が聞き取りにくくなっていた。『 う~ん、2 年前に右眼の網膜剥離を来たし、慣れたとはいえ、常に右眼の前には多数の糸くずのような影がウヨウヨと泳ぎまくっていて煩わしい。今度は、左の耳が聴こえなくなるのか。まあ、右で頑張って聞こうとして慣れていくんだろうな。』 と早々にあきらめの境地。一般的には、突発性難聴の場合、ステロイド内服( または点滴 )治療がファーストチョイスではあり、その内服のタイミングが 1 ~ 2 週間を過ぎてからでは、効果が激減すると言われている。とりあえず、手持ちのステロイド( プレドニン )があったので 30 mg( 結構な量である )を服用した。翌日、目覚めても耳の調子は変わらず。午後の診察が終わってから近くの耳鼻科を受診することとし、午前中のクリニックの診察を開始した。聴診器が商売道具である自分にとって、左耳が聴こえなければ仕事にならないと思いながらの診察。35 年も循環器医をしていると、右耳一つだけでも心臓の音は良く聴こえ、血圧測定で聴こえる動脈のコロトコフ音も問題なく聴こえ、診療には影響しなかった。診療開始 2 時間ほどした頃だろうか、少し左耳の聴こえ方がましになっているように感じた。しかしこれとは別に 『 シーー 』という耳鳴りが小さくではあるが聴こえだしてきた。『 あれっ、治ってきてる! 早々に服用したステロイドの効果が出てきたのかな。』 まあ、そう思いながら午前の診療はやっと昼の 1 時半ごろ終わった。患者さんの介護保険の主治医意見書や、生活保護の医療申請書など役所から山ほどの書類を送って来られるので、翌日が春分の日の祝日であることもあって、昼休みの 1 時間半を節約して昼食抜きで書類書きをした。3 時から午後の診察をはじめ、5時半に終了。残した書類書きを継続しつつ、7 時前に予約の取れた耳鼻科を受診した。幸い、聴力検査などは既に左右差なく改善傾向にあった。まだ、小さいとはいえ耳鳴りが残る為、ステロイドは漸減しながら一週間継続することとなった。軽くて済んだことに胸を撫でおろした。突発性難聴は、重症ではめまい、吐き気、強い耳鳴りなどが突然でることもあるようで、私の場合は飛行機が着陸態勢に入った時に起こるような耳閉感が片方に起こることから始まり、その後数時間で全くではないものの対側に比べ明らかに音が小さく聞き取りにくくなってきた( 凡そであるが、右 vs 左 10 vs 2 )。1 ~ 2 週間以内に治療( ステロイドなど )を開始すれば約 40 %は完治、50 ~ 60 %は完治はしないものの何らかの改善がみられるようである。医者とはいえ、同じ人間。同じように病気になっていく自分にある意味感心( 寒心 )してしまう。先日の採血検査、完璧だったのだが・・・。


2023.2.24 糖尿病って何が悪い?

連日、軽症から重症まで多数の糖尿病患者さんの診療にあたっている。近年の厚労省の調査では、糖尿病の有病者および予備群の総計は約 2,000 万人と推計されており、人口の 6 人に一人の割合になる。40 歳を過ぎると糖尿病は増え始め、50 歳代では 25 %、60 歳代および 70 歳代で 40 % 程度の人が糖尿病の罹患ないしは予備軍に相当する。では、何故糖尿病は悪いのか? 自分が薬を服用したり、インスリンを注射していても十分理解できていない人が多い。どれだけ事の重大性を説明しても甘く考えている患者さんは多い。以下に合併症について簡単に記載しておくと
1.細菌感染時に白血球の働きを鈍くし、感染症が重症化しやすい。
2.全身の動脈を詰まらせる動脈硬化を進行させ、心筋梗塞、脳梗塞、網膜症、閉塞性動脈硬化症 (下肢血管閉塞)、腎症 (透析に至る) をはじめとする、内臓への血流障害を来す。
3.末梢神経細胞への血流障害による神経障害が起こり、温痛覚が鈍くなったり、手先、足先 (裏) の違和感を来す。
4.体内で毎日出現して来るがん細胞の除去機能が破綻し、がんの発生率が上昇(正常人の約 2 倍)する。
5.歯茎への血流障害による歯周病が起こりやすくなる。
まだまだあるが、要するに血管という血管が詰まってくる病気であり、誰が名付けたのか知らないが、尿に糖が出るなどという可愛らしい病気でなく、いわゆる 『 全身性動脈硬化症 』 なのである。長年循環器内科をしていると、狭心症、心筋梗塞の患者さんに出会うことは多く、カテーテル治療を行っても 1~2 年以内に再発を繰り返したり、脳梗塞が新たに発症したりといくつもの合併症が次々に発症しだしてくる悲惨な症例に出会うことは珍しくない。3 ㎜ 前後の冠動脈はカテーテル治療ができるが、1 ㎜ にも満たない血管は、動脈硬化が進行すれば元に戻すことは不可能なのである。怖さを知る私からしてみれば、糖尿病の治療をしているにも関わらず、『 ついつい食べ過ぎてしまいました 』 とか 『 甘いものは好きなので我慢できません 』 などと反省もなく他人事のように言われる方がおられるが、笑っておられるのも今だけですよ!


2023.1.27 5月からコロナは5類に

コロナは感染症法上、5/8 の GW 明けから 5 類に引き下げられるようである。やっとといったところである。一年ほど前にデルタ株からオミクロン株に変わった時点で、毒性(重症化)の劇的な低下を認め、肺炎になり人工呼吸器や ECMO を装着されるようなことはなくなった。当然、オミクロン株感染による二次的でなく、直接的な死亡者も激減してきたわけである。感染のしやすさはこれまでのウィルス感染に比べものにならないほど高いことは事実で、今後も感染しやすいことには変わりはない。オミクロン株に変わる前には、当院の患者さん 3 名が、両側肺炎の重症化でお亡くなりになられ、他 3 名が人工呼吸器装着による治療を受けられ回復されたが、オミクロン株になってからは、感染された方の数は圧倒的に増えたものの、95 歳のKさんを筆頭に重症化することもなく発熱、咽頭痛、咳嗽という症状を 3~5 日間認める程度で回復されている。5 回のワクチン接種を受けた方もそこそこ感染されており、データーは確認していないが、10 月以降のオミクロン株対応ワクチン接種もさほど効果があったとは肌で感じられない。3 回接種しておけば重症化なく風邪程度の症状で済みそうである。インフルエンザとオミクロン株の死亡率を比較すると、ほぼ同等であると報告されている。5 類になればゾーニングもできない手狭な当院でも、診察を行うことができる。2 類である現在、感染者と非感染者を分けて待機する部屋もなく法律上 発熱外来はできず、私が感染( PCR 検査陽性 )した場合、1 週間クリニックを閉めないといけなくなり、350 人ほどの患者さんの従来の疾患の診察、処方が出来なくなるのである。しかし 5 類になれば、その制限なく私が体調不良を訴えない限りは休診することなく診療が続けられる。開業して 22 年になるが、持病の尿管結石発作の激痛で計 2 日急遽休診にしたが、発熱などの症状があっても休診したことはない。濃厚接触の概念から、5~10 分程度の至近距離の診察でもマスクさえしておれば、感染や濃厚接触にはならない。逆に、患者さんが感染していても同様である。待合室や診察室で感染する可能性は非常に低いのである。今更、オミクロン株に対しての 5 類変更に賛成、反対なんて意味がなく、風邪程度でも罹りたくなければ、最小限の生活圏で過ごせばいいし、感染しても騒がず、風邪の治療(解熱鎮痛剤、咳止め服用)で経過を観るというなら、好きに動けばいいと思う。コロナが発生する以前に、風邪が流行る冬でもマスク、手洗いもせず、感染しても個人の判断で仕事をしたり通学したりしていた時をどう思うかである。オミクロン感染を理解もせず、理解しようとせず、只々連日の死亡者数の発表で怖がっていることに対して、意味を知って考え直す時である。死亡される方の多くはどんな人だと思いますか?


2023.1.4 夢のある仕事、正解のない仕事?!

年末に ふとテレビをつけると、歌番組をやっていた。若い人たちはご存じだと思うが、Radwinps の 『 正解 』 という歌を耳にした。なかなか現代を上手く表現し、若者たちの共感と、我々中高年者の反省を、回顧を考えさせるいい曲だった。『 答えがある問いばかりを教わってきたよ。そのせいだろうか、僕たちが知りたかったのは、いつも正解などまだ銀河にもない・・・ 』 このフレーズに納得と感動を覚えた。自分の過去がそうだった。医者になろうと勉強する。なぜこんなに勉強しないと医者になれないのか? 答えのある問題を正解するまで解き続ける。こんなくだらないことに時間をつぎ込んでいる自分に辛さを感じていた。『 こんなのクイズお宅が強いに決まってる! 自分はお宅になり切れないので負けるだろうな?!』 と思いながら勉強をしていた。また 現代文(国語)の問題など、勉強の仕様がなかった。『 この時、筆者はどう思っていただろう? 』 なんて問がよくある。『 そんなこと筆者に聞いてみないとわからないでしょ!』 といつも反感しながら解答すると、大抵はハズレ。クイズが苦手だったんでしょうね(笑)。友達の半分ぐらいの点しか取れなかった。捻くれていたのかな、考え方が。『 こんなの勉強なの? 人の書いた作品に正解を作るなんておかしくないか? 作品を読んでいる側の感じ方でいいのではないのか! わざわざお金を出して小説を購入して、皆 同じように感じないといけないのか? くだらない受験勉強! 』 我々の時代は、塾など殆どなく皆、家で独自に勉強をしていた時代である。今のような溢れかえるほどの学習塾で受験に出そうな問題を繰り返し解かされ、そのテクニックを教わる。決められた正解を出すために。こんなシステムで育った人間の大半は、世の中には答えがあり、それに合わせて仕事をし、生活をすればいい(楽である)と考えているのであろう。出世することにも興味はないという若者が多く、先輩と食事に行ったりする事が憂鬱らしい。何かにぶち当たったとき、ちゃんとマニュアルやガイドラインがあるのでその通りすれば大丈夫と、答えを見つけ出すことは得意なようだが、自分の頭でその答えが意味するところを考え抜くことはせず、またその能力がない。医療に関してはもっとそうである。最早 IT なくして医療はありえない時代となり、ロボットや AI(人工頭脳)が進出しつつある。いわゆる 莫大なデーターの蓄積により疾患を一瞬にして診断し、治療選択を決定してしまう時代の到来である。30 年以上も前に医師になった頃、患者の問診からその状況を丁寧に聞き取り、今とは比べ物にならない貧弱な情報を参考に( 図書館に足を運んだり、何日もかかる文献を取り寄せたりし )その疾患の診断と、その時代に出来得る最良の治療を選択していた。当然、医師個人の経験、スキル、判断力(ある意味直観力)により患者の命は左右されることは多々あった。困難な症例には、複数の医師で討論を行い治療を行ってきた。ところが、今は院内を iPad 片手に種々疾患のガイドラインというものをクリックすれば、事細かに必要な検査(過剰な検査)、治療薬など一目瞭然である。よって、どの医者が担当しても大きなミスはなく、ある意味、患者にとって安心した医療が受けられるはずである。では、デメリットはないのか?というと、このガイドラインというのは平均的な治療であって、凡そ70 %程度の症例には当てはまるであろうが、残りの 30 %には不十分な結果になる。私が勤務医時代に担当した N さんと Y さんについて少しお話したい。お二人とも、急性心筋梗塞を発症し、救急車で病院に搬送。状態は非常に悪かったが、PCI (カテーテル治療)を緊急で行い、詰まった冠動脈を再開通させ、無事一命を取り留めた。しかしながら、その後の心機能の改善状況は非常に悪く、冠動脈の閉塞により壊死してしまった心筋の範囲が大きすぎ、残された正常部位の動きでは退院も困難な状況であった。意識はしっかりし、ベッド上ではお元気であったが、少し歩行するだけでも息切れが強いよく似たケースであった。これでは退院しても直ぐ逆戻りで平穏な日常生活は困難と判断し、当時の心臓外科部長と相談の上、Dor (ドール)手術をすることになった。広範囲に壊死した心筋を切り取り、残された健常な心筋を縫縮する手術である。今では比較的安全に行える手術となったが、当時は成功率も低く心臓外科部長からは気が進まない返事であった。まだ、50 歳前後のお二人でしたので、どうにか歩くことのできる生活をと思い、患者、心臓外科医師の架け橋として両者に手術を勧めた(非常に無責任な立場でしたが)。外科医の度胸、技術と 患者の医師に対する強い信頼でお二人とも大手術は成功された。Y さんは数年前 84 歳まで当院に通院され、その後は加齢に伴い通院が困難となり近医に変わられた。N さんは昨年 80 歳になられ、3 年ほど前には憧れのスイスへ海外旅行され、現在もお元気に過ごされている。当然現在では、この方々のデーターを含め、全世界の Dor 手術に対する成績、技術のデーターが蓄積され、比較的安全に成功率の高い治療となっている。今では iPad をプチっとクリックすれば Dor 手術を選択されるでしょう。ここで言いたいことは、ガイドライン重視では、その時代に応じてリスクが高いと判断される治療は選択肢に入っていないということである。正解のみを覚えることに訓練された若い医師たちには一人一人の患者に即した治療を考えることが少なくなり、ましてや治療結果によっては患者側から訴訟を起こされることも多く、リスクの高い治療は勧めない。最早医療はAI に任され、ロボットが手術する時代に入ってきている。ある患者さんから、『 息子を医者にしたいのですけど、本人はその気でない。できるだけ、医学部を受験してもらうよう勧めているのですが。』『 いや、お子さんがやりたいことをさせてあげた方がいいのでは? 30 年以上、興味のない仕事をしても面白くないし。我々の時代と違って、夢のない職業と思います。』 『 夢のある仕事ってなんですか?』 『 まずは、本人がそう思うことでしょう。医薬のように、国が関与するような仕事は大切ではあるものの、決して働く者として夢のある仕事とは思えませんね。あたかも、社会主義国家になろうとしているようなこの国では、国が関与する仕事に就くと夢もなく、やりがいもなく 給料は職種問わず同等になってくるでしょう。また、コンピューター(機械)に変わられてしまう仕事(運転業、営業、受付業務など)も、この先困難かもしれませんね。まあ 少子化の中、毎年 1 万人も医学生が合格するレベルですから魅力ありますか? 毎年 50 万人強の受験生が大学共通テストを出願しているわけですから、受験生の 50 人に一人が医者になる時代。価値はありませんよ。国の制約もなく、自由に創作する仕事、正解のない仕事に憧れますね。あくまでも個人の意見ですけどね。』 子供の将来について、やはり親の一言は大きく左右し、責任重大です。子供は純粋かつ従順ですから。


2022.12.31 トリプトファン事件

健康食品、サプリメント( 健康補助食品 )の摂取は副作用もなく安全であると誤解されている場合が多く、過剰摂取には注意を要することを前回お話した。1989 年(平成元年)に健康食品による衝撃的な事件が起こった。睡眠と日内リズムに関連するセロトニンとメラトニンに体内で代謝される必須アミノ酸であるトリプトファンの健康被害事件である。トリプトファンは、睡眠導入のサプリとして米国では爆発的に売れた。しかし、これを摂取することで約 1,500 ほどの人がアレルギー反応に深く関与する白血球の一種の好酸球の増多と、非常に酷い筋肉痛を伴う新しい病気を発生し、『 好酸球増多筋痛症候群 』 と名付けられた。日本の昭和電工が大量に売り上げており、間もなく製造中止になった。製造工程(遺伝子組み換え)でごく微量の不純物が混入したことが原因と当初は考えられていたが、他社の製品でも被害者が少なからず出ていることなどよりこの考えは後に否定的となり、恐らく快眠を希望するあまりに過剰摂取したことが原因ではないかと考えられている。なんと死亡者が 38 名も出てしまったのである。この事件により、健康食品・サプリメントに対して過剰摂取には注意を要すること、真偽は不明であるものの遺伝子組み換えの食品を制限することなど注目された。現在、ダイエットを目的に本来の食事を制限し、栄養分としてサプリメントを何種類も大量に摂取して栄養分が補われたなどと紹介しているテレビ番組や芸能人が多いようだが、あくまでサプリメントは補助目的の健康食品であることを再認識すべきである。副作用は薬だけにあるのでなく、その服用方法を間違えれば、健康食品にも起こり得るのである。さらに付け加えると、一般食品にもあり得るということである。美味しいからと、ひたすら欲望のまま食事やアルコール、おやつを摂りすぎたり、友人に誘われたからとちょこちょこランチと称して外食したりする人が多いのには驚きである。これ皆、一般食品の過剰摂取で糖尿病、高脂血症、肝機能障害などを発症しますよね。これこそ正に一般食品の副作用なのですが、気付いていない人が多すぎます。いい大人なんだから、自己制御し、もっと自分に厳しくならないとといつも診察しながら思っています(笑)。


2022.12.29 健康食品 ・・・ 科学的根拠が要らない

健康食品、サプリメント( 健康補助食品 )の市場が本邦では年間 1 兆円に届こうとしている。そもそも食品は一般食品と保健機能食品( 特定保健用食品( トクホ )や機能表示食品 )に区別される。保健機能食品はある程度、科学的根拠を示さないと承認されないが、この科学的根拠も非常に怪しいものである。一方、市場の多くを支配している健康食品やサプリメントは一般食品に属するため、科学的根拠は要らない。その半面、効果・効能をパッケージなどに表記することができない。『 ○○〇に効く! 』 などと表記してしまえば違法になる。いわゆる口コミで伝えていくしかない。一例を紹介すると、夜間の頻尿に効果があるのではと言われている 『 ノコギリヤシ 』 というサプリメントが数社から販売されている。一般食品とみなされるので効果・効能を表記することはできない。K製薬の商品では 『 水分をとると夜に何度も・・という中高年男性に 』 と記してある。D社の商品では 『 ◇ キレ・近さに悩んでいる  ◇ 夜中に何度も・・・ ◇ 安心して出かけたい 』 と記載されている。この文面だけ読めば何のこと? というわけだが、ノコギリヤシをネットで調べれば科学的根拠がないにも関わらず、男性頻尿に効果があるといったことはあちこちに載っている。まあ、インチキ的な法整備である。健康食品やサプリメントは科学的根拠不要でパッケージに記載さえしなければ、 販売元が好きなことを言っても自由なのである。また、これらの摂取は副作用もなく安全であると誤解されている場合が多い。しかしながら、過剰摂取には注意を要する。歳を取ると骨が弱くなるという理由でカルシウムを積極的に摂ろうと、乳製品を過剰摂取した上に、カルシウムのサプリまで購入して服用されている人がいる。科学的にはどんなに多くカルシウムを摂っても、骨量はわずか1%未満しか増えない。逆に、多く摂れば摂るほど、血中のカルシウム濃度が上昇して、動脈硬化を加速させてしまい心筋梗塞や脳梗塞を招いてしまう結果になる。メリットとデメリットを考えるとお分かりかと思う。次回、『 トリプトファン事件 』 について触れようと思う。


2022.12.1 マスクは日本国の民族衣装!?

高齢者の患者さんから、『 5 回目のコロナワクチンを打ってきました 』 とか、『 5 回目のワクチン接種券が届いたのですが、打たないといけませんか?』 という質問が毎日毎日診察中にある。所詮、少し強めの喉風邪なので、重症になり得ることも死ぬこともないのでそこを考えて接種するかどうか考えては如何ですかと回答している。少しでも不安なら接種すればいいし、まあ、罹っても風邪程度なら辞めておこうという考えでもよいと思う。それより、見切り発車したこの m-RNA ワクチンを1年半ほどの間に 4 回も 5 回も打って将来大丈夫か?ということである。この答えは誰も知らない。先の限られた高齢者は良いが、子供や若年者に将来、何らかの障害はでないのかと不安になるが、誰もわからない。6 割以上の国民がワクチンを打てば集団免疫ができ、収束するだの、梅雨や夏はウィルスの感染能力が弱くなるだとか、ウィルスの一般論を得意気に語っていた専門家と言われる者の推測などコロナには全く当てはまらない。私は、ワクチン反対派ではない。コロナが起こりだし肺炎で倒れ、人工呼吸器やECMO を装着された従来株、α 株、δ 株の時は、迷うことなくワクチン接種を勧めたが、最早オミクロン株になってからは、むやみに打つ必要があるのか凄く疑問に感じている。コロナが続く限り、6 回目、7 回目・・・と続いていくのではと思われる。欧米では殆どマスクをしていない。この国だけいつまでもマスクをし続けている。冬季ぐらいは着けても悪くないが、相変わらず広い屋外でも皆着けている。恐らく、この先3年も5年もいやその先もマスクをし続け、頭に巻かれるターバンがインドや中東のイスラム世界での象徴のように、マスクは日本国の民族衣装として海外では認知されるようになるであろう。なんとも情けない話である。先日、私用があって先輩のクリニックを訪れたのだが、予約制を導入していないこともあって、待合室は立ち見となり混雑。その割には、医師、看護師、事務員は皆マスクの上にフェイスシールドを着け、白衣の上にガウンを着、手には青いゴム手袋をし、受付の所には飛沫予防の為のビニールシートが垂れ下がっていた。『 えっ!2 ~3 年前にタイムスリップ!? 』 と驚愕してしまった。医者でもこんなに不勉強な人が身近にいるとなれば、一般の人でも未だにコロナを恐れる人がいるわけだと納得した。


2022.10.19 本当にインフルエンザ流行りますか?!

今年もインフルエンザがこれまで以上に大流行すると感染症の専門家? が吹聴し、マスコミは更に拡散している。そして、相変わらず TV 受けを狙う医師が同じようなことをもっともらしく喋っている。 これって、ホント?。 南半球のオーストラリアが過去 5 年間で最高の感染者数を認めたので日本でも同様になる可能性があるとか、海外から観光客が日本にインフルエンザウィルスを持ち込むとか、おまけにこれらによって医療が逼迫するなんて信じられないようなことをバンバン語っている。オミクロンでもあるまいし、まるでインフルエンザがオミクロンのように空気感染したり、無症状者から感染したりするとでも思っているのであろうか。インフルエンザを含め、従来の風邪の感染形態は殆どが飛沫感染と接触感染。マスクもしないオーストラリアの国民と同じような感染拡大は考えられないし、この時期、発熱者や咳をする人とお互いマスクなしで 10 ~ 15 分以上も至近距離で喋ったりするようなことは一般にあり得ない。あり得るとすれば、子供たちである。子供たちの間では多少インフルエンザも流行るかもしれない。そうすると家庭に持ち込み同居している家族にも感染する可能性はあるが、オミクロンほど感染力は強くない。政府は今年もワクチン接種を 65 歳以上は無料にしているが、馬鹿馬鹿しい。無料にする対象は、子供たちであって、彼らに優先してワクチン接種をする方が理にかなっている。昨年も、大流行すると感染症研究所の専門家といわれている者がマスコミで拡散した。東大医科学研究所の某教授など、オミクロン株の BA2 が出たとき、BA1 とは全く別物と考え、毒性が強いので注意が必要とか BA5 が出たときは、肺炎にもなりやすいなんて堂々とTVで語っていたのをはっきりと覚えているが、全く外れている。天気予報以上の外し方である。そもそも、BA1 と BA2 が全く別物なら同一オミクロン株ではないではないか。流行するはずがないインフルエンザワクチンの接種はここ 2 年間、私はしていない。子供たちと関わることのない私は、今年も接種するつもりはない。注意が必要なのは、上述のように子供とその同居家族である。それこそマスクは大いに役立つと思われる。


2022.10.13 シニア選手権

10 月は全国のゴルフ場でクラブ選手権、シニア選手権、グランドシニア選手権が開催され、一年で最もゴルフ場は盛り上がる時期である。季節も良く、いざゴルフをと思っても、各々のゴルフ場(倶楽部)に所属しているメンバーの選手権が優先されるため、この時期はビジターで予約を取ることは難しい時期でもある。昨年 60 歳を迎えた私は、シニア選手権( 60 歳以上)に出場した。第一週に予選があり、上位 16 名に絞られた。決して調子は良くなかったものの、幸い 10 位で予選通過することができた。この日曜日、16 名を 8 組に分け、トーナメント形式のマッチプレー 1 回戦が行われた。皆、60 歳以上とはいえ、シングルプレーヤーで飛距離こそ落ちてはいるものの、アプローチやパターは絶品で勝ち抜くには至難の技が必要となる。マッチプレーであるため、ひとホールごとに勝ち負け引き分けでポイントをつけ、差が開きすぎた場合は途中で終了となる。ティーグラウンドは後方からで、グリーンはツルツルに芝が刈られた高速グリーン。カップの位置も難しい所に切ってある。全く、日頃では経験できないような設定である。いざ、スタートするも二人での競技ゴルフは初めてで、会話することもなく淡々とプレーをこなしていくことには、ゴルフに対する楽しさなど一切無かった。前半の 9 ホールを終えた時点でイーブン。同伴のキャディーもピリピリしている。休憩なく後半に突入するも、緊迫するラウンドが続き、17 番ホールまでイーブン。何と、最終ホールで勝敗が決まることになった。最終のロングホールは共にパーオン。相手は 20 Yの下りラインを 5 Yオーバー。こちらは 10 Yの大フックラインを 3 Yオーバー。グリーンがツルツルでボールが止まらない。共にラインは違うものの上りラインを残しての最終パット。相手が 5 Yを上手くねじ込みパー。後のない私は 3 Yをねじ込むパットをするもカップに弾かれ万事休す。最後の最後に敗れてしまった。残念の一言であるが、この日は予選の時と違って、調子も良く悔いはない。相手が自分より強かっただけである。2 回戦には進出できなかったが、この経験を活かし、是非来年は上位を狙いたい。小生の父親は 60 歳の時、このシニア選手権で優勝しているが、その偉大さをひしひしと感じた。来月、今年 90 歳となる父親と久しぶりのラウンドを予定している。敬礼である。


2022.9.4 オミクロン株BA5対応のワクチン開発

ピークは終わったとはいえ、いまだ感染者数の多いオミクロン株感染。連日、重症者、死亡者の数を公表しているが、内容が全くわからない。オミクロン株で重症になる ? 死亡する ?  これまでの海外の報告を含め、公表されている数字の内容に疑問を感じる。当院の患者さんはお盆前ほどではないが、相変わらず感染したとのことで診察予約のキャンセルや、診察時にコロナに罹って自宅療養していたとの報告が多い。2 日前の診察でも 85 歳の S さん( 週 3 日、透析を受けておられる )がコロナに罹っていたとの報告を受けた。2 日後、84 歳のご夫人も感染してご夫婦で自宅療養をされていたようである。37.5 ~ 38 ℃ほどの熱が断続的に 2 日間続いたが、それ以外は症状なく、ご夫婦とも特にこじれることも無く回復された。これまで国は 4 回目のワクチン接種を CM を使ってまで推奨してきたが、どんどん変異してきたコロナ(オミクロン株)に 2 年以上も前に作ったワクチンが効くはずがない。10 日前に 4 回目を接種した総理大臣自らが感染し、意味のないことを証明した。重症化の予防になる?と訴えているが、3 回接種と 4 回接種では差がなかったとの海外の報告が多い。というより、そもそもオミクロン株で重症化( 肺炎に罹患し、人工呼吸器や ECMO を使用する )なんてしない。確かにワクチン接種回数が 2 回以下の人たちは、オミクロンに罹ると 38 ℃程度の発熱が 4 ~ 5 日続いた、咽頭痛が強かったという報告は多いようだが、勘違いしてはいけないのだが、これは重症化ではない。診察中も高齢患者さんはコロナが怖い怖いと言っておられるが、コロナが怖いのでなく、重症化する肺炎が怖いのである。そういう意味でもオミクロンは怖くない。意味のなかった従来型の 4 回目ワクチン接種も、BA1 対応の 2 価ワクチンが承認されたため、今月中にそのワクチンに変更し、4 回目ワクチン接種を促すようであるが、実は BA4・5 対応のワクチンが既に開発され、近々承認されるようである。4 回目を接種するなら、この BA4・5 対応のワクチンまで待つべきと思われるが、それまでに感染してしまう可能性も高い。しかし、風邪相手にここまでする必要があるのかである。第 7 波はピークを終え、徐々に感染も下火になるであろうことを考えると、今更といったところであるが、3 回目接種として打つのは良いかもしれない。


2022.8.17 医師会報

開業して 20 年以上が過ぎてしまうと、開業当初を知っておられる患者さんもかなり少なくなってしまった。当初は、日帰りで心臓のカテーテル検査や治療を希望され、かなり遠方からもお越し頂く患者さんも多かった。今と同様、一般診療も行っていたが、その数は今とは大きく異なっていた。先日、診察中に『 先生、このクリニックは心臓の治療を日帰りで行っていたんですね。凄いクリニックだったんですね 』と 76 歳のSさんに尋ねられた。昨年、当院は開業 20 周年を迎えたのを機に、医師会より翌年( 2022 年度)の医師会雑誌(医師会報)に私の歴史の寄稿を依頼された。出来上がった会報は今年 4 月。さほど時間も経っていないので当院の歴史としてご一読ください。

『 開業 20 年を迎えて 』 

21 世紀の始まり、そして 40 歳という区切りのいい年である 2001 年に、新金岡の地にクリニックを開業した。長らく虚血性心疾患( 狭心症、心筋梗塞 )の専門家としてカテーテル治療( PCI )を行ってきた技術を生かそうと、多くの人たちの協力でちっぽけなビルの無床診療所でカテ開業を始めた。技術ミス、判断ミスを来せば患者の命に関わる検査、治療であるため、応援してくれる人たちが多くいた反面、気狂い扱いし否定する人たちもいた。結論から言うと、2 例、私の心拍数が速まる様なアクシデントに遭遇するケースはあったが、上手く対処することで治療ができ、経過観察目的で近隣の病院に一晩お世話になったケースはあったが、緊急に至るケースは 1 例もなかった。勤務医時代より技術を研磨し合った仲間が全国津々浦々におり、開業するや否や、治療の指導を依頼されたり、各地域のライブ( 実際の治療をしているカテ室と、その様子を大画面に映しだすホテルなどの大会議場をリモートで中継する研究会 )のオペレーターやコメンテーターを依頼されることが一気に増えた。また、外資系カテーテル企業とアドバイザリースタッフの契約を結び、近大心臓血管外科( 佐賀教授 )とは非常勤講師の契約を結び、また日帰りではリスクの高いと考えられる症例に関しては、JR 大阪鉄道病院、ベルランド総合病院、奈良香芝旭ヶ丘病院よりカテ室の利用を勧めて頂き、私が出向し同院で当院の患者の治療を行うなど、多くの関係者の方々には大変お世話になった。その他、大阪府下、兵庫県下の幾つもの病院からは治療の依頼を受け、昼休みや休診日を利用して出向した。滋賀の草津ハートセンター( 顧問契約 )と福岡の循環器病院( 飛行機で日帰り )にも月 1 回定期で出向した。全国的なライブ( CCT )、北海道地方の札幌ライブ、東北地方の安達太良ライブ、東京の心臓血管研究所が主管の DCA ライブ、東京医大八王子医療センターでのライブにも定期的に招聘され、クリニックを休診にして出かけることが多かった。現在、関西では近畿心血管ジョイントライブというのが継続されているが、開業 2 年目?に関西の達人たちと創設したライブ研究会( 学会扱い )で、その略は KCJL と名付けた。会議では KCL の3文字で決まりかけたが、私の姓名の頭文字が K J であることもあって、KCL の間に J を忍ばせてやった(笑)。今から思えば、よく頑張ったなあというより、楽しくて仕方がなかった。当然、頑張っても勤務医では給料が増えるわけでもなく、制限が多い。開業することで、フリーランスになり収益も莫大に増えた。 ・・・( 中略 )・・・ 『 私、失敗しないので・・』というドラマがあるが、失敗したら二度とお呼びがかからない世界であり、患者に大きな迷惑をかけることになる。この 20 年間、我々の技術が後輩たちに継承され、道具や技術はパワーアップしており、最早私の出番はない。結局、クリニックでの日帰りカテーテル治療は 12 ~ 3 年間行い、2017 年 12 月、2 代目の装置の寿命と共に診断カテ検査も終了とした。現在は、ベルランド総合病院( 前部長で現岐阜大循環器内科教授の大親友である大倉先生と、彼の後任で現院長の片岡先生には大変お世話になっている )に若い先生方のエネルギーをもらいに時々カテ室にお邪魔している。そして今、当院のカテ室は 64 列のCT装置に置き替わり、癌や出血、大動脈瘤などの早期発見の検査室になっている。先日、恐ろしいことに還暦を迎えることになり、もう若くないことを実感させられた。休みにはゴルフに出かけることが多くなってきたが、108 mm というカテ治療とは比べものにならないほどの大きな穴になかなかボールが入らない。まだまだ精進が必要なようだ。親も子も医者でない私にとって、加藤内科循環器科クリニックは今後どうして行けばよいものか、さあ、最後の課題である。

( 医師会報より )


2022.8.5 冷ややかな目で見ています

連日 3 ~ 5 名程度の患者さんからコロナに感染したので診察の予約をキャンセル・延期してほしいと連絡があります。また、診察中にも『 2 週間ほど前にコロナに感染していました 』 と言われる方も日に 2 ~ 3 人おられる。ゴルフ仲間からもプレー前日に熱が出たと連絡が入ったり、車の車検日に担当者が朝から発熱しだしたので延期してほしいなど、私の周囲は感染者でいっぱいである。自分も感染するのは時間の問題と思っている。相変わらず無能なマスコミは、売名行為を目的とした医者を引っ張り込んでコロナの脅威を煽っているが、当院の患者さんや私の周囲の者でオミクロン株で重症化した人など一人もおらず、殆どが一日ないしは二日間 37 ~ 38 ℃程度の発熱と、2 ~ 3 日程度の咽頭不快、咳で治癒している。風邪以下の症状である。国は 4 回目のワクチン接種の推奨や外出自粛を促しているが、感染予防効果の乏しい 4 回目ワクチン接種をしたところで何の意味もなく、却って知識の乏しい高齢者は 『 4 回目のワクチン接種を済ませたのでもう大丈夫です。』 なんて平気で言ってくる。『 重症化予防のために 4 回目を接種しましょう 』 なんて言われているが、オミクロン株は重症化しない。そもそも、 4 回目接種の意味がないからと医療従事者には接種券を送って来なかったのに、今更、感染者が急増したからと接種券を送ろうとしているが、意味がない。これまでのコロナの流行の状況から判断すると間もなくピークを迎え、徐々に減少していく時期に入るのではと想像される。感染症法 2 類である限る、職場や学校は PCR 検査の結果証明証を要求するため PCR 検査がさらに増え続けることは必至で、いつまで愚かなことをするのかと情けない。今、国がすることは感染症法 2 類を 5 類にし、PCR 検査を有料化することが最優先される。 5 類にすれば証明証など不要で、職場、学校の出欠は自由。医療逼迫なんて表向きなことで、働ける医療従事者も 2 類のせいで、PCR 陽性である限り無症状や軽い発熱程度でも仕事を休まないといけない。今、ここに来て感染拡大を防止する手立ては最早ない。人にうつさない様になんて無理で、風邪がうつることをなぜ恐れる必要があるのか。風邪を引きながら、仕事をしてきたではないか。他人にうつされたからと怒るような人は殆どいなかった。TVでは、『 朝から発熱者の診療で大変です。』 なんて重装備して診療しているクリニックがチラホラ映っているが、私にしてみれば不思議で仕方がない。今日も当院は朝 9 時前から昼 2 時過ぎまで深呼吸もする時間がないほど一般診療で込み入っていた。 3 時からはまた診察が始まり、 5 時で終わる予定が 6 時過ぎまでかかり、診療後は書類整理で 8 時までかかった。発熱者を診察できる余力など全く無く、TVに映るクリニックって日頃どんな診療をしているのかと疑う。もっとも、ワクチンもなく、肺炎~重症化する従来株、α 株、Δ 株の時期に必至で対応されていた医療関係者には頭が下がる思いであったが、オミクロン株になってからも発熱外来を必至でやることには冷ややかな目で見ている。言いたくはないが、発熱外来の届け出をして PCR 検査、診察を行えば、一般診療の患者診察の 4 ~ 5 倍の診療報酬が得られる。まあ、発熱外来をしない私が、このような批判をすることは決して褒められたことではないのだが、風邪相手にいつまでもこのようなことをし続けることを否定したいが故である。今、国がやらなければいけないことは、不可能な感染拡大防止を謳うことではなく、5 類に変更し、軽微な感染者を追い求めることをやめることである。


2022.7.11 熱中症

灼熱地獄のような毎日。診察の中、連日熱中症についての質問が大変多いので、2018/08/03 の ブログを紹介します。一読ください。


2022.6.15 オミクロン感染者減ってる? 

毎日毎日、相変わらず全国のコロナ感染者数を公示しては感染者数( PCR 陽性者数)が減少傾向にあると評価している。確かに PCR 検査を受けに行って陽性と判断されている数は公示の通り減少傾向にある様である。しかし、この数字がコロナの感染が減っているといって良いものかである。先に言っておくが、確実に毒性(症状の重症化)は弱くなっており、以前にも記したが、コロナはもはや唯の風邪以下と言っても過言ではない。診療をしていると、これまで以上に軽い風邪症状(咽頭痛、軽い咳、倦怠感)を訴える患者さんが増えている。発熱を訴える人は全くと言っていいほどいない。咽が痛いからと相談を受け、鎮痛剤とトローチを処方するが、オミクロンの症状でもあり可能性があることを伝えると、大体の人は PCR 検査を受けに行く。ほぼ皆、陽性と診断されて帰ってくる。そうなると無症状の家族も PCR 検査を受けさせられ、ほぼ全滅。一週間の自宅療養(軟禁)と一週間分の食料、酸素サチュレーションモニターが送ってこられる。全く、馬鹿げた話である。肺炎も起こさないのに酸素濃度を測ってどうするんでしょう? 咽の痛みはそこそこ強いようだが、それ以外は全く症状がない人が多い。耳鼻咽喉科はどうなのか聞いてみたいところである。発熱もないので、咽を診て、処方して終わっているところも結構多いのではと思われる。クリニックを含め、様々な店舗では入室時に体温を測定して発熱者を除外しているが、もはやコロナで発熱する人は滅多にいない。だから、連日見ている感染者数( PCR 陽性者数)は、氷山の一角の数を見ているだけ。感染者は決して減少はしていないと感じる。却って増えているかもしれないが、あまりにも症状が軽すぎるか無症状であるため、感染を自覚している人が少なくなっているだけのことである。それでいいじゃないですか。それだけ危険じゃないということである。新たな脅威の変異株が出現するまで、もうコロナ対策はやめればいいのにとつくづく思う。丁度、昨日、大阪府の感染症対策課からクリニックに直接電話がかかってきた。コロナ対応の検査、治療をしてもらえないかと、しらみつぶしにコロナ対応していない医療施設に電話をしているようだ。『 オミクロン株になって、まだ馬鹿なことをいつまで続ける気ですか。ここは循環器疾患の患者さんが長年通院され検査・治療を続けているクリニックです。これらの疾患で重症化する人もいます。コロナが優先される病気とは全く思いませんが。そもそも PCR 検査をやめてはどうですか。知事に言っておいて下さい。』と返答。2 年前には、大阪発のワクチンが秋には打てる! イソジンガーグルなどのヨード液でコロナが防げる! 第 6 波に対応してインテックス大阪に 1,000 床の野戦病棟を建築!  結局、軽症過ぎて自宅療養者が多く、半年での累積使用者が 300 人。解体された。連日 5割( 500 床)が使用され、一人 1 週間滞在すれば半年( 26 週)で延べ 13,000人が使用される計算であるが、300 人である。なにもかも勇み足の大阪府知事である。側近が悪すぎるのでしょうね。いい人なのに残念です。


2022.5.29 4回目ワクチン接種? まだ感染者数、数えてますか?!

モデルナワクチンを購入し過ぎた政府が、有効期限が近づき廃棄処分するワクチンの量が莫大であることを踏まえ、テレビCM を含め、躍起になって国民に接種を勧めている。4 回目の接種も悪くはないが、他国のデータではあまり効果がないといった内容である。感染予防効果は決して大きくはないが、重症化予防効果は大きいと謳っている。しかし、これまでも記してきたが、オミクロン株になってからは肺炎を起こすことはまず無く、そういう意味でも重症化しない。普通の風邪とどこが違うのかといったところであり、未だに連日感染者の数を数えたり、マスク着用の討論を行ったり、まさにマスコミや専門家と言われた人たちが、世間から見放されたくないといった感覚で、無理矢理これらの話題にしがみ付いているとしか見えない。オミクロン株もマイナーチェンジは繰り返しているようだが、イギリス株がインド株、そしてオミクロン株に変わってきたようなメジャーチェンジをする株が今後入ってくること、そしてその株が再度肺炎を起こすようなものなのか否かということには非常に興味深いが、今は風邪にかかることに恐れるのに等しいこの国民感覚をどうにかしてあげないといつになってもマスクをし続け、委縮した生活を続けることであろう。『 風邪が流行っている時に、マスクをしてましたか? 風邪に罹ることがそんなに怖かったですか?』 である。そういう意味でも 5ヶ月でワクチンの抗体価が下がるので再接種を勧めるのであれば、肺炎を来さないこのオミクロン株が続く間は、敢えて接種する必要はないと考えられる。当然、肺炎を来す変異株が国内に入ってきて、皆が一斉に再接種をしだしては混乱が生じることも考えられるが、この辺をよく考えて4回目の接種時期を考えられては如何であろうか。私も 60 歳以上になっているので 4 回目の接種券が今週にでも届くようだが、今は接種は見合わせようと考えている。コロナが落ち着いたあと、莫大な税金が何年にもわたって徴収されると考えると、経済の活性化を早急に行うべきである。外国人観光客によるインバウンド効果を期待するのもよいが、自国民が委縮し続けていてはなんにもならない。なんだか、アメリカ任せの防衛も自分たちではなにもせず、他力本願の感覚とよく似ていますね。


2022.5.3 GW後半

GW も後半。コロナが始まって一昨年、昨年と静まり返っていた世の中が、少し元気を取り戻したようで嬉しく感じる。オミクロンも少しずつ変異が起こっているようであるが、毒性がこの程度であれば全く気にする必要もなさそうである。クリニックにもちょこちょこ感染者が紛れて診察に来られている。『 熱はありませんが、咳と咽が少し痛く風邪を引きました。風邪薬もらえませんか。』 といった類の訴えである。 風邪は一部の細菌やマイコプラズマなどを除き、ウィルス感染によるものであるので、現時点でオミクロンより感染しやすいウィルスなどいない。手洗いやマスクをして生活しているこの時期に、オミクロン以外のウィルスに感染するくらいなら遥かにオミクロンに感染しやすいはずである。『 あなたは、コロナ(オミクロン)に感染していると思います。咳止めと炎症止めを出しておきます。ご家族も同様の症状がでると思いますが風邪と一緒です。怖がらなくて大丈夫です。 』というと急に脅えだしてしまう。毎日、馬鹿みたいにコロナの番組を見ているのに・・・。
さて、私事であるが、4 月 27 日(水)、午前の診察中に母親が亡くなったとの連絡(メール)が入った。90 歳、老衰である。5、6 年ほど前から加齢による訴え(しんどい、しんどい病)が始まり、年々酷くなり、自宅で姉が中心に介護を務めてきてくれた。亡くなる 2 ~ 3 週間ほど前まではトイレに起き上がったり、会話をしたりしていたが、このころより トイレにも立ち上がれなくなり、訪問看護ステーションにある小規模多機能型居宅介護といったものを利用して個室に入れてもらった。しかし一週間ほどでこの世を旅立ってしまった。水曜日は診察が午前中だけなので、診察が終わって予て検討していた自宅近くの葬儀会館に向かった。母の亡骸は既に姉の手配で会館に安置されていた。翌日は午後の診察が 17 時過ぎまであるということで 19 時から通夜となり、翌々日(祝日)に葬儀を終えた。葬儀翌日は普段通りの診療ができた。これも、私の仕事のスケジュールを気遣ってくれた母親の気配りかと勝手に感謝している。60 歳にして私は身内の葬儀は初めてであった。祖父母をはじめ、親戚の葬儀に立ち会った経験がなく、精々、他人の葬儀に参列する程度であり、今回の葬儀が初体験であった。高齢となった親戚を呼ぶこともなく、まさしく我が家だけのこじんまりとした葬儀をさせてもらった。家族葬とはいえ、打合せはしっかりしており、通夜、葬儀本番は司会者までおられ、エレクトーン演奏で気を和ませてもらったり、懐かしい写真のスライドショーをしたりと内容は一般葬と変わらなかった。少しは華やかに送ることができ、関係者の方々には大変お世話になった。自分も、死んだときは同じような葬儀を受けたいものだと感じた。


2022.3.7 オミクロン株による死亡は衰弱死

感染ピークも終わり、感染者数は下降に向かう時期に来たようだが、相変わらず症状は一般の風邪とさほど変わらない。肺炎を起こし、比較的若い世代でも急変し重症化し、呼吸器や ECMO を装着されたこれまでのコロナ感染と異なり、やはりオミクロン株は非常に稀なケースを除き、肺炎は起こさない。感染者が桁外れに多い今回の第 6 波では、当院でも感染された患者さんが結構おられる。予約診療をしている当院では、感染された患者さんから度々、『 2 日間ほど 38 ℃前後の熱と咽頭部不快があり、検査を受けたら PCR 陽性でした。診察の予約のキャンセルをお願いします。』という類の連絡が多い。皆、風邪となんら変わらないという報告である。実際、大阪府の最新調査では、12 月から 2 月末までの死亡者 800 人の 9 割がコロナの重症者に該当せずに亡くなっている。いわゆる、衰弱死である。風邪で死亡するほどの日頃の抵抗力の低さ、慢性の肺疾患・心疾患などが悪化するも、高齢の為、家族が積極的治療を希望せず亡くなっている症例が 90 %あるということである。残りの 10 %については、人工呼吸器装着あるいは ICU(集中治療室)入室から亡くなった症例であるが、先述の如く、オミクロンによる直接的な肺炎ではなく、抵抗力のない高齢者特有の二次的肺炎(誤嚥性肺炎、細菌性肺炎)による呼吸器装着などが推測される。70 歳以上の高齢者の死亡者が多いと一括りに報道されているが、自分で食事ができ、買い物ができ、散歩もできる高齢者が衰弱死するはずがなく、この方たちが例え感染しても風邪程度で終わるはずである。亡くなられた方には大変気の毒ではあるが、このような結果を踏まえても、未だに蔓延防止等重点措置の更なる延長など、全く理解に苦しむ。元気な世代が風邪を引くことに騒ぎ立て続けている国や地方自治、そしてマスコミ。結局、彼らが世間を洗脳しているだけのことである。彼らを手助けしている政治受け、マスコミ受けで英雄気取っている医者が 10 名程度いるようだが、これまた罪な人間である。今、日本には実働している医師が 40 万人以上いるが、一部を除き殆どの医師は賢明でこの 10 名ほどの人間に嫌気をさしているはずである。国に反論する、マスコミに反論する医師は当然除外されてしまう。2 年前、初代のコロナ対策分科会の会長はすぐに辞退となり、副会長の尾身氏が現在会長を引き継いでいる。


2022.2.19 厳寒のゴルフ・・・ゴルフの真髄

子供の頃は野球、学生時代はテニス、スキーなど色々スポーツが好きで経験してきたが、今となればテニスすらすることなく、二人の娘が小さい頃は毎年スキーに出かけたが、もう 10 年以上スキーもしていない。学生時代は、YMCA の子供たちのスキー講習のインストラクターをしたりもしていたが、何しろ寒いのが大嫌いな私は、プライベートでスキーに行ったときは、雪が止んでいる時しか滑らない。ほとんど喫茶でコーヒーを飲んで雪景色を眺めていることが多かった(笑)。今、野球、テニス、スキーといった選択肢がなくなり、残されたスポーツはゴルフだけとなった。ゴルフに興味のない人からすれば、あんな棒を振り回してどこが面白いのかといったところである。確かに、単純な作業には思えるが、広大なゴルフ場を 1 日かけて大きく振ったり、小さく振ったり、そして最後はコツンと球を棒に当てて穴に入れる。しかし、これが病みつきになる。ゴルフをやる人なら分かるであろうが、毎回、自己ベストを出す勢いでスタートするのだが、最早途中で断念するような時の方が多い。私のベストは 76 であるのだが、これも 5 年ほど前に出したっきりで、 77、78、79 はあるもののベスト更新には至らない。先月、雪のちらつく寒い日に、父親と 2 年半ぶりに二人でゴルフに出かけた。父親は昨年 12 月で 89 歳になったが、今でも猛暑、厳寒の中でも週 1 回はゴルフに出かけている。今回も、かなり寒くなるとの天気予報であったのでキャンセルを進言したが、『 雪が積もらない限りはキャンセルの理由にならない 』 と改めてゴルフの本来の意味を気づかされた。この日は 1 番スタート。キャンセルする客も多かったのか、父親と私とキャディーさんの 3 人で先頭を廻った。グリーンはカチコチに凍っていて、折角上手くグリーンにONしたかと思ったら大きく弾かれ、奥まで転がってしまう。こんな時は短めにグリーンの手前に落としてグリーンONをしていかなければならない。なかなか頭を使うゴルフだった。飛距離が落ち、ボールも飛ばなくなった高齢者ともなると、ティーグラウンドは女性と同じようなところから打つのだが、この日 父親は、私に合わせてレギュラーティーから一緒に廻った。当然飛距離が落ちているので、パーONなどできない。しかし、グリーン周りは流石に超一流。ピタっとピンに寄せてくる。昼食を挟んで後半の 9 ホールは、寒さに加えて風が強くなり最悪のコンディション。私は最早耐えるに忍びない気分でゴルフをやっていたが、寒さを微塵も感じさせない父親は、却ってゴルフを楽しみ調子を上げる状況であった。なんと、前半こそ 39 vs 52 であったが、後半は 46 vs 46 と引き分ける結果となり、89 歳にしてレギュラーティーから雪の舞い散る寒く風の強い日に 98 で廻るなんぞ、世界中探してもそんなにいないと思える父親が誇らしく嬉しかった。寒い季節はゴルフを中断なんて言っている我々軟弱ゴルファーには、愚痴も言わず楽しそにラウンドしている父親の姿に真のゴルフを教えられたようで感動した。父親は、60 歳の時にゴルフ倶楽部のシニア選手権で優勝、70 歳の時にグランドシニア選手権で優勝。75 歳の時にシニア杯で 75 で廻るエイジシュートを達成し、この 3 つの記録が倶楽部の額に永久に保存されている。今、私も 60 歳。秋のシニア選手権目指して頑張ろうと思う。


2022.1.30 宇宙旅行

先日、ZOZOTOWNの創業者である前澤氏が民間人で初めて宇宙旅行をしたと少しニュースになった。凄いことなんだと思ってはみたが、同伴者の分を含め 100 億円の費用がかかったとのことに更なる驚きを感じ、その額こそ我々には宇宙規模?といったところである。人類史上初めて月面着陸に成功したアポロ 11 号は、私が小学 2 年生の時( 1969 年)のことであった。月面に降り立った宇宙飛行士が星条旗を月面に立て、重そうな宇宙服を着ながらぴょんぴょん跳ねながら移動しているTV画面を今でも鮮明に覚えている。子供ながらこれが宇宙だという雄大さを感じ、父親の協力を得て、夏休みの課題にアポロ 11 号の記事をまとめた。着陸船がイーグル、司令船がコロンビア、船長はアームストロング、他 2 名の飛行士はオルドリン、コリンズなんていうことは 50 年以上経った今でも覚えている。地球から月までの距離が 38 万kmである。地球の半径が約 6,400 kmであることから計算すると、地球を 30 個ほど並べた距離になる。『 30個?』 近いような遠いような曖昧な感覚である。さて、今回の前澤氏の宇宙旅行であるが、TV取材では 『 地球はどう見えましたか? 』 なんて在り来たりの質問が飛んでいたが、実際どう見えたか計算してみた。彼が到達した宇宙は地球から 400 kmの国際宇宙ステーション。月から見える青い球体の地球などを想像している人が多いと思われるが、たった 400 kmでは地球の全体像を見ることは不可能である。 400 kmといえば、東京~大阪を直線で結んだ距離に相当する。宇宙どころか地球規模でみても小さな数字である。具体例として地球をテニスボール( 直径 6.5 cm )に例えてみて計算すると、地球の直径は 12,800 km( 128×10⁷ cm)であるので、テニスボールの表面からたった 2 mm離れたところに旅行したことになる。『 えっ! 』 という驚きである。では地球はどう見えたか? 海辺で見える水平線や山から見える地平線同様、地上400kmから見える地球と宇宙の境界線は小学校?中学校?で学ぶ直角三角形の3辺の関係 A²+B²=C²で計算できる。A²+ 6,400² =( 6,400+400 )² よって A=2,298 。 要するに宇宙ステーションからは約 2,300 km先までしか見ることができず、この距離は沖縄から北海道の距離にほぼ等しい。従って、沖縄上空を通ったとき、ヨーロッパや、アメリカ大陸どころかハワイすら見ることはできず、せいぜい北海道までしか見ることができない。それくらい、地球に近いところを通っているということであり、地球が一つの球体として見ることなど全く不可能なのである。但し、宇宙空間ではこの宇宙ステーションは時速 27,700 kmという凄い速さで地球上を周回しているので沖縄~北海道間は約 5 分で通過してしまい、新たな地球の光景が次から次へと目に入って来ることであろう。無重力を味わえるものの窮屈な1週間の生活。贅沢な食事が出されるわけでもなく、のんびりと地球全体を眺めることができないこの旅行。100 億円は高すぎるのではないだろうか。まあ、どこまで値下がっても我々には手が届かない金額ではあるのだが・・・。コロナ禍で行き詰ったニュースばかりのこの時期に、明るい話題を提供してくれた前澤氏には大きな称賛である。ちなみに彼の総資産は 2,000 億円以上なので、 100 億円使っても痛くも痒くもなく、人にできないことをやり遂げてきている彼にしてみれば素晴らしい使い方なのかもしれない。次は月旅行を考えているらしい。凄く楽しみである。

参考; 果たして地球の上空どこからが宇宙になるのかと調べてみると、100km(カーマン・ライン)以上が宇宙であるらしい。すぐそこですね。


2022.1.26 オミクロンの功罪

昨年 11 月ごろより第 5 波が収束し、クリスマス、正月はのんびりと過ごせると思った 12 月下旬に、南アフリカから発生したオミクロン株が日本でも拡散しだした。今日も日本中は過去にない感染数を示しているようである。連日、発熱、咽頭痛、咳といった感冒症状を認めたと大騒ぎして、医療機関や無料 PCR 検査場は長蛇の列。1 ~ 2 時間並んでいるなどと新聞には書いてあったが、まるで TDL や USJ のようである。まったく馬鹿馬鹿しいというか何を考えて検査を受けに行っているのか不思議でならない。感冒症状程度では自宅療養しかできないのにわざわざ寒い中、自分で体調を更に悪くしに行っているようなものである。検査陽性率が約 50 %であるということは、列の前か後ろの人のどちらかは感染している計算になる。1~ 2 時間も前後で並んでいれば、陰性の人も 3 日後には陽性になっている(オミクロン株の潜伏期 3 日)。いわば、検査に行っている人はほぼ全員感染する計算になる。既に報告されているように、オミクロン株は咽頭で感染し、肺胞細胞には感染しにくいことが判明している。いわゆる『 咽風邪 』 ということである。従来の風邪と変わらない。オミクロンから直接的に肺炎を起こすことは非常に稀であるということである。高齢者で心不全を繰り返す患者や、肺気腫など慢性の肺疾患を抱えている患者は普通の風邪を引くだけでも二次的に肺炎や心不全の悪化にて重症化することは珍しくなく、詳細は不明であるが、今回のオミクロン感染による重症化はそういったものと変わらないと考えられる。当院でも毎年、冬になると風邪を引いて数日後に肺炎を併発し、病院に入院するケースは珍しくない。大体は誤嚥性肺炎が多い。オミクロンの出現を予想していなかった 11 月ごろは、第 6 波は小さな波と推測していた。波の大きさから言えばこの推測は大きく外れたことになるが、実際オミクロンのお陰で重症者や死亡者は予想を大きく下回っている。正月明けごろより高齢者のワクチン効果(抗体価)は非常に低下し、くすぶっていたデルタ株に高齢者が中心に感染しだし、デルタ株感染が再燃しだし、重症者や死亡者が激増するものと考えていた。幸い、オミクロンのお陰で、そのデルタ株を追いやり、重症化を阻止してくれた形になっている。オミクロン様様である。当然、オミクロンの出現がなければ、今のような莫大な感染者数はなかったであろうが。今、慌てて 3 回目のワクチン接種を行おうとしているが、デルタ株が出現しだした頃には、ワクチンの効果は弱いかもしれないと専門家?から発表があったが、2 回接種した医療従事者や高齢者の感染は見事に抑えられた。しかし、今回は 3 回接種したにも関わらず、医療従事者はそこそこ感染している。確かに、2 回目に接種したときの 10 ~ 50 倍ほどの抗体価の上昇を認めるというデーターを先行発表しているところがあるが、にもかかわらず医療従事者等の感染者が以前より多いということは、オミクロンにはワクチンの効果はこれまでに比べ低いということである。診察中に患者さんから、今回のワクチンの効果が弱く、オミクロンの毒性が低く風邪程度なら、3 回目のワクチン接種はしなくていいのではと質問されることがある。私は先日接種したが、今回のオミクロン株の予防にはさほど期待していない(万が一、感染したら解熱剤を服用して 2 ~ 3 日大人しくしていればいいと考えている)。しかし、オミクロン株の次に来るであろう変異株への備えと考えている。その変異株の毒性が強かったら、今このタイミングで接種を逃してしまうと後悔することになってしまうであろう。まあ、その変異株にも効果が低ければ同じことではあるが。今、マスコミは数字ばかりを誇張し世間を煽りまくっているが、重症化することなく、肺炎になることもない今こそコロナ感染の息抜きの時期と思っている。


2022.1.10 令和4年 オミクロンと共に明けた新年

令和 3 年は疾風の如く過ぎ去ってしまったような一年だった。昨年のコロナ第 5 波が終わり、暫く安堵な時期を過ごすことができ、外食や旅行など多くの人たちが楽しんでおられたのも束の間。年末からオミクロン株が急激拡散しだし、1 月になってからは二次関数的に増え続けている。これまでとどこが違うかと推測すると、この感染様式はデルタ株でも言われた数メートル四方の空気感染がもっと強烈になっているものと考えられる。要するに、マスクを外した感染者が数メートル四方に一人でもいれば、ほぼ全員感染するほど感染力が強いと考えられる。今まで以上に飲食店に行けば危険で、ほぼ確実に感染するであろうと思われる。つい立など全く効果なく、話しをするときだけマスクをしたって効果は低い。飲食店に行くなら、ある程度の覚悟を持って行かなければならないであろう。飲酒なんて関係なく、マスクを外すところに行けば全滅でしょう。安全を期するなら、3 回目のワクチン接種とオミクロン株感染のピークが過ぎてから飲食、旅行に行くのがいいだろうと思う。しかし、相変わらず重症者が少なく軽症で終わるという報告(報道)が中心になっている。この言葉、非常に曖昧で、我々が知りたいのは肺炎がどの程度起こっているのかということである。もう少し、TVに出てくる医者も芸能人気取りせず、ポイントを抑えた解説をしてもらいたいものである。インフルエンザもこの冬は流行するので是非ワクチン接種をするようになんて飛んでもないことを言うので、10 月ごろはクリニックの受付はパニックでした。こんなの流行する訳がないと否定するのも大変で、案の定、83 万人の堺市は 1 月現在で定点報告でゼロ。例年、12月には学級閉鎖が頻出している小中学生の感染もゼロである。専門家?? 全国の医療施設に迷惑をかけた分、牢屋にでも入っていて欲しいところである。高齢者は、従来の風邪でも肺炎を起こして入院したり、発熱が数日続いて食事が摂れなく脱水になり、そのまま重症化し入院になるケースもある。このようなものを重症といわれてしまうと、本来のオミクロン株に対する警戒感が変わってくる。兎に角、肺炎になるケース(年齢、体格、男女差など)を提示してもらいたい。恐らく、従来の風邪とあまり変わらないのではないかと推測する。私が医者でなければ、もし発熱、咽頭痛などが出てもPCR検査は受けない。黙って、自宅で療養しておく。数日経って悪化するならその時点で考える。家族に感染しても風邪がうつった程度なら大きな迷惑は掛からない。コロナの内服薬? そんなの数が少なくて廻ってこない 。しかし、今、現役の医者をしている以上、感染する訳にはいかず、私と私の家族は、11 月ごろに緩んでいた外食などは当分しないこととした。2 日前、53 歳のNさんからクリニックの受付に報告の電話があった(私は診察中だったので直接話を聞けなかった)。『 朝から少し悪寒をしたので体温を測ったが正常。薬局で無料で PCR検査をしてくれているので検査を受けたら陽性でした。 』 要するに感染の報告です。この後、ホテル療養なのか、自宅療養なのかは不明であるが、わざわざ PCR検査を受けなくても、自宅で 2~3 日様子を見ておけばよかったのではと思われる。最早、家族は感染していると思われる。他人に移しては迷惑だと律義に考えておられる方も多いと思われるが、感染拡大を防ぐことは 100 %不可能である。家族で誰かが罹れば皆掛かる。それぐらい、感染能力は強いようである。まあ、今まで以上にマスクを外した人のいるところに行かないことが唯一の予防になるのだが。当院で昨年末までのコロナ感染者は 10 数名(申告者)、死亡者 3 名だった。カラオケ、飲食店を頻繁に訪れる本人、家族からの感染、そして重症化(人工呼吸器装着)した患者さんは 85 歳以上の 2 名と 40 歳台、50 歳台の極端な肥満者の方という特徴があった。これは従来株、デルタ株でのことである。オミクロン株の注目すべき点は、兎に角、肺炎患者の割合とその特徴(年齢など)を早く公表されることである。昨年 12 月から始まった医療従事者の 3 回目のワクチン接種。昨日、私も接種を受けた。5 時間後より接種部位の筋肉痛を今日も感じているが、2 回目のような悪寒や倦怠感はなく、1 回目のような筋肉痛だけである。


2021.12.24 小梅と散歩

外に出るのが億くうなこの頃であるが、今日も小梅と散歩に出かけた。小梅の散歩はいつの間にか私の役目となり、8 年間二人(一人と一匹)だけの時間を楽しんでいる。私と小梅は同じ 11 月生まれ。先月小梅は 8 歳になり、私は遂に還暦を迎えてしまった。最早、小梅を散歩に連れて行くというより、小梅が私の散歩に付き合ってくれていると言った方が適当なのかもしれない。真夏はアスファルトの暑さで小梅は朝しか散歩ができないため、私は毎朝 5 時半に起きて出勤前の 1 時間、散歩に付き合っている。冬になると流石に朝の散歩は困難で、夕方になる。週 3 日は私の帰宅が遅いので、散歩はできない。こんな日は、庭で遊んでいるようだ。残りの 4 日は、夕方に散歩に出かけるが、流石に最近は寒いので散歩をすっぽかそうと、ダイニングで腰掛けてコーヒーでも飲んでいると、小梅は時計が読めるか、5 時半になるといつも私の足元に寄ってきて、小さく咽を鳴らし、伸び上がって両足を私の膝に置き、『 行こ、行こ 』 と左足で私の膝を掻く。この仕草にはメロメロになってしまい、『 わかりました。行きましょう!』ということになる。本来、小梅が散歩に行きたいのでこのような行動をとるのであろうが、今では私の足腰が衰えない為に、寒い日でも小梅が付き合ってくれているのだと理解するようにしている。ゴルフで帰って来た日も容赦なし。結構山歩きしてきたのだが、更に 1 時間の散歩。散歩ルートはいくつかあるが、どのルートになるかは小梅が決定する。どのルートも1時間はかかる。用を足したり、すれ違う犬と挨拶したり、あちこちにマーキングをしたりと忙しい。小梅も我が家に来て 8 年。人間に例えればいいおばちゃんの年齢である。当初、ひやかしで覗いたペットショップでの出会い。一緒に居た長女がガラス越しに小梅を覗いていたら、店員さんに抱っこしてみますかなんて言われ、容易に抱っこさせてもらった。長女の膝の上にチョコンと座って身動きもせず、連れて帰ってと言わんばかりのオーラを発していた。この日はひやかしの如く店を出たが、自宅に帰ってからもこの子犬のことが頭から離れない。家族に犬を飼う(買う)ことを了承してもらい、翌日引き取りに行った。兼ねてより、犬を飼うことを一番反対していた私が言ったものだから、家族は驚きである。家族総出で店に迎えに行き、帰りの車内で犬の名前を提案しあい、結局 『 小梅 』と決まった。これが小梅との出会い・縁である。後付けであるが、実は小梅は人間でいうクオータで、父方のおじいちゃんが、アメリカ生まれ。フレンチブルドッグなのにアメリカのクオーター? このおじいちゃん犬、アメリカとメキシコでのドッグショーでチャンピオンの称号を得ている。母方のおじいちゃんは日本生まれで、これまた日本のドッグショーでチャンピオンの称号を得ている。曽祖父までの 4代の家系図が描かれた国際公認血統証明書というものが自宅に送ってこられ、これらが記されていた。これまたオッタマゲた。凄い犬なんだ!と家族で暫く眺めているといった面白い光景を思いだす。我が家はどんな家系なのか全く知る由もないが、精々、娘たちにすれば 4 代前まではさかのぼることができるが、この家系にはチャンピオンはおらず小梅以下である(笑)。1 年ほど前から小梅の瞳が白内障のごとく白く濁りだした。騙されたと思いつつペット用のルテインを購入し、朝、夕の餌に混ぜて食べさせていると、何と今では以前のように澄み切った瞳に戻っている。へえ~、効くんだね! 私も、2 月に網膜剥離になり眼科に定期通院しているが、少し白内障が出だしていると指摘されている。小梅に見習って明日、ルテインを買いに行って試そうと思う。


2021.12.19 3回目のコロナワクチン接種は当院では行いません!

前例のないコロナワクチンの接種に対する皆さんの不安の軽減やアナフィラキシーショックが起こった場合の対処がすぐできるようにと、当院では高齢者に対してのみコロナワクチン接種に協力してきました。幸いにも一例もショックを起こしたりトラブルを起こすこともなく終了できました。(堺市では約 25 %の医療機関が協力しました。)
しかしながら、この間、受付業務、看護師業務に多大な負担が生じ、一般診療の検査を延期したり、気分不良者のベッド使用ができなくなるなど多くの問題が生じました。大きな病院や広いスペースのあるクリニックでなく、接種後の15分待機場所として全ての診療ベッドを椅子代わりに使用したりする状況でした。2回の接種で問題なく終了できた観点から、当初の目的は果たしたものと判断し、3回目の接種は当院では行わないことと致します。保健所から各自に届く封書や堺市広報などで集団接種会場を確認の上、予約・接種をお願いします。


2021.11.30 第 6 波、こんな形で来るとは!

またまた、ややこしい変異株であるオミクロン株が登場してきた。今の時点では情報が少ないため、暫くは情勢を見守って行くしかないが、少なからず知る限りでは感染力がこれまで以上に強く、ワクチンの効果が乏しいという非常に好ましくない報告である。最早、アジアでは香港でも 2 例が確認されていることから、日本に入って来るのも時間の問題と考えられる。岸田内閣が早々に外国人の入国禁止を決定したようであるが、海外からの日本人の帰国が許されている以上、彼らが大丈夫であるという保証は全くない。今後、確実に日本でも拡散されるという覚悟で対応していかなければならない。南アフリカ共和国ではデルタ株から急速にオミクロン株に置換されているという状況であるが、一部の報告では、重症者は少ないと言われている。まだまだ情報が十分でないのでこれ以上討論することはできないが、毒性が低ければ感染力が強くても不安感は軽減されるのだが。まさかこんな形で第 6 波が来るであろうとは想像もしていなかった。一筋縄ではいかないこの新型コロナウィルスとの闘いはまだまだ続くのかと思うと、再び、奈落の底へと突き落とされる気分である。もし、オミクロン株が拡散しデルタ株に置換するようであれば、3 回目のワクチン接種の意味はなく、改良型のワクチンができるのを待つしかないのかもしれない。3 回目のワクチン接種でコロナ感染は終了かと思っていたが、どうやら振り出しに戻りそうで残念である。


2021.11.01 11月になりました 今年の冬は?

早いもので今年も残り2ヶ月となりました。新型コロナ感染は、第 5 波も急峻に終焉を迎え、最近は、ごく少しの感染がくすぶっているものの比較的平穏な日々が続いている。さて、この冬は、第 6 波がくるのか? インフルエンザ感染が流行するのか?
感染症の専門家と言われる医師からは、ともに流行するような意見であるが、果たして本当にそうなのかと首を傾げたくなる。第 1 波~第 5 波全て、ピークが過ぎると急峻に感染数が減少してきた。マスクや手洗いの効果、人流を減らした、ワクチンの効果などと専門家と言われている医師は言っているが、毎回、このような急峻な減少は人間側の努力で生じるはずがなく、ウィルス側の問題であると考える。私は感染症の専門家ではないので詳しいことはわからないが、ウィルスが感染を増やし続けると、ある期間( 2 ヶ月間ほど)が来るとマイナーチェンジ(小さな遺伝子変化)を起こし、感染力を自ら弱めてしまうようなメカニズムがあるのではと考えている。そしてまた一定の期間をもって、感染力を強め、次の波を起こそうとして来るのであろう。しかし、これからは、若い世代の人たちもワクチン接種を済ませ、国民の 7 割以上がワクチン接種を行ったことにより、そう簡単にはこれまでのような感染拡大は起こらないと思われる。従って、感染者が入院もできない今回のような大きな波は来ないであろうし、例え 第 6 波が来たとしても、非常に小さなピークではないかと考える。本来であれば、国民の 7 割もワクチン接種をしたわけであるので、集団免疫は獲得でき、収束方向に向かうはずなのだが、ワクチンの有効期間が平均8ヶ月程度であると、先日の厚生省の発表からすると、完全収束は先送りになると考えられる。当院で250名ほどの接種者の中和抗体を測定したが、約1割ほどの方の抗体価が非常に低く、特に高齢者、男性、喫煙者で目立っていた。8月上旬で高齢者の2度目のワクチン接種が終了したことからすると、12月~1月ごろにワクチン接種を受けたとはいえ、このような抗体価の低い高齢者の感染者がそろそろ目立ちだすのではと危惧される。これが第6波(小さな波)になるのではないだろうか。また、インフルエンザの流行に関しても、専門家は昨年流行しなかったので今年は注意が必要で積極的にワクチン接種をするように勧めている。その影響で、クリニックは予約の問題でパニックである。インフルエンザはコロナ感染と違い、無症状(潜伏期間)の患者から感染することもなく、デルタ株のような数メーター四方の空気感染が起こることもない。いわゆる濃厚接触の概念(2M以内の距離で15分以上のマスク無し会話、直接咳やくしゃみを浴びせられ、吸入してしまうこと)さえ注意すれば連日、マスク・手洗いしているこの状況下で流行するとは思われない。少し心配なのが、若い世代がコロナワクチンを接種したという油断から、マスク無しでの生活環境でインフルエンザに罹患し、感染を家族間で拡散してしまわないかということである。私は、そして私の家族は今年もインフルエンザワクチンを接種する予定はない。当院は、発熱専門外来は行っていないが、この冬は2度のワクチン接種を行った方に限り、まず電話で対応後、診察、処方をする方針にしている。 
最後に、10月末での新型コロナ感染症患者の累計は 172 万 2 千人ほどである。無症状で申告できていない数もあるであろうが、感染が始まって2年になろうとしているが、日本の人口が 1 億 2,500 万人であることから計算すると累計感染者は、1.38 %である。この数字は医学的には非常に高い数字ではあるが、一般感覚からすると 98.6 %の国民は未だコロナに感染していないわけである。この数字、皆さんはどうとらえますか? コロナに罹る人は珍しい? 某芸能人が感染してなかなか入院させてもらえず、死を彷徨ったなどと体験談を語っており、国民は皆苦しんでいるのにこの医療崩壊は国の責任だなんて大声を発していたが、国民は皆?? ごくごくごく一部の国民と言い換えるべきですね。自己管理のできない愚かな人間が騒ぐことではない!皆、必死で予防対策に取り組んでいるのに。


2021.10.17 サイレンススズカ

今日は、競馬 GⅠ レースの一つ 秋華賞 がありました。生後 3 歳の牝馬限定の最高レベルのレースです。競馬ファンなら注目するレースで、優勝したのは 4 番人気の 『 アカイトリノムスメ(赤い鳥の娘) 』 でした。 1 番人気の 『 ソダシ 』 は、7 戦 6 勝の戦績をもってのレースでしたが、どうしたものか 10 着に沈んでしまいました。この馬は、優秀な競走馬としては非常に珍しい白馬で、大変注目されています。私が競馬に興味を持ち出したのは約 20 年以上前で、当時は阪神競馬場に幼い二人の娘を連れて行ったこともありました。間近で見聞する、第 4 コーナーから直線への馬の真剣な顔と、怒涛の如く駆け抜ける馬群、そしてその芝を蹴散らす凄まじい地響きには胸の鼓動を感じてしまうほどの興奮を覚えます。これはTVでは味わうことのできない醍醐味です。競走馬の名前はカタカナで 2 文字以上 9 文字以下と決まっており、馬名審査をクリアーしての登録になります。私が記憶している面白い名前の馬には、ビックリシタナモー、ロバノパンヤ、オレハマッテルゼ、オマワリサンなどがありますが、調べれば色々出てくると思います。最近は、以前ほど競馬に注目することが少なくなりましたが、平成初期には結構はまり込んでおり、お世話になった馬では名前が好きでついつい賭けてしまう マチカネフクキタル(菊花賞優勝)、牝馬でありながら堂々と牡馬に勝ってしまい、1997 年には年度代表馬(MVP)になった エアグルーブ(オークス、天皇賞優勝)、よーいどんとゲートが開いたとたん、残り距離を考えずに最初から全速力で走り 、2 着以下を大きく引き離して、そのまま優勝してしまう サイレンススズカなどまだまだあります。このサイレンススズカは、あまりの速さで自分の足を粉砕骨折してしまい、失速し途中棄権となり、その場で予後不良と判断され、安楽死させられてしまう運命にあります。あまりにも悲運であったこのレースは、1998年の秋の天皇賞( GⅠ )で、そのまま走れば驚異的な記録がでたであろうレースで、今でも鮮明に覚えています。これからが全盛という時に非常に残念な終わり方をしてしまいました。おそらく、現代の優秀馬をもってしても歯が立たないような、まさに世界一の速い競走馬であったと思います。競馬に興味の無い方も、一度このサイレンススズカという馬を調べてみて下さい。もっと言うなら、この直前のレースである1998年の毎日王冠(GⅡ)は、これまでの競馬界での名勝負の一つ(エルコンドルパサー、グラスワンダーという最強馬とのレース)で、是非、観てもらいたいものです。


2021.9.5 中和抗体測定 中間報告

当院では高齢者の方のみ対象に、コロナワクチン(ファイザー)接種を 5 ~ 6 週間隔で一人 2 回行いました。ワクチンの効果がピークとなるのが 1 ~ 2 ヶ月後ですので、そろそろ中和抗体価が気になる時期になってきました。接種者の御希望にて2 回目接種から平均 1.5 ヶ月後に、近隣の大病院でも使用されている アボット社の検査試薬を用いて、中和抗体 (S IgG抗体) を測定しています。検査試薬は会社ごとに基準値が大きく異なりますので、他社のものとは数値を比較することはできません。これから更にデーター(受診者)が増えると思われますが、今日現在の中間報告をします。 対象は 70 歳以上の方 61 名(男性 17 名、女性 44 名)でした。当院で 1 回目、 2 回目の接種を受けられた方 53 名(接種間隔 5 ~ 6 週間)、当院で 1 回目だけ接種され 2 回目は他施設で受けられた方(接種間隔 3週間)、1 回目、2 回目ともに他施設で受けられた方(接種間隔 3 週間)がおられます。当院で 5 ~ 6 週間隔で接種された方の中和抗体価の平均は 4,291 AU/mL 、 3 週間隔で接種された方の中和抗体価の平均は 1,392 AU/mL と、予想通り 6 週間隔で接種する方が 3 倍以上も高い値が得られました。また、6 週間隔の方の中には、10,000 AU/mL 以上を示される方が 4 名おられました。 3 週間隔では Max 3,107 AU/mLと 6 週間隔での平均値にも達せず、検査数が 8 名とまだまだ少ないながらも、1,000 AU/mL 未満が 6 名でした。 5 ~ 6 週間隔の場合、1,000 AU/mL 未満は 53 名中 3 名のみでした。 1 名は関節リウマチで免疫抑制剤を服用されており、 89 AU/mL と異常低値を示していました。これから、 50 ~ 60 歳台の方の受診者も増えて来られると思われ、年齢を考慮すると平均値が 2 倍、3 倍になるものと想定されます。一般には、高齢者、飲酒者、喫煙者、抗がん剤や免疫抑制剤、ステロイド製剤を服用されている方は比較的抗体価は低い結果になると想定されます。この数値がいくらであれば安全であるかということは今の時点ではわかりませんが、低値の方は今まで通り厳重な注意が必要と思われます。抗体価の高い方が感染することは考え難く、例え感染しても無症状あるいは軽症で、重症化することはありません。報道されているワクチン接種後の感染重症化は、抗体価が非常に低い人の場合です。今回は中間報告で、集計できた人数が少ないため、正確な統計的評価はできませんので、参考程度にして下さい。呉々も、今回の提示した抗体価数値はアボット社の検査試薬を使用しての数値ですので、他社の検査試薬での検査数値と比較することはできません。


2021.8.15 軽症者、無症状者の数を数えても・・・

連日、新型コロナ感染者の増加で日本中はパニックになっている。今、注意したいのは唯一点、40 ~ 50 歳台( 40 歳以上)のワクチン非接種者の感染である。60 歳台以上はかなりの方が最低 1 回のワクチン接種を終えており、非常に安全な状況になっている。30 歳台前半以下の年齢層は一部の稀な例を除いて、感染しても無症状ないしは 1 週間程度のインフルエンザに似た感冒症状で終わっている。堺市のデーターを抜粋して計算してみると、ワクチン接種前の 2 月中旬~ 3 月中旬の 1 ヶ月間でのPCR陽性者の年齢層の比率は、60 歳以上が 36 %、40 ~ 50 歳台が 29 %、39 歳以下が 36 %( 30 歳台だけでは 11 %と少ない)であったが、ここ一週間の平均では、60 歳以上が 7 %と激減、39 歳以下が 64 %と激増、問題となる 40 ~ 50 歳台が 29 %と横ばいである。明らかにワクチンの効果は面白いほどに現れている。また、無症状、軽症で治癒してしまう 39 歳以下の若年層がかなりPCR陽性数を増やしているわけであるが、この数字はあまり大きな意味は持たず、問題なのは、ワクチン接種前、接種後にも同様に 30 %程度感染する 40 ~ 50 歳台が重要で、彼らはかなりの確率で中等度~重症化(死亡)してしまう。医療崩壊を起こし得るこの年齢層の人たちは、ワクチン接種までは厳重な感染対策が必要で、特に昼夜問わず外食は慎むべきである。ワクチン接種を終えた人は、感染することにさほど怯える必要はなく、ファイザーにせよモデルナにせよ、感染予防効果は 80 ~ 90 %であって、逆に言えば感染する可能性は 10 ~ 20 %ある。しかし、全国に散っている病院勤務の友人医師や近隣病院の医師の話や海外の報告によると、ワクチン接種者の感染は 3 ~ 4 日程度の微熱や咽頭痛、頭痛程度で、あるいは濃厚接触者としてPCR検査を受けたら陽性だったという無症状が大半のようである。いわゆる軽い風邪で終わるということで、このような感染を恐れる必要はない。先日、カリブ海のクルーズ船内で 27 人のPCR陽性者が出たと大騒ぎ。乗船者には事前にワクチン接種を義務付けていたのにとニュースになっている。しかし、ワクチンのお陰で、無症状か軽症であるということである。全員がワクチンを打っているのにわざわざPCR検査をして無理に風邪の患者を探しているようなものである。何故騒ぐのか意味がわからない。折角の楽しいクルーズが台無しである。感染者なんてゼロにはならない。一方、ワクチン接種を受けていない 30 歳台以下の若年層の場合、感染しても風邪ないしはインフルエンザ程度の症状で済むことが殆どであるので、彼らに大人しくしてくれるように指示しても聞いてくれないのは当然である。その代わり、遊びまわった揚げ句、熱が出たからと不安になってPCR検査を受けに行き、陽性と判断されればオドオドと保健所や医療機関に頼るなど非常に情けないことはしないで欲しい。大人しく 1 週間ほど家で養生しなさいということである。それに反して、医療崩壊のカギになるワクチン接種を受けることができていない 40 ~ 50 歳台の方々は、他の世代の方と同じような行動は、ワクチン接種ができるまで慎んでもらいたい。甘く考えていると死にますよ。連日、過去最高のPCR陽性者数を記録したと世間を煽りまくっているマスコミと、意味も分からず一緒に騒いでいる素人のコメンテーターには呆れてしまう。40 歳以上の非ワクチン接種の陽性者数だけ数えておけば良いものを、無理矢理、風邪症状の患者の数を数えて数字を増やしているようなものである。ワクチンを接種された人たちは、飲食店や観光業界を救う意味でも、感染対策は怠らず積極的に活動すれば良いはずである。何を恐れれば良いのか、もう一度整理する必要がある。緊急事態宣言なんてまだまだ数字が増えても必要ないはずである。兎に角、40 歳以上のワクチン接種をされていない方々だけは要注意で、同じ人間が 2 回接種する前に、彼らに 1 回でもワクチン接種を早くしてあげることが最善と考える。


2021.8.6 3週間間隔接種は愚か!

5 / 19 から開始した新型コロナワクチンのクリニックにおける高齢者の個別接種は、昨日 8 / 5 を持って終了しました。合計 1,380 回の接種を行いました。看護師および事務スタッフの慎重かつ丁寧な作業により、1 回分のミスや無駄もなく無事任務を終えることができました。スタッフには感謝の念に堪えません。当院は国が推奨する 3 週間後の 2 回目接種を敢えて避け、他の先陣接種国のデーターを踏まえて、5 ~ 6 週間に 2 回目の接種を行いました(厚労省で許容される最大週 6 週)。幸いにも、最近欧米から報告されたデータでは、ファイザー製のワクチンでは 1 回目の接種後 11 日~ 2 回目接種までに 91.7 %の有効率がある(俗に 1 回目接種で 70 %程度の有効性があると言われていた)と報告され、2 回目接種から 1 週間~2 ヶ月後には 96.2 %の有効性があると報告されています。また、接種により得られる中和抗体の量は、3 週間後が最低で(残念ながら私は医療従事者として 3 週間後に接種されました)、12 週間後まで空けた接種を行った英国のデーターでは 3.5 倍もの抗体価を得たと報告されています。もっとも、3 週間後でも、有効な免疫反応を得ています。しかし、抗体価が多い方が感染予防や重症化の防止効果は優れており、更に長期にわたる免疫を得られるということです。2 回目の間隔をあまり空けすぎると、1 回目で得た免疫力が一時低下するため、英国やスペインなどのヨーロッパ諸国は12 週間後ではなく、8 週間後に 2 回目を接種しているようです。日本では未だに 3 週間後の 2 回目接種を推奨していますが、これはファイザー社の治験において、2 回目接種が 3 週間後であったという、只その理由からで、筋肉注射も別に皮下注射でも大きな問題はないものの、治験で筋肉注射であったからというまさしく、お役所的考えが貫かれている愚かな国といえます。世界の多くの国ではこの間隔を空けた 2 回目接種の効果は報道されているようですが、日本では、相変わらず低俗なマスコミが国に忖度してか、国からの報道規制があるのか、全く報道していません。5 月ごろに千葉大学が 3 ~6 週間後の 2 回目接種で同じような結果を得たというニュースが一晩だけ流れましたが、翌日からピシャリと報道されなくなりました。今回の新型コロナ感染症は人類史上初めての出来事で、医学的な教科書など存在しないにも拘わらず、なぜ先陣を切って報告してくれている他国のデーターを参考にしないか頭を抱えてしまいます。本当に、愚かな国に住んでいることに情けなく思う毎日です。東京は 1 万人以上、大阪も 5 千人程度の感染数は 8 月末までに起こってしまうことでしょう。前述の如く、1 回接種だけでも 91 %の有効性があるならば、より多くの人たちに 1 回でも早くワクチン接種をすべきであって、 2 回目の接種は先送りする方向転換を検討するべきと思われます。しかしながら、逆にワクチンの供給量が減少したからと、新規の予約を中止し、1 回目を接種した人の  2 回目接種を 3  週間後に優先接種するなど、馬鹿な大臣や役人どもの判断には怒りを通り超え、呆れ返ってしまいます。結局は、理論を説明することに努めるより、今までやってきたことを訂正することで多くの国民が騒ぎ立てることを防止する方策を選択している小心国家なのだと思います。当院でも、不満をいう方もちょこちょこおられ、2 回目の接種を集団接種で 3 週間後に予約した方が何人もおられました。 無駄な選択をしたことになりますね。


2021.7.22  コロナ感染症の収束は程遠い?!

今日は午前中、高齢者のワクチン接種を行うため、クリニックに出勤した。2 回目の接種が全て完了するのが 8 月 5 日となり、残すところ 2 週間となった。5 月 19 日から始まり、クリニックの看護師、事務員には多大な協力を得、ここまでなんの問題もなくワクチン接種を行うことができている。日頃は一般診療と並行しての接種であるため、私が直接接種することはなかった為、今日は祝日であり一般診療は休診なので、職員には休んで頂き (受付のYさんだけ手伝って頂いた) 、私が全て請け負って接種した。そのせいか、『 先生が直接打ってくれるのですか? 』 と驚かれる患者さんが結構おられ、『 特別料金を払わないといけないですね 』、『 ええ、結構高いですよ! 』 なんていった和やかな接種光景であった。中には、『 今日は診察しないのですか? 』 と、年中祝日といった生活をされている高齢者の方からすると、今日が祝日(海の日)とも思わず来院されたようである。東京をはじめ、大阪も再び感染者が増加してきている。お盆が終わり、9 月になるころには、大阪も再び 1,500 名ほどの感染者になるのではと推測するが、予防接種が始まっていなかった 4 月~ 5 月上旬に比べれば、高齢者の重症者はかなり減少するであろうことは周知の事実と思われる。若い年齢層が結構ワクチン接種を嫌っているようであるが、1 年前には若年者には感染しないと言われていたこのコロナウィルスが、変異を繰り返し、今では小学生、園児にも感染するようになってきた。更に先を見据えれば、現在若年者には重症化しないという事実が、ウィルスの更なる変異の繰り返しで、若年者も重症化することが珍しいことではなくなるという可能性を考慮しておかなければならない。このタイミングを逃すと、後で個々が接種を希望しても希望は叶わないことを承知しておく必要がある。また、これからの数年間は、ワクチン接種を受けた者とそうでない者をしっかり区別することで、安全な社会を形成していかなければならない。国を挙げてワクチン接種を行っている現在、我々医療関係者もその手伝いをしている立場からすると、世界的に肯定されているワクチン接種を個々の身勝手な不安だけで打たないといった者を同じ社会の中で同等に扱うわけにはいかないと考える。企業によっては接種者および非接種者リストの作成は差別に繋がるなんて、愚かな偽善を主張しているところがあるが、これは差別でなく明確にする必要のある区別であることを理解しなければならない。ワクチン接種を受けない者たちの間でいつまでも感染を繰り返し、集団免疫 ( 国民の 7 割ほどがワクチン接種を受ける ) ができない限り、コロナ感染症の収束は程遠いものになってしまう。2 回目のワクチン接種が終わっても、集団免疫ができない限り、3 回目、4 回目・・・とワクチン接種が続いていく。何事につけて、『 差別、差別 』 と騒ぎ立てるこのご時世。差別と区別の意味がわかっているのか頭を抱えたくなる。個人の自由が強すぎて、国の指導力が弱すぎることがこの日本という国を益々弱体化させていくことを危惧するのは私だけであろうか?『 がんばれ!ニッポン!』


2021.6.27 1回目のワクチン接種終了

65歳以上の高齢者のクリニックでのワクチン接種予約は約750名でした。当院では2回目の接種を厚生省が推奨する3~6週間以内の6週間を採用し、1回目をできるだけ多くの皆さんに接種できるようにしました。週に120名の接種をスタッフの協力で行ってきました。丁度6週間では720名が接種でき、本日でその720名の接種が終わりました。明日から2回目の接種が始まります。他の医療機関は、皆3週間後にしているとのことで、2回目の接種を集団接種会場で予約できたとキャンセルする方もいくらかおられました。お陰で、当院で1回目の予約をキャンセル待ちされていた方が繰り上がることができました。そもそも、集団接種会場の予約をすることができ、会場まで足を運ぶことのできる方はそう願いたいところでした。老夫婦二人で生活され、予約も上手くできず、大会場まで足を運ぶこともできない方の為にクリニックでの個別接種を協力したわけですから、近々始まる65歳未満の方の接種に対しては、クリニックでは行わないことにしました(予約高齢者が終わるのがお盆ごろですので、そこまで待つメリットもありません)。スタッフの負担は大きく、一般診療の検査なども十分することができず、接種後の15分間を待機して頂くために点滴室のベッド2台を4名の椅子代わりに使用したりと治療にも大きな支障がでました。3月ごろより準備に関する厚生労働省や大阪府、堺市保健所などから連日、書類やFAXが届き、目を通したり書類を返送したりと、診療後に多大な時間を割いてきました。今日現在もFAXの連絡は止みません。保健所も連日大変な作業をしているようで、当院とのメールのやり取りでは、夜間11時頃に返信してくれたりしています。『 遅くまで大変ですね、頑張って下さい。 』 とメールをすると、『 労いの言葉、大変励みになります。』 と返信がきました。世間は、他人を批判ばかりしているようですが、現場は皆、一生懸命働いています。国が悪い、自治体が悪い、保健所が悪い、システムが悪いと簡単に批判するマスコミ同様、洗脳されたかのような発言をする高齢者には呆れ返ってしまいます。ワクチン接種が当然の権利のように受けておられますが、電話が繋がらず予約が取れないと受付に怒鳴りに来たり、2回目の接種が遅いと不満を訴えたり、『 もういい加減にしろ! 』 と言いたい気分です。予約だけして、当日接種券を持参し忘れたり、届いていないなどと適当なことを言ったり、もううんざりです。ワクチンの副反応が怖い? 何が怖いものか! 感謝して痛みと熱に耐えるべきでしょう。熱が出た時の為に解熱剤を依頼された折、ロキソニン(ロキソプロフェン)を処方すると、カロナールが良いと皆言っているのでそちらを処方して欲しいという高齢者。ロキソニンの方が効果がいいのに。医者を馬鹿にしているのでしょうか。私は、覚えてますよ、この方達を。信頼関係を損ねる発言。今後の治療に影響出なければいいですが。ワクチン接種が終われば飲食や旅行でも行くのかと尋ねると、怖いからどこも行けませんという答えが多い。以前もブログに記しましたが、優先順位が間違っていることをここに来て証明できたようなものです。どこも行かないのなら、ワクチン接種などしなければいいのに。何の為にワクチンを打ったのか?千葉大学が3週間後の2回目接種は一番抗体価が低かったと発表すると、政府が火消しに走ってか、一夜限りの報道で終わったことを知る人は少ない。モデルナワクチンの2回目接種は4週間以降になっている。当院では4月の医療逼迫状況時に3名の患者さんが感染し亡くなられました。60台、80台、90台の日頃は元気な方でした。60台のYさんは若い頃より透析を週3回受けておられ、当院が開業した20年前に透析病院より、かなり心臓が悪いようなので精密検査をして欲しいと紹介がありました。心臓カテーテル検査、心エコー検査などにて拡張型心筋症と診断し、当時は少し歩くだけでも息切れを自覚し、透析中の血圧変動も大きく透析そのものも危険な状態でした。最悪、心臓移植しかなく、当時は治療法も確立されておらず、βブロッカーの少量からの漸増療法が効果があるのではという論文があり、ご本人、ご家族に了承を得て治療を開始しました。私個人が当時この治療を行ったのは4~5例だけでした。幸運にも、みるみる心臓の動きは良くなり、半年後には正常下限まで動くようになり、1年後には全くの健常者の心臓と見劣りしないところまで改善しました。現在では、この治療は普遍的となっていますが、全ての症例に効果的というわけではありません。今年3月、診察時に、『 先生、お陰で20年長生きさせてもらえました。当時、小さかった子供も今は家業を継いでくれてます。本当に感謝しています。 』 というのが最後の診察室での会話でした。透析病院で1回目のワクチン接種を打つ間際の感染だったようです。2回目接種の予定者が終わるのを待っていたのかもしれません。もし、1回でも接種できていれば状況は変わっていたのではと思っています。残念でなりません。『 Yさん、元気でね! 』


2021.5.23 2回目のワクチン接種

先週の金曜日に 2 回目のワクチン接種を受けて来ました。初回同様、筋肉注射そのものは痛みも殆ど感じることなく、また 5 ~ 6 時間ほどすると接種部の筋肉痛が出現してきました。ここまでは初回接種と何ら変わることなく経過していました。しかし、半日ほど経った就寝前には、手足の冷感とガタガタ震える悪寒を感じるようになりセーターを着こんで床に就きました。体温を測りましたが36.5 ℃ と平熱でした(2回目は 39 ℃ 前後の高熱が出る人が多いようです)。悪寒が 4 ~ 5 時間ほど続き、なかなか寝付くこともできませんでしたが、朝起きた時には全くいつもの状態でした。接種翌日が土曜日でしたので、半日の診療と雑用を終えて 16 時ごろ帰宅すると、何となく、腰~脚にかけての脱力感(気怠さ)と少しの息切れを感じるようになり、夕食までの数時間、ベッドで休みました。夕食を終えた後も、症状は持続していたので早々に就寝しました。前日、眠れなかった為か熟睡することができ、翌朝(日曜日)は気分爽快で元通りの体調に戻りました。色々な副反応の話を聞いていましたが、私の副反応は筋肉痛に加え、冷感、下半身の脱力感、息切れでした。当院も 5/19 から 65 歳以上の高齢者の方のワクチン接種を開始しています。 720 名ほどの予約を受付ましたが、 2 回目の接種を 6 週後までに設定できない方が 10 名ほどおられ、 8 月の予備予約となりました。早く、高齢者以外の勤労者の接種を開始してあげたい気分です。これまで通り、相手のマスク装着の確認、飲食店での食事の回避を徹底することで十分予防できると考えます。家族の中で一人でもこれらを怠ると、全滅します。もう少しです、頑張りましょう。


2021.5.5 コロナワクチンによるアナフィラキシー

今回のファイザー社のワクチンで起こり得るアナフィラキシー(重度のアレルギー)の原因物質はワクチンに含まれるポリエチレングリコールという成分であると考えられています。これはメッセンジャーRNA(m-RNA)というコロナウイルスの表面の突起状のスパイク蛋白を真似て作り出したタンパク質で、これに反応させて免疫細胞に抗体を作らせるというわけです。しかしながら、この m-RNA は非常に安定性が悪く、接種してもすぐに消えてしまうので、すぐ消えない為に、このポリエチレングリコールで覆うようにすることでワクチンを上手く作ることができたのです。しかし、このポリエチレングリコールで極一部の人がアレルギー反応(アナフィラキシー)を起こしてしまいます。ポリエチレングリコールは抗菌薬、下剤、注射薬の成分として、また化粧品にも含めれており、珍しい物質ではありません。蕎麦を食べて蕎麦アレルギーを起こす人、エビやカニを食べてアレルギーを起こす人がいるように、ポリエチレングリコールに対してアレルギーを起こす人がいるわけです。蕎麦でアレルギーが起こるからといって、エビやカニでアレルギーが起こる訳ではありません(中には両者にアレルギーを持っている人もいますが)。従って、何らかの食物アレルギーがあるからと、喘息があるからと、アトピー性皮膚炎、花粉症、蕁麻疹があるからと怖がる必要はありません。インフルエンザや肺炎球菌などの他のワクチンはポリエチレングリコールは使っていないので、これらのワクチン接種でアナフィラキシーになったからといって、今回のワクチンでアナフィラキシーが起こるのは無関係です。しかし、抗菌薬や注射薬、化粧品などで酷い湿疹などのアレルギー反応の既往がある方は注意が必要です。万が一、ポリエチレングリコールに対してのアレルギー反応が起こっても、症状に応じてアドレナリン、ステロイド、抗ヒスタミン薬等で対処できます。回復に時間が掛かる場合のみ、連携病院で1~2日の入院となります。過剰に恐れる必要はありません。但し、アナフィラキシーというのは簡単に言えば重度のアレルギー反応であり、原因物質の初回接触では起こらず、2回目に起こります。従って、1回目の接種で起こし得る人は上述の抗菌剤や下剤、化粧品などで何らかのアレルギー歴のある人であって、そのような既往の無い人が起こす可能性は非常に低いはずです。しかし、ポリエチレングリコールが他にどのような物資に含まれていて、それに対して過去に反応を起こしたか否かまでは判らない場合も多く、結局は誰が起こるかはわからないというのが正解なのかもしれません。但し、1回目のワクチン接種で何らかのアレルギー反応を起こした人は2回目のワクチン接種は受けることはできません。


アナフィラキシー関連ブログ

 


2021.4.29 ワクチン接種をしてきました

昨日、診療が終わって近くの病院で医療従事者のワクチン接種を受けてきました。予定より 1 ヶ月ほどの遅れでした。数日後より高齢者接種が始まるのに帳尻を合わせたような対応です。感染拡大の中、無症状感染者からの診察中の感染を非常に危惧していました。私の知り合いの医師数名がコロナに感染してしまい大変なことになってしまっています。他国はかなりワクチン接種が進んでいる中、これぞまさしく国の責任と言いたく、残念でなりません。昨日も診察中、コロナ重症者対応病院の医師から、当院の 93 歳の男性が感染して救急入院されたと連絡が入りました。この方の、これまでの治療の情報提供の依頼を受けました。予約患者さんでごった返している中、手早くこの方の疾患やこれまでの治療、検査結果、投薬内容などを記載し、FAX で送りました。非常に状態は悪いということです。よく、入院できたものだと思いましたが、このように、コロナといわず緊急入院すると、入院先から患者情報の提供依頼がされ、診療に非常に大きな影響が出ます。先のブログにも記載しましたが、症状発症する 2 日前から無症状でも感染させる能力があるので、患者さんには申し訳ないですが、ヒヤ~としました(前回受診は 3 週間前でしたので大丈夫のようです)。 ところで、ワクチン接種の状況ですが、インフルエンザワクチン接種のような皮下注射に比べ、格段痛みを感じず、打ったのかどうかもわからない程度でした。気分不良もなく、帰宅しても全く普通。 5 ~6 時間してから接種部の筋肉痛が出だしてきました。腕を動かすとそこそこ痛みは感じますが、動かさなければ感じません。デスクワークには全く問題ありませんが、ゴルフなどのスウィングはできそうにありません。今で、接種して 20 時間。まだ、痛みは感じますが許容範囲内です。個人差はあると思いますが、約 1~2 日で改善するようです。

高齢者からのワクチン接種は非常に問題があると感じています。吉村知事などよく経済も大切で経済を回しながらコロナ対策をしたいと繰り返し言っているようですが、それなら、勤労者をまず接種すべきであって、この年齢層を早く接種すれば、職場でのクラスター発生を気にすることなく、電車での感染を気にすることもなく(電車での感染は低いと思われますが)、また昼食、夕食、飲酒なども気にすることなく、飲食店の倒産の防止にも繋がるはずです。地域によっては 85 歳以上を先に接種するなど非常に愚策なことをあたかも正論のように行っている自治体がありますが馬鹿げています。高齢者には申し訳ないですが、人間皆平等というなら、そこまで長生きできた皆さんは後回しで、まだ 30 年、40 年しか生きていない人たちの余命を考えると、この人たちが先に接種するべきであろうと考えられます。高齢者を見殺しにするのかなどといったお叱りをうけるかもしれませんが、では、勤労世代からしても我々を見殺しにするのかと反論したいところだと思います。世界の平均寿命は 72 歳。この年齢にすら達していない人たちを優先すべきではないだろうか。人の意見は様々なので、私の意見には賛否がでることは覚悟していますが、根底には自分さえよければといったところがあるからなのでしょうか。実際、クリニックで 5/19 より個別接種が始まります。区役所から 65 歳以上の市民に接種券と案内が郵送されました。その中にはクリニックなどの医療機関で希望される方は医療機関に迷惑がかかるので 5/10 以降に電話で問合せ下さいと記載されているにも関わらず、我が先にとここ数日は、電話が鳴りやまない迷惑な状態が続いています。受付業務に非常に大きな支障が出ており、私も診察中に心疾患で通院されている患者さんの件で他院への電話問合せをしようとしても電話が使用できず、自分の携帯で連絡をするような始末。急ぎたい気持ちはわかりますがみっともない。当院は、このような状況はある程度予想していたので、郵送された案内の中に、協力医療機関としてクリニックの名前を記載しないよう保健所に依頼していました。記載でもしてしまったら、当院の患者さん以外の一見の方々からの電話問い合わせも殺到することでしょう。実際、記載している医療機関では、電話問合せが当院の比ではないようです。医療機関は一般医療の合間にワクチン接種の協力をするのであって、コロナの為だけにあるのではないことを理解してほしいものです。当院は、一見の方のワクチン接種は致しません。


2021.4.25 変異株の勢い

変異株の急激な拡散により大阪は連日 1,000 人以上の感染者数が続いている。感染力が強いだけでなく、重症化率も大きいようで、これまでのコロナ感染症といった捉え方では大変なことになってしまう。20 歳台から 50 歳台の感染者数が非常に多く、所謂働き盛りの世代の感染数が目立っている。仕事帰りの食事、飲酒などが影響しているのではと推測される。これまで、食事、飲食は危険であると言われてきているのに、まあ大丈夫だろうなんて気楽に考えてきた人達が墓穴を掘る形になってきている。痛い目に合うぐらいならまだ良い方だが、死んでしまっている人もいる。大阪では連日 15~20 名の死亡者が出だしている。週に 100 人のペースで死亡者が出ている。これまでのコロナでは考えられない数字である。この 1 年、外食もしていない私の元に、会社帰りに飲酒しました、ランチに行きましたなどと平気で言う患者さんがおられる。内心、このような患者さんはクリニックに来ないで欲しい。以前のブログにも書いたように、症状発症の 2 日前から他人にうつす危険があるのです。もっとも、双方のマスクは徹底しているので大丈夫だとは思っていますが。

感染拡大の原因をマスコミは若者を悪者に仕立ているが、果たしてそうであろうか? 若者の殆どは真面目である。一部の愚かな者がいるだけである。先日、堺市では 20 歳台の若者が、こんな時期に高を括って急性アルコール中毒になるほどの飲酒をし、救急車をコール。駆けつけた救急隊が受入れ先の病院を探すも見つからず。結局、救急車の車内で死亡してしまった事例があったようである。直接的にコロナで死亡したわけではないが、間接的にコロナで死亡したのである。こういうのも一部の若者のことである。では、中高齢者は皆真面目?否、そうではないはず。若者同様、殆どの中高齢者は真面目である。しかし、一部の愚かな中高齢者が迷惑をかけている。堂々とTVの街頭インタビューで自論を唱えている若者、中高齢者のシーンを目にすることがあるが、殆ど理解力の乏しい誤った判断を正論と勘違いしていることの多いのには驚きである( わざと、そういうインタビューを流しているのかもしれないが )。緊急事態宣言・・このような人がいるからやらざるを得ないのに、そんな人間がわかっていない。『 私は、手洗いも、マスクもしっかりしているのに感染してしまった。防ぎようがない。』なんて言っているのを聞いたことがあるが、マスクをしていない相手が傍にいればなんの意味もないのであることを 1 年以上経っても理解できていない人がいる。マスクは相手の為にしているのであって、自分を守っているためではないことが相変わらず理解されていない。自分がマスクをしているのは、相手を守っているのであり、相手がマスクをしているのは自分を守ってくれているのである。変異株ウィルス・・・甘く見てはいけないが、大きく恐れる必要はない。今まで通りの予防さえしていれば。


2021.4.4 猛威をふるう変異株コロナウィルス

大阪もアッという間に1,200例以上の一日感染者数を認めるようになりました。2週間前にブログで1,000 ~ 2,000 例あるいはそれ以上になることが予想されると記しましたが、まさしくその通りになってしまいました。世間では、変異株ウィルスの感染能力が従来のウィルスに比べて強すぎるから急激な拡散をしたと捉えられているようですが、その要因は否定しないものの、やはり緊急事態宣言が解除されたことに対する、多くの国民の気の緩みからの感染拡散の要因の方が大きいのではと思っています。緊急事態宣言が解除されたので、もう大丈夫、多少は騒いでも大丈夫と感じ、入学や卒業、入社や転勤など学校、職場関連の飲み会を含めた行事、桜の咲くころは年末年始以上に多くの行事や宴会が増える時期であることが、今回の拡散の大きな要因になったのではと思われます。折角、これからワクチン接種が始まろうとしている(一部では始まっている)時に、非常に残念な結果になりました。堺市では高齢者の集団接種が 5 月 1 日ごろから始まり、当院などのクリニックでの個別接種は 5 月 20 日ごろより始めると聞いていますが、未だ明確な案内は届いていません。もっとも、この時期になっても開業医や小病院の医療従事者は、ワクチン接種を受けることもできず、その日程の通知さえ届いていない現状です。どうやら高齢者の皆さんが先に接種を受けることになりそうです。できるだけ多くの方に接種ができるために、今、国で定めている 3 週間後の 2 回目接種は行わず、一通りの高齢者の方の1回目の接種が終わってから 2 回目の接種を行おうと予定しています。3 週間後の 2回目接種を遵守してしまうと、例えば1週間での接種人数が 150 人と設定すると、3 週間で 450 人の人が接種できるのですが、4~ 6 週目に再びこの 450 人の接種を繰り返すわけで、451 人目からは 7 週後からということになります。2 回目の接種を後回しにすれば、7 週目には 901 人目の人が接種できることになります。感染予防、発症予防の観点からは、1 回目の接種だけでも、さほど大きな差はないと確認しています。国の方針に逆らうようですが、逮捕はされないと思っています。本当、もう少しです。どうぞ、これまで通り、我慢し踏ん張ってください。


2021.4.4 狭心症、心筋梗塞(虚血性心疾患)とは?

当院は虚血性心疾患に特化した循環器内科であるということで、胸痛を主訴に来院される初診の患者さんが以前から沢山おられます。しかし、全く問題のない胸痛である場合が殆どです。受診される方は案外 20~30 歳台と若い方が多く、症状をインターネットで調べ、自分で狭心症、心筋梗塞と判断して来られる傾向にあります。そもそも、狭心症とはどうして起こるのか? 心筋梗塞はどうして起こるのか? ということを理解すれば、不安も解消するはずです。当院のホームページを見られて受診される方が多いので、下記を参考にしてからお越し下さい。

① 狭心症とは、冠動脈という心臓の表面を取り巻いている 3~4 mm程度の血管(パイプ)にコレステロールなどの塊(プラーク)が長年にわたってこびり付き、その血液の流れが悪くなることにより、心臓そのものが栄養をもらい難くなる疾患です。プラークは年々カチカチになってしまい、そうなればコレステロールの薬を服用しても最早手遅れということになります。これがいわゆる冠動脈の動脈硬化というものです。当然、冠動脈のみならず、脳血管をはじめ、全身の血管にも同様の影響は出てきます。では、コレステロールの塊(プラーク)がこびり付く原因は何なのかということになります。LDLコレステロール(悪玉コレステロール)が長年高値のまま治療なく経過している場合、糖尿病のコントロールが不良(HbA1cが 7 %以上)の状況が長年持続している場合、血圧が高いにも関わらず、症状がないからと長年放置している場合がその殆どの原因になります。長年というのは個人差がありますが 7~10 年ほどの場合が多いです。当然、年齢(男性では 40 歳以上、女性では 50 歳以上)というのもリスクの一つには上がりますが、前述のリスクが無ければ、狭心症や心筋梗塞を来す可能性は非常に低いということです。また、女性ホルモンは動脈硬化を予防する大きな働きをすることがわかっており、女性の場合は閉経してからが注意です。

② 胸痛といっても特徴があります。 冠動脈の全てにプラークがこびり付くわけではなく、こびり付きやすい部位というのがあります。胸痛といった症状が出るのは血管の直径の 3/4 ほどが詰まってくると起こりやすくなります。ではどんな時に胸痛がでるかということです。大人しくしているとき、座っている時、眠っている時など安静時には胸痛は起こりません。階段を昇っている最中、ジョギングをしている最中、荷物を運んでいる最中、テニスなどの運動をしている最中など比較的心臓に負荷がかかっている時に起こります。血管が最早 3/4 以上狭窄してきているわけですから、これらの労作をすれば再現性があります。半年に1回、月に1~2 回胸痛を感じるといって受診される方がおられますが、この程度の頻度では異常ないことがお解かりと思います。数年前に胸痛を感じ、近医で狭心症と診断され、今回久しぶりに胸痛が出ましたと言って来られる方も結構おられます。数年間、胸痛がでない狭心症などありません。診断が間違っていたことになります。また、胸痛の持続時間は 2~5 分程度です。一瞬や数秒、あるいは数十分~数時間などはあり得ません。但し、冠動脈が完全に詰まれば、最早痛みは消失せず、七転八倒し、息苦しさなども出現し、救急車を呼ばざるを得ない状況になります。これが心筋梗塞です。狭心症の延長線上にあるので、大抵は前述の狭心症を経験するのですが、15 %ほどの心筋梗塞は無症状(プラークの狭窄が 3/4 に満たない)から突然発症する場合があります。しかし、これらの症例もLDL高値、糖尿病、高血圧などが十分コントロールされていないはずです。循環器医はコレステロールに非常に慎重になりますが、他の領域の内科医は食事、運動療法を指示する程度である場合が多いです。コレステロールは乳製品や魚介類(イカ、エビなど)で上昇しますが、40 歳半ばを過ぎる頃には内因性のコレステロールが上昇して来ます。寝ている間に、肝臓で作られるコレステロールの量が年々増加していきます。これに対しては、食事療法や運動は無効で、薬を服用する以外はありません。内服治療を受けられ、正常に安定すると薬を止めたいと言われる患者さんが時々おられます。いわゆる素人判断です。身を持って理解してもらうために 2ヶ月休薬し、採血して確認しますが、当然再上昇しています。LDLコレステロールの上限値は 139 ですが、狭心症や心筋梗塞に罹患され、カテーテル治療を受けられた方はLDLコレステロールを 70~80 程度まで下げた方が、再発率がかなり抑えられると解かっています。ですので、当院の患者さんには一般の 2~3 倍の高脂血症の薬を投与されている方が結構おられます。正常であればいいのではありません。インターネットやTV、雑誌などによる薄っぺらい知識で私に対抗しようと来る患者さんがおられますが、かえって不利益になりますので要注意です。

③ 狭心症にはもう一つ、冠攣縮性狭心症というのがあります。画像上(カテーテルやCTによる造影検査)で狭窄が殆どない冠動脈で起こる胸痛発作です。これは前述と異なり、労作には関係なく、殆どが気温の下がる早朝や冬の外気、夏のエアコンなどの寒冷により数分間の胸痛を自覚します。狭窄が殆ど無いといっても、コレステロールや糖尿病、高血圧などによる冠動脈の内膜に障害(傷がつき)があり、その部位が寒冷刺激により数分間痙攣を起こして一時的に冠動脈の流れが悪くなって胸痛が起こります。殆どは数分で痙攣は消失し改善しますが、ごく稀に完全閉塞を起こし、血栓が形成され心筋梗塞を起こす場合があります。この痙攣による現象はニトログリセリン(ニトロペン、ミオコールスプレー)の舌下により 40~50 秒で改善します。20~30 歳台ではまず起こりません。先日も20歳台の方が他院で冠攣縮性狭心症を疑われ、当院を受診されましたが、冠動脈のリスクが全く無く、問題なく経過観察と診断しています。

問題のない胸痛の殆どは、ストレス、疲労、不安、環境の変化などの因子が精神面に影響し、自律神経の緊張感が高っまた状況が続くときに起こりやすいと考えられています。いわゆる不安神経症という状況です。これらの因子が解決されるか、軽い抗不安剤を一時期内服するかで自然に症状は消失していきます。心配し過ぎないことが改善の早道です。胸には心臓以外に、肺、大動脈、筋肉、神経などがある訳ですから、その点についての不安があるようでしたら診察を受けて下さい。


2021.3.31 新型コロナ 第4波

ここ数日、桜の満開と共にコロナ感染者数も急激に増加しだしている。2 月 3 日のブログにも記したが、予想範囲内のことで驚くことでもない。1~4 週間先には 1000 ~ 2000 人あるいはそれ以上の感染者数になることも予想できる。気候も良くなり、気分爽快といった外の景色を見れば、皆思いっ切り食べて、遊んで騒ぎたい気分になるのは当然である。特に若者がこんな季節に大人しくしていろと言われても気の毒である。この数字、若者が遂に痺れを切らしてしまった結果だと思われる。感染者の内訳を見ると、これまで以上に 20 歳台の感染者数が多い。半面、60 歳以上の高齢者数は少しは増加しているが、以前と大きく変わっていない。若者は無症状あるいは軽症で治癒してしまうことが殆どであるわけであるから、彼らがこの心地よい季節を楽しむことを非難するわけにはいかない。感染しても重症化しないので、医療逼迫の原因にはならない。若者同士で感染を拡げ合っているのである。簡単な話、運悪ければ風邪ぐらいは引くかもしれないけど楽しもうよ!といったところである。しかし、40 歳台以上の人間はそうはいかない。若者と同じような感覚で食べたり遊んだりしていれば、無症状者から感染し、最悪 重症化し死に至ってしまうことも十分あり得るということを理解していなければいけない。マスクをしていない若者に近づくな! 若者が立ち入る飲食店には入るな!いくら店舗がしっかり対策をしていても飛沫感染、接触感染の危険度が高い。別に若者を差別しているわけではなく、若者は若者で高齢者を気にし過ぎず楽しめば良く、中・高齢者は立場をわきまえて、今は若者のように欲求を晴らすようなことをしてはいけないということである。マスク会食? くだらん事を言ってる場合ではないですね。高齢者は若者が立ち寄り難い個室のある高級レストランなら安全ではないでしょうか。回転ずし?ラーメン屋?・・・ 中・高齢者はワクチンを打つまで我慢ですね。危ない! そういえば、ワクチン接種は大阪では、3 月 1 日からコロナ感染患者を扱っている病院関係者から始まっていますが、我々開業医レベルには未だ接種の連絡すら届いていない。医療関係者のワクチン接種は大阪府が担当しているが、高齢者をはじめ一般の方のワクチン接種は各市町村が担当しているので地域によっては順番が逆転するところも出てくるようである。当院では日頃通院されておられる患者の皆さんに接種を予定しているが、案外私より患者さんの方が先に接種することになるかもしれません。もう少しの我慢ですね。


2021.3.16  ヨーグルト(乳製品)は危険!

今日の診察で4人もの患者さんが同じような誤った考えで健康を害しておられました。4人は高脂血症(悪玉コレステロールが異常高値を示す疾患)で内服治療を受けておられ、前回(3ヶ月ほど前)の血液検査では共に良好な結果を得ておられた共通点がありました。今日の診察でこの4人の患者さんは共に悪玉コレステロール(LDL-C)が内服しているにも関わらず再び異常高値を示していました。皆さん共に、確実に服薬しているとのことでしたので、ヨーグルトや牛乳などの乳製品の取り過ぎがないかと確認したところ、4人ともに過剰摂取をしていることを打明けてくれました。『 ヨーグルトは健康にいい !』 と聞いていたので毎日ヨーグルトを沢山食べ、牛乳も飲んでいるという共通点がありました。『 健康にいい?』って、何。健康って何?と質問しても誰も答えることができませんでした。おまけに年を取ると骨が弱くなるので牛乳はいいと思っていたと恐ろしいことを言う患者さんもおられました。発育盛りの子供が牛乳を飲むのと違って、過剰に乳製品を摂ったり、カルシウムのサプリなどを服用すると大人の場合は血中のカルシウム濃度が上昇して、動脈硬化が促進され脳梗塞や心筋梗塞の大きなリスクになってしまいます。健康にいいどころか、健康に非常に悪いことをしているのです。ヨーグルトの良いところは精々、便秘にいいところぐらいでしょう。便秘対策に沢山のヨーグルトを摂って、心筋梗塞や脳梗塞になってしまっては元も子もありません。気をつけましょう。

過去のブログを紹介します。



2021.3.2 椎間板ヘルニアと網膜剥離

今年の 11 月で還暦を迎える私の体も、どんどん悲鳴をあげだしている。 25 年ほど前に右側の腰部椎間板ヘルニアになり、年に 1~2 度のギックリ腰を繰り返している。 10 年ほど前からは肩~背~腰の凝りが酷くなり、慢性の頚部痛、肩痛、腰痛に悩まされている。月に 3 ~ 4 度の鍼灸院に 10 ヶ月ほど通院したが効果なし。体が楽だと感じる日などこの 10 年間一度もなく、この先もそんな日が来ることはないと思うと悔しくて仕方がない。そんな中、先月( 2月)に左腰部が我慢できないほど痛み、左足先まで痺れるようになった。何度も姿勢を変えて我慢しつつの診察業務であったが、夕方の診察が終わるや否や、知り合いの整形外科クリニックに駆けつけ、診察を受けた。左腰部椎間板ヘルニアの診断で、腰部にブロック注射を受け、麻薬系の鎮痛剤の処方を受けた。お陰で痛み、痺れは半減したが、鎮痛剤の副作用で便秘、しゃっくりに苦しんだ。結局、右に加えて左の椎間板ヘルニアを併発することになってしまった。日に日に症状は軽快し、ホッとしたのもつかの間、10 日ほど前に少年期よりある右眼の飛蚊症が突然悪化し、今まで経験のない目の前を小バエが飛ぶような影や、毛糸が垂れ下がって右から正面を行ったり来たりする影を感じ、視界の不快感を覚えた。 3 日ほど様子をみるも改善ないため、診察が終わってから眼科を受診。 50 ~60 歳の近視男性に多いとされる網膜裂孔による網膜剥離と診断された。もう少し酷ければ、緊急手術であるとのことであったが、受診が早く、剥離の程度も軽いとのことで、レーザーによる光凝固治療で対処することができた。相変わらず、垂れ下がった毛糸の影は消えないが、剥離の拡大はレーザーで抑えることができホットしている。この影も改善なければ、種類の異なるレーザーで細かく砕くことができるようなので、少し様子を見て検討することとした。どれも加齢によって起こる疾患で、仕方ないことと理解しているが、連日長時間椅子に座って捻じれた姿勢で診察を行ったり、電子カルテを見つめながらキーボードを打ちまくる仕事の見返りなのかもしれない。 2 年前の 5 月、夏ズボンが窮屈で穿けないのでまた一回り大きなズボンを購入しないといけないと感じた時、このままではエンドレスになってしまうと恐れ、健康を意識しダイエットを始めた。朝は、トースト 1 枚とコーヒーと少しの野菜。昼は、ビスケットやクッキー 1 ~ 2 個とコーヒー。夜は、小さな茶碗に 6 割ほどのごはんに魚、肉を中心とした食事。おかずを大量に食べるのでご飯が少なくても空腹感はない。間食やデザートは控えた。要するに、昼ごはんの代わりに 3 時のおやつを昼に食べているようなものである。 2 ヶ月ほどすると体重が少しずつ減ってきだした。 70 kg弱あった多重が、67 kgほどになった。食事にも慣れ、引き続き、このままの内容で食事を続けると、体重はさらに減って 65 kg、64 kg、63 kgへとドンドン減っていった。目標は 65 kgであったので 63 kgは行き過ぎであるが、今は、朝の体重によって、昼を少し緩めた食事をするようにしている。今でダイエットを始めて 1 年 10 ヶ月になるが、今日は 63.4 kgだった。シシャモのようなお腹もシュンとし、ここ数年購入したズボンが緩々、ベルトの穴も合わなくなった。採血検査に異常なく、胃内視鏡検査も異常なかった。どうですか、昼ごはん減量ダイエット。皆さんにお勧めします。


2021.2.23 ワクチン接種は国民の義務

医療従事者のワクチン接種が始まりました。コロナ感染者を扱っている病院関係職員からの始まりです。どうもワクチンの調達数が少ないようで、3 週間後に同じ人間が 2 度目の接種をしていると、多くの人を接種するには時間がかかり過ぎてしまいます。これまでの報告では、1 回接種でもかなりの有効性があるようです。恐らく、欧州のいくつかの国が変更したように、日本でも 3 週間後の 2 度目接種は後回しになり、まずは全ての希望者に 1 回目を接種するのではないかと考えます。私ども開業医には今のところ接種日程や接種場所の連絡はありません。複数の大病院の関係者から聞いたところによると、コロナ感染者を積極的に扱っている病院従事者のワクチン接種希望者は多いようですが、そうでない病院の従事者の接種希望者は少ないようです。医療従事者である者が、週刊誌や SNS などの情報に左右され、一般人のような偏見を持って接種に消極的になるとは非常に情けない話です。御夫婦で内科クリニックを開業されているA先生ご夫妻も、様子をみてから一般(年齢別)で接種を検討すると言われていましたが、私から言えば医師の風上にも置けない情けない考えを持っていることには驚きました。ワクチン接種は、各々がコロナに罹らない為にということ以上に、皆さんがご存知の通り 国民の 6 ~ 7 割がワクチン接種をして抗体を持つことで、この新型コロナウィルスを収束することができる大事な国家戦略であるということを理解しなければなりません。収束できれば最早マスクを着用する必要もなくなり、2 年前の生活に戻れるということです。しかし、ワクチン接種に消極的な国民が多くなり、接種率が 6 ~7 割に達しなければ、この先 4 ~5 年はまだこの状態が続きます。接種した人は取り合えずは安心できるのですが、いつ抗体が消失して現在の状況に戻ってしまうかわかりません。そうなれば、またワクチン接種の順番待ちということになり、現状と変わらない生活が強いられます。ですから、このワクチン接種は国民の義務なのです。医療従事者が消極的になれば、そこに通っている患者の皆さんも消極的になってしまいます。このような医療従事者は、もっと、事の重大性を考えて欲しい限りです。医療従事者のワクチン接種が終了すれば、まずは 65 歳以上の高齢者の方々からの接種が始まります。堺市では全国に先駆けて大会場での集団接種以外に市の 1/4 程度のクリニックでも接種できることになりました。当院でも週 150 名の接種をすることになりました。詳細はこれからになりますのでもう暫くお待ち下さい。


2021.2.7 新型コロナ感染症に罹る(かかる)のは難しい!

毎日TVに煽られた生活に鬱傾向になったりノイローゼ気味になっている患者さんに私の一言で皆、元気になって帰られる。新型コロナウィルス感染症に罹るのは非常に難しいということである。この感染症が拡がりだして約1年が経過したが、本日現在で日本人の感染者の総数は約 40 万人である。日本の人口は1億3千万人。その割合を計算すると感染者の人口に占める割合は 0.3 %である。つまり1000 人に 3 人程度である。1年以上経過して、この程度の数字である。すでに回復した人は36万人、死亡者は 6,300 人。今現在の罹患者は 34,000 人程度で人口の 0.03 %弱(1万人に3人)ほどである。無症状感染者が含まれての数であるが、PCR検査を受けず水面下に存在する無症状者はさらにいることは事実である。仮に水面下の無症状者が 2~3 倍いたとしても、人口の 0.06~0.09 %に過ぎない( 10 倍いたとしても 0.3 %)。感染する可能性が 0.06~0.09 %ということは、簡単な話、1 万人の人に出会って 6~9 人の感染者とすれ違った程度( 1,000 人に出会った程度では精々 1 人いるかいないか程度)である。クリニックには毎月約 1,300 人ほどの患者さんが来院される。1年間で 15,600 人の診察をしたことになる。単純計算すると 9~13 人がコロナに罹った人が通過して行った計算になるが、現時点で把握できている感染者数は 2 名である。ともに、診察日の 3 週間ほど後のことなので、診察中には感染されていなかったことになる。申告されていない人もいるであろうからもう少し数字は上がるかもしれない。常々言ってきたが、相手、周囲の人のマスクの確認と手洗いをしていれば罹らない。逆に言えば、何故罹る人がいるのか???である。ある意味、罹ってしまった人はそれなりの行動をしていたのだと思われる。可哀想なのは同居する家族である。皆がちゃんとしていれば、収束にさほど時間はかからないはずだが、ちゃんとしていない者がいるから拡がり続けるのである。どの世界も理想通りには行かない。このような人たちがいるから。


2021.2.3 まもなく新型コロナワクチン接種が始まります

日々、窮屈な生活を余儀なくされ、変わりばえのしない生活を送っているからなのか、月日の流れが速いことをつくづく感じる。まだまだ先のことだと思っていたワクチン接種が、大病院の医療従事者を対象に今月末には行われることとなった。未知のワクチンだとして受ける受けないなど賛否両論の考えがあるようであるが、最終的には個人任せといったところである。現在、緊急事態宣言が発出されている最中であり、徐々には感染者数が減少傾向にあるものの、間違いなくこのまま収束することはあり得ず、再上昇することは必至と思われる。水面下でイギリスをはじめ、他国からの変異株コロナウイルスが拡散しだしており、少しの気の緩みで二次関数曲線的に上昇する可能性のあることも念頭に入れておかないといけない。現在の状況で接種を不要と判断することは時期尚早で、今後2~6ヶ月先を想像しておかないといけないと思われる。クリニックにも大阪府より接種希望職員の名簿を1週間以内に提出する旨の案内が先月下旬に届き、提出した。今後、高齢者、一般といった方々にも同じような案内が届くのではと思われる。迷っていてもYESかNOの回答しかなく、NOと回答してしまうと、その後希望しても無効となる。逆にYESと回答した場合、直前に希望しないという選択肢は残される。
 さて、昨年12月14日より米国で開始されたファイザー社のワクチンについての途中経過が1月6日に発表されたので紹介する。 10日間で約190万人に接種され、重度のアレルギー反応であるアナフィラキシーは21例(10万人に1名程度)で、このうち過去にアナフィラキシーの既往があった例が7例、何らかのアレルギーの既往があったものが10例である。アドレナリンなどの昇圧剤等で処置をされ、4名は入院するもその後退院され死亡者はゼロである。この数字をもってしても、少なくとも接種による危険性は非常に低いと考えられる。そもそもワクチンの効果は感染しても発症しない効果、発症しても重症化しない効果がある。この感染しても発症しない効果が95%程度と示されている。インフルエンザワクチンに比べれば、これらの効果は上回っていると考えられる。但し、長期成績は不明である。どの程度の期間有効であるのか? 数か月後、数年後の副作用(副反応)はどうなのか? といったところは全くわからない(さほど神経質になるほどでもないと思われるが・・・)。RNAといった物質が体内に入った後、何らかの異常を将来起こさないのかといった不安を感じたが、専門家によればRNAは個々の体内の細胞で分解され、精々1週間で効力をなくすので心配ないとのことである。 これらのデーターを参考にして各自ワクチン接種の可否を判断されてはどうであろうか。


2021.1.11 おみくじは 『 大吉 』

今年は三箇日に初詣は遠慮した。今日、昼前に小梅の散歩がてら長女と三人(二人と一匹)で近所の神社に初詣に行ってきた。人影もまばらで、初詣とは程遠い光景であった。私は日頃から、これといった事がなくても神社に参ることが多く、手を合わせることで何か安心を得られる気分になる。今日も、特別変わったことを祈願することもなく合掌してきた。受験生やその身内の人たちは、この時とばかりに 『 合格しますように! 』 と必死で神社詣でを行っているようだが、冷静に考えれば、こんなお願いを神さまが聞いてくれるはずがない。100 人の合格枠に 200 人がお願いにきたらどうする? 神さまが選別して合否を決めるとは思えない。こんなお願いは意味がない。合格祈願は、自分の心の中で祈るもので神頼みするものではない。神さまにお願いするなら・・・『 どうぞ、これまで頑張ってきたことが、悔いなく全てを発揮できますように宜しくお守りください 』 であろう。実力以上のものが本番で出ることはない。しかし、実力以下の力しか出せないことはある。そこをお願いするのである。 帰りに恒例のおみくじを引いてきた。『 大吉 』がでた。『 目上の人の思いがけない引き立てで、心のままに整い家内仲良く暮らされます 』 ということである。 誰だろう? 目上の人って? これから一年、この人を探して生活することになりそうである(笑)。 さて、どんな一年になるのだろか?


2021.1.6 令和3年  年が明けました

コロナで振り回された令和 2 年でしたが、今年はどんな年になるのだろうか。大阪も 1 日での感染者数が 560 人と過去最高の発生数となりました。当院でも遂に感染者が 1 名出ました。先日、ご家族より電話で近日受診の予定でしたがコロナに感染し、ホテル療養をしているとの連絡を受けました。1/6 には大阪労災病院でクラスターが発生(看護師・技師 5 名、患者 17 名)の発表がありました。更に拡大することは必至ですが、上手く食い止めて欲しいものです。今日も診察中に高齢の患者さんの中には、バス旅行を計画しているとか数人で食事に出かけているとか相変わらず他人事のように振舞っている方がおられるのには驚きました。感染を運のように捉えておられるようですが  ・・・ 死にますよ。もはや、70 歳以上の感染者には重症化しても人工呼吸器は装着しないといった病院も出てきているようです。罹ったら病院に入院して治療を受ければいいなどといった時期は終わりました。国のせい、役人のせいでもなく、個々の責任であることを理解できていない。あと 2~3ヶ月でワクチン接種ができるのですから、もう少しの我慢です。にも関わらず、レストランで食事をする、居酒屋で食事をする、カラオケで気分よく熱唱するなど懲りない人間が多いのには驚きです。普通のレストランでも危ないことを理解していない。・・・ 死にますよ、ご老人。

以下を念頭に入れて頂ければ、不安も払拭した生活が送れると思います。

① 潜伏期間は平均5~6日(1~14日)。潜伏期とは、人から感染して発熱など症状がでるまでの期間のことです。② 他人に感染させてしまうのは、症状発生日の2日前の潜伏期からです。要するに無症状で他人にうつす期間が2日間あります。 これらを整理すると、例えば 1/1 に飲食店で感染した場合、症状が出るのは1/6~7日、しかし自分が感染して無症状である1/4~5には新たに他人(家族や友人)にうつしてしまっている。PCR検査をして陽性になるのも、この1/4~5ごろからです。逆にいえば、発熱が出だした場合、5~6日前の自分の行動を確認してみて、感染しそうな場所や対人関係がなかったを確認すれば、その熱がコロナ関連なのかそれ以外の感冒によるものなのか想像がつきます。感染防止は、これまでも繰り返してきた通り マスク無しの場所や人に接しないこと。飲食前には手洗い・うがいを忘れないこと。これに尽きます。皆がマスクを装着している 3 密やソーシャルディスタンスはあまり意味がなく、神経質になる必要はありません。1.7倍の感染力があるという変異株のウィルスが来ようと関係ありません。対処は同じです。


2020.12.20 自分で守れ! が鉄則

もはやコロナ感染の防御は個人の問題では制御できなくなり、国の問題であると言われている。本当にそうであろうか? 国がどんな方針を立てようと個人の徹底したモラルと自己管理が最も重要で、いくら国が様々な対策をしたところで、個々の立場で徹底管理しなければ意味がない。赤信号なのにまあ大丈夫だろうと渡るような行動。すなわち、マスクを外した狭苦しい飲食店で感染しないだろうかとビクビクしながら食事をする。青信号なのに一時停止をするような行動。すなわち、公園や大通りではマスクは不要なのにマスクを装着し、他人にも強制したり、マスクをお互いしているのにソーシャルディスタンスを強制したりと馬鹿馬鹿しい。エレベーターのボタンを指で押さず、棒のようなもので押して接触感染を嫌う行為も馬鹿馬鹿しい。万が一、ボタンにウィルスが付着していたとしても、小さな指先で触れたところで直接指先を舐めるわけでもなく、例え舐めても感染するほどの量でもない。こんなのボタンを押した指先をズボンのお尻あたりにねじゃくってしまえば大丈夫である。この感染症には血栓症の合併が多いなどと相変わらず海外のデーターを評価している新聞記事があったが、日本での最近の報告では、約6,000例の感染者に対して1.8%が発症し、軽・中等症例に限っていえば0.6%程度である。全く問題視する数字ではない。70歳以上の感染者での死亡率は10%程度であって、あたかも感染してしまえば高齢者は皆死んでしまうような報道に高齢者は不安に導かれている。しかし、10%という数字は大きな数字だとは思える。間もなく本邦でも可能となるワクチン接種に大きな期待が寄せられるところである。一般治療薬では目的以外の不利益な作用を副作用とよぶが、ワクチンのように生体内での免疫反応が不利益な作用を生じる場合を副反応と呼ぶ。殆どが、注射部位の腫れや痛み、熱感であるが、非常に稀ではあるがアナフィラキシーショックなどの重篤な場合もある。これはインフルエンザワクチンでも同じことである。ワクチンが悪いというより、接種される人間そのものの生体側に原因?があるのである。意味も解からずTVで副反応が怖いなどと言っていたからと、何の知識もない人々がワクチンを疑問視するなど非常にバチ当たりなことを平気で言っている。なぜこんな短期間でワクチンを作ってもらえたことに感謝しないのだろうか。実際、ワクチンを疑問視して接種を避け、バチが当たる(コロナに感染し重篤になる)人がでるとは思える。先日より イギリス、アメリカ合衆国が先陣を切ってワクチン接種を開始したことで、我々日本人が接種する頃には何らかのデーターが出揃ってくるので、それも重要な判断材料にはなる。従来のように、ワクチンが5年以上もかかって承認されることを想像すれば、これらを創作してくれた研究者、製薬会社に我々は深々と頭を下げるべきである。何を、偉そうに副反応が・・・である。私は、躊躇なく感謝しながら接種を受けたいと思う。


2020.11.23 英語が聴こえない?!

歳を重ねるごとに英会話に対するコンプレックスが増してくる。数年に一度の海外旅行ぐらいでしか直接外国人と接する機会はなく、クリニックに外国人が受診されることもなく、全く日常では無用の英会話。しかし、死ぬまでには外国人と対等に英語で会話をしてみたいと憧れるのであるが、この歳になってもう無理だと感じるようになってきた。受験勉強の為、人一倍英単語を覚えたり、問題集を解いたりしたことが全く意味のないことであることの情けなさを感じている。これなら、中学時代に戻って問題集など解くのでなく、毎日手ぶらで英会話教室に行ってた方が遥かに良かったと感じている。ネイティブでもない日本人英語教師の発音された単語や文の連呼を強要されたり、発音が合ってもいない英語教科書の朗読をしたり、何をやっていたのか。さも、外国人が見れば笑ってしまうような光景であったはずであるが、当時は真面目に教師も生徒も向き合って授業をやっていた。これまでの人生において、色々なことに対し 努力し成就してきたが、この件だけは凄く後悔している。文章は読んで理解できても、会話は全く成り立たない。海外旅行をした折、相手の言っていることが全く聴き取れない(聞こえない)。耳鼻科でも行って診てもらえば多少はよくなるのか(笑)と嘆きたいほどである。やはり、言語というのは常日頃使っていなければ覚えても意味がなく、またスポーツや音楽のようにセンスも必要であるように感じる。さほど勉強もしていなかった我が娘たちが、そこそこ相手の言っていることを聴き取って、私に通訳してくれる時は、もう人生は終わったかとがっかりする老いた人間と感じる瞬間である。国語が大の苦手であった私は、高校時代には毎朝、トイレの壁に張った単語集を覚えるまで出てくることもなく、覚えればまた新しい単語集を書いた張り紙をし、夜に勉強が終わって床につけば、眼をつぶるまでは天井に張った英単語を見つめる毎日だった。確かに、英語の点数はまずまずであったが、何をしていたのか悲しくなる。海外旅行をする時は、大体のパターンがあるので、こちらからはそこそこ質問はできるのだが、それに対する相手の答えが聴きとれない。単語や短い文で答えてくれればいい質問にも、長々と早口でまくしたてられるものだから頭の中は ??? だらけ。  もう無理と諦めかけていた昨年、久しぶりにハワイに行った時、友人医師から携帯用の翻訳機(ポケトーク)が凄いと勧められ、疑いを持ちつつ購入して試してみた。・・・ これは 凄い!! 目から鱗が落ちる思いを味わった。こちらの言っていることも相手は十分理解を示してくれるし、相手が長々と話してくる会話も納得できる翻訳をし、かえって下手な英語で質問されるより、現地の人も有難がっている表情にも見えた。そうとはいえ、やはり自力での会話に対する憧れは捨てきれないが、最早、翻訳機のさらなる進化を待つ方が確実で早いと納得してしまう今日この頃である。コロナ感染症がいつ落ち着くのか、それまで勉強を続けるか、翻訳機の更なるバージョンアップを期待するのか・・・。凄い時代に生きていることに驚くばかりである。


2020.11.18 ごちゃごちゃになってますね!

気温が下がり冬の到来が間もない今日この頃、コロナ感染症が息を吹き返したかの勢いで感染拡大を引き起こしている。急激な増え方はやはり気の緩んだ食事関係の場所での感染が大きな原因であると考えられる。何度も繰り返すようだが、感染するのは感染者がマスクを外している時である。要するに、食事をして15分以上 会話をしているときである(大きな声ならその時間は短縮される)。特に狭い食事処や居酒屋、カラオケ店がこの原因の殆どと考えられる。ここで感染した者が、自宅で家族にうつし、職場で同僚にうつし拡大しているのである。いくら店がアルコールを置こうが、仕切りを置こうが無駄な努力と思われる。申し訳ないが、これらの店が閉じない限りコロナの収束はないと考える。飲食店以外であれば皆マスクをしていることが多く、大きな声で長々と話しをすることもないので、そこが3密であっても感染する確率は非常に低い。最近、部屋の換気が大事だ、空気清浄機や除湿器が効果的だと言って、家庭用の空気清浄機、除湿器がすごい勢いで売れているといった誤った社会現象が起こっている。クリニックをはじめ、大勢の人が集まる空間ではその対策は間違いでないが、なにも個人の家で頻繁に窓を開けて換気するとか、空気清浄機を買ってきてコロナ対策をするなど何を考えているのか、もはやコロナ対応に対して、考えがごちゃごちゃになってしまっている。コロナは空を飛んできませんよ。家族がコロナに(無症状)感染して自宅に帰ってきたら、もうその時点で残念だがアウトですよ。換気しても、空気清浄機を使っても、家の中でもマスクを装着し続けない限りは、テーブルに向って会話し、食事し、洗面所、トイレなど共同生活をする限り、全く意味のないことである。一般的に、感染して2日間は無症状。3日目より微熱や咳や咽頭痛など何らかの症状が出だすが、もうこの時は既にコロナウィルスをまき散らしている。Go to トラベルはさほど問題ないが、Go to イートは店の規模、内容によっては最悪である。どこで感染してきたかなんて最初の2日間は無症状なので誰もわからない。兎に角、マスクを外した者との接触は避けるしかなく、家族を含むマスクなしの人間と接触する場合は、ある程度感染の覚悟をしておくべきである。クリニックでは毎日70~80人の患者さんの診察を至近距離で聴診器を当て、マンシェットを巻いて血圧測定を行っているが、皆さんがマスクをしてくれているので全く感染の心配などしていない。但し、咽が痛いといった患者さんの診察は本来口を開けてもらってペンライトで咽喉頭部を覗いて診察をするのだが、これはできない。問診だけの診察になる。時々、マスクを忘れて来院される方にはマスクを受付で購入して頂いている。高齢の方は礼儀と思い、診察室に入るや否やマスクを外す方がおられる。慌てて、装着して頂くよう指導させてもらっている。マスク装着下でのソーシャルディスタンスなんて意味がない。もう、皆ごちゃごちゃになってますね。コロナウィルスは金属やプラスチックに付着した場合、約3日間は生存しているが、人の皮膚に付着した場合は約9時間で不活化してしまう。但し、アルコールに15秒浸されると完全不活されるという報告がある。学校で感染者が出たと慌てて下駄箱から教室、ありとあらゆる場所を防御着を着て消毒を行っている光景をテレビ越しに見たことがあるが、どうせ休校にするわけで、4~5日何もせず放っておけば、勝手にウィルスは不活化して感染できなくなる。なのに、感染能力のある時に防御着を付けているとはいえ、火の中に飛び込むようなバカなことを何故しているのか頭をかしげたくなる。考えがごちゃごちゃである。


2020.11.5 インフルエンザ、流行しないでしょう!?

政府の方針で、この冬のインフルエンザ感染症に対して、10月早々に予防接種を始めるようにと通達がきた。既に例年の同時期に比較して、明らかに全国の発症例が少なすぎることが判明しているにも関わらず、予防接種を煽り、ましてや65歳以上を無料にするなど税金の無駄使いは呆れ返るところである。コロナ感染症のみならず、手洗い、うがい、マスクの装着がここまで定着している今日、インフルエンザ感染が流行するなど想像もできないところである。10月に入って、クリニックは予約でパニックである。冷静さをなくした患者さんが多すぎることに何か嫌気を感じた。薬卸からの納入数は昨年の数を割り当てられるため、早々に不足が生じた。私を含め、職員には回ってこない。もっとも、当初より自分は接種する気はなく、特に気にするほどのことでもないのであるが。2社にどうにかお願いして、100名分(ワクチン50本)を追加納入することができた。発熱を始め、風邪症状を認めても、インフルエンザワクチンさえ接種していれば、コロナ感染だけを考えればいいなどど浅はかな考えを披露する医療関係者がいる。毎年、インフルエンザワクチンを接種しても1割ほどは抗体ができず感染してしまう患者さんがいることを考慮すると、容易にインフルエンザ感染を除外することはできない。無数に存在するウィルスによる風邪なのかもしれない。最近、数名の発熱(37.5~38℃)を認めた患者さんから電話で問い合わせがあった。発熱、倦怠感を訴えていたが2日ほどの自宅での経過観察を指示したところ、皆 解熱し症状は軽快したとのことで、慌てることはない。職場や家族、友人にコロナ感染者がいなければ感染する確率はゼロに近く、さらにマスクをしていない者との濃厚接触をしていなければコロナに感染する確率は限りなくゼロに近づく。インフルエンザや一般の風邪の場合は、無症状者はいないので咳やくしゃみをする者に近づかなければこちらも感染する可能性はゼロに近い。最近、感染経路不明者が多いなどと発表されているが、以前に比べ、保健所の徹底的な解明努力は低下し、また罹患者も大騒ぎになりたくないので詳細は述べないことが多いようだ。毎日、毎日コロナ感染者の数字を出してはいるが、殆どが軽症、ないしは無症状者である。風邪とどこが違うのだろうか?と感じるところである。本邦の場合、後遺症など殆どないようである。以前にも述べたが、西洋人と同等に考えてはいけないのである。手洗い、うがいを継続し、マスクをしていない者への距離を保ち、濃厚接触さえ注意していれば、どんどん外へ出かければいい。Go To トラベル キャンペーン、凄く良いことだと思う。大歓迎である。


2020.10.7 日本人は世界レベルでコロナを比較してはダメ!

遂に米国のトランプ大統領まで COVID-19(新型コロナ)に感染したようである。日本のマスコミも含め一斉にマスクをしてなかったからだと相変わらず学習しない馬鹿なマスコミは大騒ぎしている。彼が感染したのは、マスクをしていなかったからではなく、周りに既に無症状で感染した人間がおり、その者がマスクをしていなかったというのが正解である。例え、大統領がマスクをしていても近くに居た感染者がマスクなしで親しげに会話をしていれば容易に感染してしまう。尤も、彼らの周囲は、皆マスクなしで会合や会話をしていたように聞いている。これは最悪である。西洋人であるトランプ大統領は重症化する可能性は十分あると思われる。
我々日本人は、もはや欧米を含む西洋人のレベルのコロナ感染の成り行きを参考にしてはいけないとそろそろ感じるところである。コロナ感染が日本にも広がろうとしだした2月、3月ごろは、この感染症が一体どのようなものなのか不明で、他国の状況(データー)を参考にせざるを得なかったが、今となれば、日本国内のデーターも十分揃ってきており、これらを吟味すれば、西洋人と東洋人の重症化、致死率が全く異なることは周知の事実となってきた。原因は不明であるが、東洋人は西洋人に比べ、① 自然免疫力が強い? ② 重症化の原因となるサイトカインストームが起こりにくい? ③ 生活習慣による衛生面の差?(手洗いもせず、平気でハンバーガーを食べ、靴を履いたまま家に入る西洋人と、手洗いや箸を使って食事をし、靴を脱いで家に入る衛生的な日本人の差) ④ その他 などと考えられる。

免疫反応とは、簡単にいえば初期は自然免疫で対応し、それがダメなら少し時間をかけて獲得免疫(抗体ができる)で対処するといったところである。今の日本の感染状況では、無症状、軽症が多いことからすれば、自然免疫の段階で治癒している可能性が強く、この場合、抗体はできないので再感染してしまうことも考えられる。私は、感染症の専門家でなく、また最前線で戦っている医師でないので明確なことは言えないが、欧米、南米の COVID-19の報道は聞き流した方がいいと考える。前回お話したインフルエンザの年間死亡者数は毎年 3,000人前後である日本に対し、米国では 2018年のデーターでは 60,000人以上であることからしてもウィルス感染症の重症度の差はコロナだけでないことがわかる。ですので、トランプ大統領のコロナ感染は決して安心できず、万が一、菅総理が感染した場合は軽症で済む可能性が高いのである。日本人のコロナ感染は怖くないのである。・・・ つづく


2020.9.21 さやま池 と さやま遊園 

いつの間にか9月15日であった敬老の日が今年は21日になってしまっている。ゴールデンウィークに対抗してシルバーウィークなどと呼ばれ世間を活気づけようとした国の政策が、今年はコロナ感染で影を潜めるかと思いきや、昨年同様盛り上がった結果になったようである。世間の人は、最早コロナ慣れをしてしまっているようにも思え、マスコミが未だ、連日の感染者数を報道して一喜一憂している姿にうんざりして来ているのではないかと思える。3密が大丈夫か、換気が大丈夫かとTVは騒いでいる。これはマスクを着けていなかった2月、3月ごろの話で、今や、国民の90%以上は室内、混雑場所でマスクを装着しており、3密や換気は感染要因ではあるものの、今やさほど重要であるとは思えないと考える。全国的に多数の人たちが混雑する観光地や繁華街へ出かけていたが。殆どマスクを装着していることを考えると、想像するほど感染者が増えるとは思えない。毎回、診察室でも話をしているが、無症状感染者がいる以上、マスクをしていない人には決して近づかないことが大事で、感染するとしたら、このような人のそばに暫くいた場合が危ない。其れさえ避けておけば、感染する可能性は非常に低いと考える。我が家はこの連休中 旅行することもなく、唯々休日を自宅~近所で消化し、なんら日頃の休日と変わったところはなかった。愛犬小梅とは、近所を40~50分散歩するのが日課であり、夏の暑い日は朝5時半に起きて、出勤前に散歩していたが、秋めいてきた最近は以前同様夕方や晩の散歩に戻った。連休中は小梅を車に乗せて自宅から程近い外周3km程度の狭山池に出かけた。結構多くの人たちが散歩や、ジョギング、犬の散歩で賑わっていた。ざっと見て、3割程度の人はマスクを着けておられた。一方、7割とはいえ、多くの人がマスクなく気持ちよさそうに池の外周をリフレッシュしている姿に、何か嬉しさと微笑ましさを感じた。人の動きのない室内でも早くこのような光景になれることを望むばかりである。狭山池といえば、2,000年まで狭山遊園が池の東側にあった。丁度、今年3月末に閉園したみさき公園と並んで南海電鉄が経営していた遊園地である。夏は流れるプール(リバープール)、冬はアイススケート場を開設し小学生、中学生時代には友人数人とよく遊びに来たところであった。父親になってからも二人の娘たちと良く出かけて遊んだものだった。遊園地の入場門にはひらがなで『 さやまゆうえん』 と書かれており、娘ふたりの名前が、さや、まゆであることより 『お前たちの遊園地だよ 』なんて言って嬉しそうな姿を思い出す。池にはボート乗り場があって、ボートを漕いで遊んだこともあった。もともと、住之江競艇場に替わる前は、ここ狭山池に競艇場があったようである。 そして今では、愛犬の小梅と池のほとりを散歩している。整備された遊歩道になった。ちなみに、今日は昼に南区にある梅で有名な荒山公園に小梅を車に乗せて散歩に出かけた。


2020.9.7 インフルエンザの死亡数? コロナより多い!?

第二波の新型コロナ感染症もやや下火になりつつありますが、まだまだ油断できない状況が続いています。連日のマスコミ報道が二極化しており、連日 不安を煽り続けられています。気になる点は2つ。ひとつは、感染者が無症状、軽症であることが多いということ。もう一つは、これに相反して重症化し、死亡者が増えているという点です。症状の基準が曖昧なので、軽症とはどの程度のことを言っているのか、また重症化し死亡した方がどのような基礎疾患を持っていて、日ごろどのような治療を受けておられたのか不明なことです。一部の海外の報告では、PCR検査陽性判定時に無症状であった者の 6割は、その後に発熱、咳、咽頭痛などの症状がでているようです。このように詳細が公表されない不明な点が多い中、果たしてコロナ感染症をどの程度恐れなければいけないのか不明です。実際に感染した方の治療に携わっていないので適当なことは言えませんが、第一波に比べれば、明らかに無症状、軽症が増えているようにも思えます。これはPCR検査数を増やしたこともその一因なのかもしれません。そこで毎年 12月ごろより流行しだすインフルエンザ感染と比較してみました。2月ごろより感染が拡大し約 7ヶ月が経過したコロナ感染症ですが、死亡者数は今日現在 1,366 名。当然、この数字にはコロナ感染により肺炎になり呼吸不全を起こして死亡された方以外に、コロナ感染により元来の心臓病、腎臓病、呼吸器疾患が悪化し、それで死亡された方が含まれています。2018年の インフルエンザによる死亡者数は 約 3,300名です(平成30年人口動態統計)。インフルエンザは12月~3月が流行期間ですので4ヶ月での死亡者数ということになります。インフルエンザにはワクチンがあるにも関わらず、接種しない人も結構いますが、3,300名も亡くなっている方がおられることを知ったら世の中の人はどう考えるのでしょうか? コロナウィルスに対するワクチンが、どの程度の効果をもたらしてくれるのか大きく期待されるところですが、この冬に起こるであろう第三波の感染状況によっては、ひょっとすると更に無症状者、軽症者の比率が多くなり、従来の風邪予防程度の生活をする程度で良くなる可能性も否定できないかもしれません。熱が出れば自宅療養。悪化すれば医療機関受診。重症になるか否かなど、上述の数字からみれば、インフルエンザ以下なので恐れすぎないことが重要かと思われます。しかし、あくまでも私的な推測なので現在の時点で推奨するものではなく、その時点での状況に応じて判断されることをお勧めします。

少し、気分を取り直して、デザインを仕事にしている長女に愛犬小梅をモチーフしたシャツ、パーカーを作ってもらいました。なかなか気に入っています。宣伝にはなってしまいますが良かったら下記URLをご覧ください。

https://utme.uniqlo.com/jp/t/gTNlYA=


2020.8.6 なんと稚拙なポピドンヨードの発表(大阪の恥)

昨日、大阪府知事の吉村さんが久し振りにパフォーマンスを見せた。あの有名な茶色のポピドンヨード(イソジン)がコロナウィルスに非常に効果的で、大阪府民は皆使用するようにと記者会見まで開いて生放送でTV報道された。丁度夕方の診察中に2名の患者さんがコロナの予防にイソジンを下さいなんて言ってきたのでどうしてなのかと思っていたら、自宅に帰って夜のニュースでその放送を確認した。当然、イソジンなんて無効であるとの判断で処方は断った。この一連の報道につき確認してみたが、大阪府立はびきの医療センター(元 羽曳野病院)の医者のデーター比較についての評価ミスを時期尚早に知事は発表してしまったようである。このデータ比較は非常に稚拙なもので、症例数がたった 20 例 vs 21 例の比較である上に、比較する対照がそもそも間違っている。ポピドンヨードで日に 4回うがいをした群とうがいをしていない(確認していない)群とを比較してしまっている。ポピドンヨードに効果があるか否かを評価したいなら、両群の比較は、うがいを 4回/日する共通点の上で、水でうがいをした群とポピドンヨードでうがいをした群で比較しなければ意味がない。もっと言うなら、ポピドンヨードの濃度(濃さ)がどの程度であるか(本来なら、○○ml/回 群、△△ml/回 群の 2群ぐらいは分けて)比較しないと全くデーター比較の意味がない。研究?のデザインの時点で稚拙過ぎて、医者に成りたての研修医以下と言っても過言ではないお粗末さである。もっと言うなら、そもそもうがいをしてから口腔内のPCR検査をすればウィルスは減っているはずで、偽陰性になるのは当たり前であり、その思いつきに首をかしげたくなる。好意的に捉えるとすれば、頻繁にうがいをすればウィルスを拡散しにくいことを言いたいのであろうが、吐き出すという意味では水で十分であるが、それならマスクをしておけばもっと拡散は防止できる。一般的には 2群を比較する場合、200 例 vs 200 例ぐらいあれば統計的な評価もできるが、その比較数も少なすぎる。医者の世界では各々の専門分野で年1回全国の何千という病院の医者が研究部門、臨床部門で培ってきたデーターを整理して学会発表をする機会がある。当然、誰でもが発表できるわけでなく、事前に発表内容をまとめた抄録を締切期限までに学会に提出し、全国で選出されたその領域の専門医に審査され合否を決定され、合格したもののみ発表が認められる。発表できる内容はレベルも高く、今後の医療に好影響を与えることになる。私は、現役時代に日本循環器学会総会の心臓カテーテル領域のDCAという治療の審査員を最年少で任されたことがあった。提出された抄録が多く、一つ一つ細かく目を通す時間がなく、まずは抄録の症例数を一次カットライン(足切り)に設け、残されたものを内容評価して合否を決めた。一つの抄録に対し、5名の審査員で点数をつけ(50点満点)、その合計点で上位数件が決定される(現在はどうかわからないが)。このような吟味された内容の研究でも世に出るのはさほど多くはないにも関わらず、足切りにかかってしまうような内容で良くも全国的なTVに発表されたとなると医学に対する冒涜にも似た行為であると言わざるを得ない。早々にも関東地方で衛生学の教授をしている友人や九州で開業をしている友人などから私の元に、「 大阪はとんでもないことを言ってますね! 企業や患者対応で大迷惑ですよ。」なんていうメールが届く始末である。ポピドンヨードを販売している会社がちょっと嬉しかったのでは・・・。


2020.7.19 若者の反撃

自粛ない限り増え続ける感染者数。東京は300名/日を目の前にしているが、このままでは500名/日は1~2週間ほどで超えてしまう。前回同様、大阪は東京の2~3週間遅れの感染拡大を考慮すると2~3週間後には300名/日ほどになっていることも十分考えられる。国はどうするのか、地方自治はどうするのかと他人任せの国民はそろそろ考えを変える時期にきているように思える。このままで行けば、東京を皮切りに、年内には医療破綻する都道府県は多数出てくると思われる。医療施設がコロナ感染患者用にベッドを確保していたり、職員を確保すればするほど大赤字になる。飲食店の保証などとマスコミは騒ぎ立てているが、医療現場の保証については殆ど論じられていない。病院の倒産も現実化してきており、現場で働く医療従事者は、益々増えるコロナ患者に対する医療に身の危険、嫌気を更に感じだし、特に民間病院はコロナ感染者に対する医療を拒否し出してくることが危惧される。現在、延期されたり縮小されてしまっている高度医療の再開を中心に本来の病院の姿に戻っていくと思われる。コロナに感染しても簡単には病院で治療を受けることができなくなる可能性がある。その点、20~30 歳台を筆頭とした若者は、感染しても軽症、中には無症状である場合も多く、彼らにはコロナ感染なんて風邪以下と思っている者も多いと聞いている。確かに彼らに言わせれば何故、そんな感染症に自粛する必要があるのか、もううんざりであるといったところである。高齢者が重症化するので・・・といったところで、これまで、若者を置き去りにしてきた年金制度や医療制度など高齢者の為だけの国の方針に見捨てられてきた若者の反撃なのである。働かなくても年金生活が今後も維持される高齢者に比べ、収入がなければ生活できない勤労世代との違いは大きい。4~5月の緊急事態宣言を再度発令しない限り、感染の拡大を止めることはできないが、勤労世代のことを考えるとそれも難しい。最早、国民は特に高齢者は国や地方自治に助けを求めることは無理で、自分の身は自分で守っていくしかない時期に来ているのかもしれない。


2020.7.17 全く意味のないマウス型フェイスシールド(マウスシールド)

最近、政治家が暑さ対策にと考えてかマスク型のフェイスシールドを着けている姿をよく見かける。これは非常に危険な発想である。口から発せられた唾液をマスク同様ブロックできるので同じだと考えているのであろうが、発せられるのは唾液以上に目に見えない霧状の体液(息)がはるかに多い。従来のマスク(布、不織布)ではその殆どを布で吸着してくれるので、マスクの隙間から例え漏れたとしても感染するほどの量でもなく、広範囲に散ることはない。それに比べ、マウス型のフェイスシールドは口から鼻方向にかけて全く防御がなく前方、上方に勢いよく飛び出して行く。これならマスクをしていない場合より上方に飛び出すため、却って遠方に飛び散ってしまう。こんなことは医者でもなくても考えればわかることなのに、政治家が率先して着けていることに最早この国は終わったと腹立たしく感じる。特に安部のマスクを馬鹿にして対抗したつもりか、立憲民主党の枝野幸男議員が政治家では最初に着けたように記憶するが、相変わらず役に立たない野党のすることにはここにきても馬鹿げている。この勝負、安部 vs 枝野は 100 vs 0 で安部の勝ちである(別段、安倍政権を肯定する気は毛頭ないが)。今日、診察中にMさんが 「 最近、マスク型のフェイスシールドを着けることでコーラス部が再開したのですが、参加しても大丈夫でしょうか? 」 との質問があった。 No である。 「いえいえ、参加はやめた方がいいですね。布のマスクをしてするならまだしも、大きな声をだして皆が一斉にマイクロの噴霧唾液(息)を大量に出しているなど居酒屋以上に危険です。感染者が一人でもいれば、新聞沙汰のクラスターになりますね。」 恐ろしいことを平気でやっている世の人たちがいることに驚きを感じた。マスクを外した人、マスク型のフェイスシールドをした人と至近距離で接しないこと、手洗い・うがいなく食事をしないことさえ徹底すればさほど容易に感染なんてしないはずである。感染者の唾液などの体液を直接吸い込んでしまったり、15分以上1~2M程度の距離でマスクなしで長話をするような場合を濃厚接触と考えられている。最近、コロナ感染症が飛沫感染以外に空気感染も否定できないなどといったWHOの発表?があったようだが、凄く疑問に感じる。空気感染があり得たら日本中莫大な感染数になっているであろうし、5月の時のような一時的収束など起こり得るはずがない。尤も、空気感染などすればマスクでも防御はできないはずである。過剰に怖がらず、皆がマスクして手洗い・うがいをして食事すれば感染はかなり防げるのだが・・・。

PS; 何度も診察中に聞かれるのだが、マスクのウィルス吸引予防効果は弱く、加害者(感染者)が発する唾液や息を撒き散らすことの防御効果は大きいことを再確認する。それなら何故、自分がマスクをする必要があるのだろうかと悩んでいる人がいる。ここが問題である。誰がいつ感染しているかわからず、感染していても無症状の時期があるため、自分は感染していない大丈夫であるとは言えないということが理解できていない。だから、感染拡大が終わらない。


2020.6.17 インベーダーゲーム

先日、卒業高校の同窓会報が郵送されてきた。 その中に、クリニックに通院されているTさん(女性)の写真が掲載されていた。 丁度、その 3~4日後に診察に来られたので、「 Tさん、同窓会報に載ってましたね 」。 「 先生、暫く忙しくて疲れました。 毎年、同窓会を開いていて、私は毎回幹事をしています」 と言われた。「 そうですか、僕は32回卒業ですがTさんは?」。 「 私は3回卒業です 」。大先輩である。 他にもOさん(男性)、Uさん(男性)、Kさん(男性)を始め、大先輩が患者さんとして何人もお越しになられている。 10年ほど前には英語担当の恩師がカテーテル検査を受けにお越しになられた。「 毎年の同窓会って凄いですね 」。 「 どんどん人数が減っていきます。いつまでできるか・・・」。 「 そういえば私の同期の同窓会も数年前にあって、来年還暦祝いの同窓会をするとか言ってました。」 当時460人の同級生(男女共学)で毎年東大、京大、阪大、国公立医学部を合わせて130~140人ほど輩出していた。皆、凄かったな~と覚えている。 残念ながら今では中高一貫の私立学校に押され、その面影すらなくなってしまった。 高校時代といえば、思い出の一つとしてインベーダーゲーム(スペースインベーダー)がある。 もう、40年ほど前になるのだが ゲームセンターや喫茶店で100円硬貨を投入して侵略してくるインベーダーを目掛けて撃ち落とす単純なゲームである。 名古屋撃ちとか、途中で現れるUFOを侵略してくるインベーダーの隙間をぬって23発目、その後は15発目で撃ち落とし高得点を競うなどちょっとした技があって、腕を上げれば 100円で1時間ほど繰り返し遊べるといったシューティングゲームである。 高校は堺東駅の東側5~6分のところにあって、クラブ活動のない放課後に、駅西側の銀座商店街のゲームセンターに寄っては友人と競っていた。時には、授業を抜け出してゲームセンターに行ったこともあったが、こんな時は後で担任教師から注意されるのも面倒と考え、自分の机といすを隣の書道室に運んで存在を無くして行くことにしていた。 残された同級生は空間を詰めて協力してくれた(笑)。 定期試験が終わる当日朝には、話のわかる父親が100円玉を20枚ほどくれ、友人と一緒に試験が終わって駆け込んだことも懐かしい。 インフルエンザ(当時は流感)が流行ったときは、あと一人休めば学級閉鎖というときに、自分が職員室へ行って発熱(仮病)を申告して早退。 学級閉鎖となり、友人とそのままゲームセンターに行ったこともあった。 今の時代ではあり得ないことなのかもしれないが、昭和の古き良き時代の一幕であった。 今、このゲームがあれば、100円でどれくらいの時間持たせることができるだろうか。


2020.6.1 郷に入っては郷に従う!?

緊急事態宣言が解除され、大阪はコロナ感染陽性者の数も非常に少なく、一安心といったところである。しかしながら様々な店舗や会社が再開され、人の動きも以前同様激しくなりつつある。北九州市では小学校がクラスターになったなどとこれまでとは違った感染者の発生の仕方が起こりだしているところもある。どこまで感染の予防をすれば良いのかと最早思考回路が破壊されてしまうような感染の仕方である。大阪市や福島県の小学校では子供たちにマスクをさせた上にフェースガードまでさせるといった異常な光景をニュースで見た。これはやり過ぎ。全く飛沫感染やフェースガードの意味を理解していない。真冬にコートの上に更に無理矢理セーターを着ているようなものである。元々感染者のくしゃみや咳による飛沫が、検査や看護している医療従事者の目、鼻、口に直接かからない為の防御として、口、鼻はマスク、眼はゴーグルを使用していたが、ゴーグルの調達が間に合わない為、フェースガードが考案された。幸いにも、これなら、眼以外に露出している顔へのウィルスの付着を防止できるので好都合である。にも関わらず、椅子に座って授業を受けているマスクをしている子供たちに、更にフェースガードを装着させて授業を受けさせるなど、非常に馬鹿げたことを馬鹿な大人が子供にパワハラを行っているとしか言いようがない。また、マスク無しの感染者がくしゃみや咳をした場合の飛沫距離が2Mということであるにも関わらず、マスクをした上に2Mの距離を空けるなどお門違いである。肩がぶつかり合うような商店街などは別として、ただ散歩をしたり自転車に乗るのに何故マスクが必要になるのか。マスクをしてジョギングしている人を見ると不思議で仕方がない。これも結局は、無症状の感染者からの飛沫感染を予防する意味を専門家が説明したことを、頭の悪いマスコミが勝手に尾ひれを付けてしまい、重要な知識を台無しにしてしまったわけである。TV出演の専門家も最早敢えて否定はせず、内心呆れ返っているものと思われる。私も、小梅と散歩に出かける時、マスクをせずに歩いていると、わざとらしく対面から来る人が遠ざかっていく場面に遭遇するので、馬鹿らしいとは思いつつ、時々マスクを付けて散歩するようにしている。『 郷に入っては郷に従う!? 』 なのである。コロナ感染症が恐ろしく、不安で憂鬱なこの時期が一日も早く収束することを祈るのは万人みな同じだと思うが、私は、それ以上にマスコミに洗脳され、おかしなことを大半の人がしていることが一日も早く収束することの方を強く希望する。飛沫感染の予防は、感染者(取り敢えずは全員)がマスクをすること、感染者(取り敢えずは他人)と10~15分以上1~2M以内で会話をしないことで十分。今となれば、これだけ正常者もマスクをしてれば飛沫感染など考える必要性は低く、接触感染のことをもっともっと重要視するべきと言いたい。クラスター発生は殆どが飛沫感染であって、マスクせず長時間向かい合ったり、隣り合ったりして会食やスナックに居るからであって、それ以外は感染経路不明の接触感染である。電車のつり革や手すりからの接触感染が結構多いのではと思われる。電車は三密ではあるが、マスクを皆していて会話もないので比較的安全なんて馬鹿なことをいうマスコミ評論家?がいるが、接触感染で最も危険な場所の一つと思われる。この電車や職場、店舗でウィルスに触ってしまったのでは?と不安になる必要はない。逆にウィルスに触って手に付いているものと考えた方がいい。しかし、接触感染も恐れすぎる必要はない。たっぷりウィルスが手に付いていても目、鼻、口に持ってくる前にアルコールや次亜塩素酸水消毒、あるいは石鹸で十分な手洗いをすればリセット(除去)されたことになる。出来れば、自分の手が触れそうな腕、肩あたりの洋服にアルコールや次亜塩素酸水を霧吹きなどで消毒してやればもっと良い。今、もっとも危惧していることは馬鹿な大人がフェースガードをして街を歩きだしてしまうことである。


2020.5.16 とりあえず感染拡散縮小傾向

新型コロナ感染症の拡大もひとまず止まり、縮小方向に向かっている。自粛制限も緩和され、我慢強い日本国民も少しはリラックスをと繁華街に出かけだした。ここ1週間で大阪を始め、医療破綻間近の東京も急激に感染が縮小しだした。自粛の効果とは言え、ここまで急激に改善傾向になったのは気温の上昇も一因なのかもしれない。6月になれば梅雨が始まり、ウイルスの縮小には好条件が揃う時期になる。本来であれば、秋までは安心できる季節なのであるが、何せこれまでのウイルス学の常識が通じにくい曲者である新型コロナウイルスであるのでどうなることか、恐る恐るの経過を観察していくことになる。コロナウイルスとの共存などと戯言を言っている役人やマスコミがいるが、共存などできるわけがない。罹れば死ぬ人が必ずいるわけで、誰が死ぬかなんてわからない。自分は死なないなんて楽天的なことを言っている人がいるが、それは戯言である。しかしながら、ソーシャルディスタンス(2M)やマスク神話が出来上がってしまったが本当なのかと疑いたい。そもそも2Mという距離は、感染者がマスクなしでくしゃみや咳をした場合に感染してしまう距離である。世の全ての人が感染者(潜伏者)であると見なして、マスクを勧められたことは感染拡大を封じ込めることの成功因子と考えられるが、マスクをした人達が2Mの距離を空ける必要があるのだろうか? 冷静に考えればNoとまでは言わないがYesではない。GWの連休中に開店しているパチンコ店がバッシングされた。同感である。子供を含めた国民が必死で自粛している最中、我慢できない大人が行列を作る光景には火をつけてやりたい気分にもなった。インタビューを受けている客の誰ひとりとして説得力のある返答はなく、どちらかといえば、知能の低い返答ばかりで、世の中にこんなバカな大人が多数存在していることに驚き、彼らに10万円を配分する情けなさを感じた。ただ、パチンコ店がそれほど危険かと考えた時、全員アルコール消毒をしてマスクをして会話なし。あちこち動き回り、器具を触れまくれば感染者はウイルスをまき散らす可能性は十分あるが、その動線、動態を調べた報告はない。個々の客の対面はパチンコ台。人間はいない。そんなに危険であるのだろうか?小生はパチンコをしないので状況が把握できないが、アルコール消毒をせず乗車する通勤電車の方が感染確率は高いように思える。当然、マスクなし・アルコール消毒なしでは感染者が存在すれば大拡散の可能性は大である。いや、新型コロナウイルスには理屈は通らないかもしれない。徹底的に出来得る予防をするのがBestなのであろう。


2020.5.1 5/25(月)より平日午後、土曜日も予約で診察再開

5/25(月)より試験的に現在休診している平日午後、ならびに土曜日の診察を完全予約制で再開することと致します。新型コロナウィルスの再燃による大阪府下の状況が悪くなった場合は、再度休診を予定させて頂くこともありますのでご了承ください。電話で予約を受付けますのでお問い合わせください。尚、予約外の診察は一切受付けません。体調不良等については電話でお問い合わせください。


2020.4.11 今日から予約なき診察は致しません

今日から、緊急事態宣言の発令に伴い予約なしの土曜日および平日午後の外来診療を暫く休診致します。スペースのない待合室が多数の患者さんで混雑しますので、感染の確率が非常に高くなります。診察をご希望の場合は、平日午前の診察をご予約下さい。予約枠の関係上、初診の予約は暫くお取りできません。また、厚労省より暫くの間、電話による処方箋発行の依頼に対応するようにとのことで、処方箋をご希望の場合、下記のように発行致します。

  • ① 当院(072-258-8282)に電話で処方箋依頼と伝える 
  • ② 受取希望薬局(どこでも可)の電話番号、FAX番号を伝える
  • ③ 当院から薬局へ5分程度で処方箋をFAXします
  • ④ ご本人は4日以内に希望薬局へ薬を取りに行く
  • 尚、当院からの処方箋発行等の費用は後日の受診時に精算致します。

新型コロナウィルスの想像もできないほどの接触感染の凄まじさと、感染のメカニズムが全くこれまでのウィルスとは異なる非常に厄介な曲者として、今回の緊急事態宣言発令後、個々の自粛がどの程度拡散の抑制に結び付くかが鍵になることは周知の通りである。あまりに危機感を抱かず自分は大丈夫と思っている人が多いのにも驚きである。このウィルス感染が起こった当初は確かに大したことではないと我々医療関係者も思っていたが、日ごとに甘く見るな! との警告の如く、益々強力化していくコロナウィルスに唯々真面目に向き合わなければ下手をすれば死に結び付いてしまうということを思い知らされて来ている。もう一度確認するが、マスクの効力が見直されているのは決してウィルスを直接吸い込まない為ではなく、自分は大丈夫と思っている潜在感染者の飛沫を防止することと、もう一つは、知らず知らずのうちにあちこち触れまくったウィルスに汚染された手を無意識に口に持って行った場合の、防御の目的でマスクは効果的なのである。これを考えると、外出して何かに触るという恐ろしさを手洗いだけで予防することは最早このウィルスは困難なのかもしれない。だから、外出するなということである。自覚もなく、自分は大丈夫と思って知らぬ間に感染している人が70~80%に達している。もう、どの人も大丈夫ではなく、中途半端な自信は持たぬことである。クリニックでは37℃以上の発熱、最近の咳、息苦しさの患者さんはコロナ相談センターに電話相談するよう指示し、受診は拒否しているが、まれではあるが、これらの症状を隠して、診察室内で訴える愚かな患者がいるのも事実である。ビルの入口やエレベーター内に受診できない旨の張り紙をしていても、こんな大迷惑な人間がいるということ覚えておいて頂きたい。


2020.3.29 そろそろ自分も加害者(感染者)と思って・・・

東京がコロナウィルス感染で爆発寸前の状況となってきた現在、最早大阪も余程の対策、自主制限をしない限り二の舞になってしまうことが考えられる。そろそろ、自分の身にウィルスが近づいてきていると考える時期になったと判断し、先週末より自分が加害者の可能性ありと判断し、嫌っていた効果の低いマスクをするようになった。但し、感染する機序は鼻粘膜、口腔~気道粘膜、および眼から侵入するわけであるから、そこを阻止すれば感染予防は十分できるはずである。感染者の咳やくしゃみを直接吹き掛けられなければ(飛沫感染)、あとは色々な所を触ってしまった手に付着したウィルス(接触感染)をブロックすれば感染の可能性は非常に低くなる。飛沫感染の予防は比較的簡単で、そのような人と至近距離(2M程度)にいないことである。万が一、咳やくしゃみを至近距離で吹っ掛けられたら、すぐに手や顔を洗い、しっかり嗽いをすればよい。問題は接触感染である。知らぬ間に手すりやテーブル、取っ手、店舗の商品、コインや紙幣などを触ったりして手にウィルスが付着してくるのである。しかし、手に付いたところで感染するわけはなく、これが鼻粘膜、口腔~気道粘膜、眼などへの侵入を阻止すれば感染はしないはずである。外出先では既に手にウィルスが付着していると思って、自分の手で眼をこすったり、鼻をいじったり、口元や唇を触ったりしないこと、そして手洗いなく、食事をはじめ物を食べないことである。手に付いたウィルスが食品にこぼれ落ちたものを飲み込んでしまったり、触った箸を口にすることで侵入してしまう。ましてや素手で食品を掴んで食べるなどもってのほかである。これらをブロックするのは再三手洗いをすることで、同様に口腔に入ったウィルスを吐き出す意味で嗽いをすることが大切になってくる。外食により感染する可能性は高くなる。万が一、感染者が料理したり、感染者が配膳を行うと、最早テーブルに並べられた料理や食器にはウィルスが付着している。料理を洗うわけにいかず、皿やコップを洗うわけにもいかない。当分は外食しないこと、テイクアウトをしないことも予防の一つと考える。さて、もうお解かりと思うが、飛沫感染に比べ接触感染の確率が圧倒的に高く、マスクの意味は非常に低いということが理解できると思われる。何度も言うが、しっかり手洗いするまでは、自分の手は口元、顔を触らないよう十分注意することである。


2020.3.21 新型コロナウィルス3・・・ 中間まとめ

世界的に拡散してしまった新型コロナウィルスではあるが、このままでは世界的に更に拡大するものと思われる。連日、朝、昼、晩とテレビでは騒がしく報道している。わが国では、様々なテーマパークや集会が中止にされ、爆発的な拡大はどうにか抑えられてはいるが、そろそろその規制も緩んでくるようで、爆発的な拡大が起こらなければ良いのだがと危惧される。毎日通勤で通る沿線にあるドラッグストアーには連日数十名のマスクを求める人たちの列を見る。今となれば、マスクは必需品のようになってしまっているが、医療関係者や政府がマスクを推奨しているのは、最早、誰もが感染しているものとみなし、他者にうつさない為にマスクをしておきなさいといった意味で推奨しているのだが、相変わらず自己がうつらないようにと予防目的で勘違いして購入に奔走していることには気の毒に感じる。日々の診察で、このことを十分理解できている患者さんは少なく、全く理解できていない患者さんの多いことには驚く。『 先生にうつしては大変なのでマスクをしています。』 と有難い患者さんがいる一方、マスクの表面を触りながら付けたり外したりしながら、『 先生は、マスクをしていない! テレビでマスクが必要と言ってましたよ!』 と語気を荒げる女性もいた。まあ、一日70~80人相手に、8時間以上マスクを掛けて何か月も喋り続ける診察をして御覧なさいと言いたいところである。呼吸困難になり、かえって呼吸器がやられてしまいそうになる。当然、私が症状なく感染していたら、患者さんにうつしてしまう可能性もゼロではない。しかし、私がどなたかの診察でうつったなら、もはやクリニック内(特に待合室)では同様にうつされてしまう患者さんが複数存在してしまうことになる。こんなことを考えたらきりがない。当初、中国人と接触の多い道頓堀や戎橋、黒門市場からの発生者がいなかったことで拡散は防げたのではと楽観視していたが、ライブハウスを筆頭に長時間の密室での発生、帰国者の発生から拡散されてしまったようだ。また、愛知県蒲郡の『 新型コロナをうつしてやる 』といった男性に肩を組まれ数分接客をしていた女性が感染せず、男性が腰掛けたソファーで化粧をしていた他の女性が発症したことには非常に驚きである。豪華客船内で、直接感染者と接触しなくても船内に付着したウィルスに触れて爆発的に感染した事例も考えると、感染のしやすさは、(接触したウィルスの量)×(接触時間)×(免疫力)に影響されるものと思われる。接触したウィルスの量を少なくするには、やはり嗽い、手洗い、洗顔などが重要であろうし、接触時間を少なくしようと思えば、同じ場所、同じ人と長居しないようにし、同じ洋服を着続けることは避けた方が良いのかもしれない 。マスクをしていても服には沢山のウィルスが付着する。洋服に付いたウィルスも数日すれば不活化してしまうので、あまり神経質になることはない。免疫力については個人差、年齢差があるがこれはどうしようもない。しっかり睡眠を取り、栄養なものを食べ、疲れを残さないなどの生活環境を整えることが重要であると思われる。このことに注意すれば感染はかなり免れるのではと思われる。意味の低いマスク神話に安心感を任せていることは、高額な支払いをして耐震偽装のマンションに住んでいるようなものである。空気感染をしないこのウィルスの予防にマスクを強調している医師がいるが、理解に苦しむ。飛沫感染と空気感染の違いが曖昧になっている。一日も早く、ワクチンや治療薬ができることを期待したい。   

 

2020.2.9 小梅の足を切断・・・!

昨年の7月ごろより小梅の左後足の小指付根に小さな腫瘍を認めるようになりました。少しずつ大きくなり、8月には大豆ほどの大きさになり、腫瘍から時々出血するようになりました。小梅は痛そうな素振りもなく、元気に駆け回っていましたが散歩するたびに出血が酷くなってきたので、8月12日(日)、クリニックの一週間の盆休みの初日にかかりつけの動物病院に連れて行きました。獣医さんは見るなり、「 悪性の可能性が高いです。足を切らないといけない可能性が高いです。 」とのことでした。人間の場合も、出血する皮膚腫瘍は悪性の可能性が非常に高いので、ある程度覚悟はしていました。「 どこから切断するのですか? 足首の上からですか? 」 と聞くと、「 まだ、5歳と若いので中指と小指を一緒に切ることになると思います。 」 「 ・・・ 」 。内心、悪性なら広範囲に切った方が再発も予防でき、小範囲に切っても逆に予後が悪いのではと思いましたが、この時は何も聞くことができませんでした。取り合えず針生検を行うこととなり、流石にいつもは大人しい小梅も押さえつけられ、腫瘍に針を刺されるものだから、悲鳴をあげ、刺される注射器を蹴り上げました。組織は取れたとのことで 一週間後の結果を待つことになりました。旅行など特に予定のなかった盆休みは、小梅と一緒にいる時間が長く、本来楽しいはずが、逆に辛い一週間となりました。抗がん剤治療をすべきか、どんな手術がよいのか足の切断後は義足を作ってやれるのかなど色々調べてみましたが、やはり人間の医療ほどは進んでおらず、獣医師に任せざるを得ないと覚悟を決めました。腫瘍からの出血も容易に出てしまうので散歩も中止となり、小梅自身はなぜ散歩に連れて行ってくれないのかと不思議がっていたにちがいありませんでした。 一週間後、電話で結果を伝えられました。「 組織が十分取れていないので断言はできないですが、病理医の診断は良性の組織球腫とのことでしたが、腫瘍の性状、できた場所(足の裏、指の隙間)を考えると悪性の可能性は否定しきれません 」 とのことで、再検査の必要性を説明されました。なかなか難しい治療になりそうであることを既に覚悟していた私は、大阪府立大学の獣医臨床センターでの再検査、治療を希望し、紹介状を書いて頂き、後日予約を取って受診することになりました。予約は平日の午前中でしたので、家内と長女が小梅を連れて行くことになり、再度の針生検よりも一層のこと全身麻酔で腫瘍を摘出して、尚且つ組織を調べることを選択されました。組織の結果は前回同様一週間後の電話で伝えられることとなりました。 治療を終えた小梅は、当日、翌日と麻酔の影響なのか、ず~と寝ていることが多く、元気がないように見えました。組織結果を待つ一週間は非常に長く感じられ、悪性の可能性は高いと納得はしているものの、前回の組織検査は不十分であったとはいえ、悪性の診断がくだった訳でもなく、かすかな望みを託して待つこととしました。医者である自分がこんなに何もできないのかと空しく小梅に申し訳ない気持ちでいっぱいでした。 私は、心臓のカテーテル治療開始時は毎回、治療がつつがなく終えれるようにと祈願し、胸に手を当て開始することを欠かしませんでした。尤も、周りには気づかれない程度にはしていましたが。こんな自分なので、今回も小梅のことを神に願うことにしました。というか、この時の自分にできることはそれぐらいしかありませんでした。クリニックの帰り、初芝の出雲大社に立ち寄りました。方違神社、開口神社にも行きました。大鳥大社、菅生神社、萩原神社にも行きました。なんの御利益があるのかなんて関係なく、一人?の神より多くの神に協力をお願いした方がいいだろうと思い、3日間梯子しました。 その甲斐あってか、一週間後、獣医臨床センターから組織の結果は良性の組織球腫であることを伝えられ、まさに9回裏の逆転ホームランと言った気分でした。性質上、再発する可能性はあるとのことでしたが、悪性でなければそれでいいと唯々感謝する次第でした。 数日後、小梅を車に乗せてお世話になった神社を一軒一軒お礼参りに出かけました。車に乗ったり、降りたりと忙しい散歩だなと小梅は思っていたに違いありません。今でも、定期的に小梅の健康をお願いしに神社に参っています。  術後1ヶ月ごろより腫瘍の再発が認められ、前回ほどではないものの徐々に大きくなってきました。予想はされていましたので、散歩するときに後足に風船様のゴム靴下を履かせて出血させないように注意し、時の経過を待ちました。1月下旬、腫瘍はみるみる小さくなり、綺麗に消退してくれました。これで一連の腫瘍に対する疑い続けてきた気持ちは、黒からグレー、そして白となりました。神に感謝です。長生きしろよ、小梅!  今回、再発した腫瘍が消退したことでやっと解決したものと判断し、再度ブログに小梅のことを綴りました。 


2020.2.5 新型コロナウィルス2

その後、新型コロナウィルスは中国では更に拡大し、世界に飛び火しだしている。日本では中国から訪れた中国人と武漢から帰国した日本人、豪華客船内での感染者からの二次感染者で占められ、濃厚接触者であるバス運転手とガイドの二人のみが日本で生活している人の感染者である。1月25日から春節で大勢の中国人が日本を訪れ、各地の人気店や観光地で働く日本人と濃厚接触をしているわけであるが、この接触で感染したとなれば潜伏期を考えると、今週当たりにそろそろ日本在住の人の感染者が出てもおかしくない。特に大阪では戎橋筋、道頓堀、黒門市場が中国観光客の人気スポットであるので、ここから感染者が出るのが最も考えられる。逆に考えれば、今週、この地域から感染者が出なければ日本では拡散しない可能性が非常に大きいと考えられ、ほっとしたことになるであろう。いつものように、あまりにもマスコミが煽り過ぎているため、パニックになる人が多い。ましてや競ってマスクを購入している人々の多いことには驚きである。前回も述べたが、マスクは感染者がウィルスを拡散しないためには有効であるが、予防効果はない。仮にも、マスクでウィルスをブロックできたとしたところで、そのマスクを触ってしまった手をどうしているか、滑稽なのはそのマスクをポケットにしまい込んで再び装着する(ポケットの中はウィルスだらけ)など、小学生でも考えればわかることを平気でしていることを何とも思わないのだろうか。マスクにウィルスが着いたと考えるなら、頭や顔および洋服にも同様に着いているはずである。こんなことをどう考えてマスクで予防できると信じているのか。手洗い、うがい、洗顔の方が予防効果は大であり、特に口や鼻から侵入してしまったウィルスは吐き出すしかないのである。すなわち頻回のうがいである。尤も、ウィルスが体内に入った場合は、その人の免疫細胞の反応に頼るしかない。中国では死者も出ているが、恐らく生活環境の低さ、日ごろの栄養状態の悪さなどにより、免疫機序の悪さから最悪の状況になったのではと推測するが、我が国の場合、帰国された感染者やバスの運転手のその後の状況がどの程度であったかを知りたいところである。恐らく、1週間程度の隔離、安静で改善しているのではと推測する。今、我々が知りたいのは日本人の場合、重症化しないのではという事実である。この報道が一切されていない。繰り返すが、今週、日本のどこかで複数の日本人在住者の感染者が複数出るかどうかがこの先を左右するものと考える。


2020.1.24 新型コロナウィルス

「 先生、厄介な感染症が流行り出しましたね。待合室のテレビで騒いでましたよ。 」 「新型コロナウィルスの件ですね。 」 「先生どう思います? 中国は何かと迷惑な国ですね!! 」 「 確かに、身勝手で他者に迷惑をかけることは多いですね。また、この時期に大移動なんて世界を攻撃しているようにも見えますね!?」 「 どうなるんでしょう? 」 「 日本でも結構拡がると思います。 それこそ、北朝鮮のように早速 中国からの入国は全面禁止にしたような手でも打たないとダメでしょう。厳しさのない今の日本はそんなことをしないし、今後の経済効果も考えてできないのでしょうね。」 「 みんなマスクをしてますがどうなんでしょう?」 「 はしかのような空気感染をするわけでもなさそうなので、マスクの予防効果は殆どないのではないでしょうか。罹患している人がマスクをして咳やくしゃみの拡散を防止する意味では良いのかもしれないですが。」「 罹ってしまったら病院へ行けって言ってましたが治るんですか?」 「 一般の風邪同様、病院に行っても治療法はありません。自己の免疫力で治していくしかありません。肺炎になっても細菌性の肺炎ではないので抗生物質も全く意味がなく、時間が経つのを待つしかありません。ウィルスにはワクチン接種の予防しかありませんが、今からワクチンを作るなんて到底間に合いません。現在、ウィルスに効く薬は、C型肝炎ウィルス、ヘルペスウィルス、インフルエンザウィルスぐらいかと思います。それくらい、薬の開発は難しいのです。極論を言えば、新型コロナウィルスに罹った場合は、病院へ行ってもその場で診断がつくわけでもなく、治療法もないわけですから、どちらかといえば他人にうつしてしまう可能性の方が高いため、自宅で1~2週間じっとしていることでしょうね。まあ、肺炎ともなるとしんどくてそうもいかないでしょうけど。電話で保健所に状況を報告するシステム作りが大切なように思えます。免疫力の弱い人は、病院に行っても残念な結果になるでしょうし、そうでない人は自然に回復してくるはずです。」 「 罹らないようにするにはどうすればいいのでしょう?」 「 風邪やインフルエンザの予防と一緒です。繁華街に行かないこと、狭い空間(電車、レストラン、風通しの悪い多数の人が集まる部屋などを避けることです。外出中、および外出後は数回、手洗いやうがいをすることですね。マスクはこういった場所では少し効果があるかもしれませんが、使い捨てでないと意味がありません。」 「 道頓堀、戎橋筋、黒門市場・・・大変ですね!」「 そうですね。しかし、この場所の店々は日頃は中国の人に稼がしてもらっているわけですから仕方ないですね。今後の情報収集が大切ですね。」


2019.12.22 この一年を振り返って― 平成から令和へ

今年も残りわずかとなってきた。5 月には新元号を迎え、新たな時代を感じる一年のはずであったが、別段新しい風が吹くこともなく、令和元年を終えようとしている。昭和から平成になった時、まだ医師になって2年目だった。今年は 31年目、開業して 18年目になった。この 18年間、医療の変遷は大きく、超高齢者の急増とそれに対する医療内容の変化は凄まじいものと実感している。クリニックも 80歳以上の患者さんが占める比率が大きくなり、もはや医療を超え、福祉を仕事としているような気がする。病気でない加齢による苦痛に対する訴えに答える毎日。朝 9時前から昼 2時前まで一切の休憩なしに診察をこなし、昼 3時から 5時の午後の診察も大抵は 6時を過ぎる。やっと診察が終わっても、引き続き、役所から送られてくる患者さんの介護保険の申請書類作成や、夜間や休日に調子が悪くなり他院に入院となった患者さんの情報提供書の依頼に対する書類作成、また、当院では施行できない検査や診察目的での他院への紹介状作成など連日 2時間以上の書類作成およびクリニックの雑用など、朝から 12時間雑談もなく、二度のトイレと 15分程度の昼休みぐらいで、もう疲労困憊である。働き方改革だのと馬鹿なことを言っているこの国はもう終わっていると感じる。自分は病気を治そうと医師になったのであるが、もはや役所のような高齢者の福祉事業をしているようで、自分の目的とした仕事ではなくなってきているとつくづく実感している。そろそろ引退をする時期かと考える毎日である。引退して何をしようか? 考えれば考えるほど焦りが生じて何も思いつかない。取り敢えずは引退してから考えようかという結論になってしまう。愚痴になりそうな話を家庭に持ち帰る訳にもいかず、その苦痛と闘う毎日である。夢を追い続けている二人の子供は、今年 長女は 4月に名古屋でコンピューターグラフィックを駆使したデザイン関係の仕事を独り立ち。顧客をつかむため、多方面に足を運びながら日々努力しているようだ。小学 3年生からゴルフを始めた次女は、高校 1年時に関西大会で優勝し、今年の女子ゴルフプロテストも 642名が受験した中、1次テストを通過、2次テストも通過し、最終テストの 100名に残り、最後は 31位。21位までが合格であったため、非常に残念ながら合格はできなかったが着実に夢に向かって努力している。スポンサーもいくつか付き、ゴルフ雑誌に掲載されたり、インターネットTVやBSテレビの大会やゲームに招かれたり、CMに出たりとなかなか忙しいようである。自分も若い時は夢に向かって頑張っていたのだなと回顧するが、もう一度何か夢を持ちたいなと夢見ている毎日である。今年一年、結局自分は何も進歩することもなく、残念な一年になってしまった。さて来年はどんな一年になるか、しっかりと目標を持って新年を迎えたいと思う。どうぞ、皆さんも良き年となりますように


2019.10.19 『 83 』

誰にでも思い入れのある数字があると思う。83・・・ この数字は何を意味するか? この数字に思い入れのある人はいるか? 中学生の頃、素数というものを数学で学んだ。1より大きく、約数が1とその数字そのものしかなく、他の数字で割り切れない数字のことである。83 はその素数である。今晩からプロ野球は日本一を決める日本シリーズが始まる。ジャイアンツの原監督の背番号は 83 である。自身の現役時代の背番号 8と尊敬する長嶋茂雄名誉監督の現役時代の背番号 3を合わせた番号らしい。野球少年であった私は、小学生時代(3年間仙台市) 長嶋茂雄に憧れて背番号 3のユニフォームを着て野球にいそしんでいた。しかしながら、試合になるとピッチャーかショートを守ることが殆どで、試合用のユニフォームでは好きな背番号 3を付けることは一度もなく、ピッチャーの 1かショートの 6を付けて試合に出ていた。当時、ジャイアンツが年1回、仙台に試合に来ることがあった。友人と二人で当時の宮城県営球場にジャイアンツ戦を観戦に行き、試合終了とともに、塀を乗り越えて、守備(サード)から駆け足でベンチに引き返そうとする長嶋選手を目掛けて猛ダッシュで駆け寄った。ほんの一瞬のことではあったが、長嶋選手の左肩をタッチすることができ、その日は手を洗うこともできず凄い興奮の中、床に就いたことを覚えている。 18年?ほど前、幼い二人の娘と家内とで軽井沢にスキーに出かけた。ホテルのエレベーターに乗ってゲレンデに向かおうとしていた時、『 すいません 』 と男性の声。閉まりかけたドアを開け、『 どうぞ 』とその男性に向かって返答すると、なんと 原監督親子が乗り込んできた。唯々 『 は・ら・さんですか?!』 としか発することができず、原監督も 『 え~ 』 というだけの一瞬の空間を味わったことがある。8 と 3 との直接的な接触の二幕だった。 前置きはこれくらいにして、毎日診察していると すごく 83 が気になる。83 歳のことである。女性が 83歳になると、かなり多数の人は急に体力がなくなり、『 しんどい、しんどい病 』 が始まる。多数の検査をしても特に異常もないが、兎に角 『 しんどい、しんどい、なんでですか?』 を毎回連発される。クリニックも18年目になると、初年度 65歳であった患者さんも、今では 83歳になっておられる。『 あんなに元気だったのに、歳を取られましたね! お尻や太ももの筋肉がやせ細ってしまって、立ち上がるのも、歩くのも大変になってきてますね。下半身の筋肉がげっそりして来ているので上半身を支えられなくなってきています。自分の体を思うように動かしたり支えたりすることができなくなってきているのでしんどく感じているのだと思います。』 70歳台にジムにでも通って筋肉を鍛えておかないと 80歳台になったら、このようにしんどくなってしまう。それも 83 歳を超えてくると必発?のように感じる。比較的男性は筋肉が女性より多いので、『 しんどい、しんどい 病 』 は少ない。世界平均寿命 71歳であることを考えると厳しいようではあるが、仕方のないことのように思えるのだが。


2019.10.11 五十歩百歩

神戸市須磨区の小学校で先輩教師が若い後輩教師をいじめている事案が連日テレビで放映され、相変わらずテレビの司会者や何の資格もないコメンテーターがこの不謹慎な大バカ教師どもを罵っている。挙句の果てに、教師を辞めさせるべきであるなどと公共電波を使って自説を繰り広げている。以前、このブログで記した正に『 不謹慎狩り 』 を行っているのである。個人的には彼らと大きな意見の相違はないが、公共の電波を使って多くのお茶の間の人たちに発信することではなく、彼らにその権利はないはずである。大バカ教師の行った不謹慎な行動(事実)そのものを伝えることがテレビの役目であって、その人間の処罰まで発信できるものではない。精々、その小学校のPTAを含む関係者と学校に税金を払っている神戸市民、神戸市がこの事案に口出しすることは可能かと思うが、それ以外の人間が深入りするのは正に 『 不謹慎狩り 』 である。本当に、不快である。また、面白いことに、『 子供を教える立場の人間(教師)が、これでは子供を教えれない 』 なんて偉そうに このテレビのコメンテーターは言っているが、あなたたちもそんなに立派な人間なのと問いたい。 連日の診察で、アルコール性肝障害の患者さんには毎回減酒するように指導しているが、ついつい吞んでしまうと言い訳をし、糖尿病のコントロールの悪い患者さんには、間食を減らし、食事量を減量するように指導しても、つい美味しいお菓子を食べてしまうとか、外食が多かったとか毎回言い訳ばかりしている。いい加減にしろよ! と言いたくなるが、『 頑張って努力してくださいね!』 なんて言う自分が情けなく、時に皮肉っぽく 『 子供には、おやつを制限したり、門限を決めたり、ゲームをする時間を制限したりするのに、貴方は大人であるにもかかわらず自分で守れていない。子供に対して、ずるくありませんか!』 と言ってやることがある。こんな患者さんもこのテレビを観て、コメンテーターと同じことを言ってるんでしょうね。正に、五十歩百歩ですよ。

 


2019.7.20 ポケットベル

かつて一世風靡したポケットベル(ポケベル)が、今年9月に完全にその通信サービスが終了となるとのニュースを聞いて驚いた。携帯、メールといった当り前のこの時代にまだ、ポケベルが生き残っていたことと、それを利用している人が1500名ほどいるといった事実に驚きである。救急疾患を扱う循環器医としてはかつて必需品であった懐かしい思い出がある。24時間、365日,、風呂に入るときはドアの横に、眠るときは枕元に、それ以外は常に携行するといった習慣をつけ、外出する時や夜中にはいつポケベルが鳴るのかと不快な緊張感を持った生活が続いていた。今の携帯と違って直ぐに会話ができるわけでなく、相手(病院)から突然呼び出され、昼ならまだしも真夜中ともなるとその『 ピー、ピー 』といった音が家中に響き渡り、目覚まし時計以上に敏感に起こされ、すぐさま病院へ確認の電話を入れて要件を確認するといった日々である。心筋梗塞の患者(急患)が運ばれてきた場合が圧倒的に多く、当直医からの要請であり、真夜中に車を走らせてカテーテル治療(インターベンション)目的に駆けつけることが殆どであった。自分のみならず、大きなポケベルの音で家族も一緒に目覚めさせてしまう日々であった。携帯電話の無い時代であるため、高速道路を運転している時なら、一番近い出口を降りて、公衆電話を探し、病院へ確認の電話を入れることになる。また、外食中などは、店の外の公衆電話を探したりと、容赦なく鳴り響くポケベルの音に、文句も言えずこれが当たり前であると納得していた当時の医師の一人であった。今や、どこに居ても双方向通話ができる携帯の時代が羨ましくも思える。医師のプライべートだの、働き過ぎだのと言っておれる時代ではなく、倒れる者は敗北者の時代であった。先の『 嶋の大ばあちゃん 』でも出てきたが、私が関西労災病院で勤務していた時は、大阪労災病院で勤務していた時代以上に急患が多く、少人数の医師で治療を担当していたものだから、毎回全員集合といったルールになっていた。季節によってはほぼ毎日夜中にポケベルで起こされ、暗い夜道を宿舎(官舎)から自転車で駆け付けた思い出がある。週1日の休みに結婚したばかりの私どもは、いつポケベルがなって病院に駆けつけないといけないかもしれないとの思いで、二人で買い物に行くのも車で30分以内のところが精々で、地階での買い物(大抵は食料品)はポケベルの電波が届かないので、家内一人で買い物をし、私は駐車場で待つといった生活であった。このようなタイミングにポケベルが鳴るのもしばしばで、公衆電話を探して要件を確認後、地階で買い物をしている家内を走って呼びに行き、買い物も途中で精算させ、急いで病院に駆けつけるといった日々であった。外食中も容赦はない。注文してから食べるまでの間にポケベルがなることも何度もあった。こんな時は、お金だけ払って店を出たこともあった。希望して循環器医になったからには宿命と感じ、後に大阪労災病院のカテーテル室長になった時には、後輩たちに 『 これが循環器医の宿命、嫌ならやめろ!』 などと言ったものだった。今となれば懐かしい必需品であったポケベルではあるが、当時は憎きポケベルであった。


2019.5.19 嶋の大ばあちゃん(3)

『 先生、嶋です~』 。『 あ~、御無事でしたか 』。 平成7年1月の阪神大震災が起こった数日後のこと、嶋さんから自宅に電話があった。『 先生、頼みがあるんやけど 。地震でマンションも半壊して、住める状況でなく、娘の車でどうにか芦屋を脱出して堺に避難してきました。突然、永らく娘夫婦の家(偶然にも堺市内)で世話になるのも申し訳なくて、少し病院に入院させてもらえないですか 』 。当時、大阪労災病院では心臓リフレッシュ入院というシステムがあり、心筋梗塞の既往患者さんの外来のみでできない検査を1~2週間ほど入院してまとめて検査するシステムがあった。『 わかりました。明日、病院で婦長に相談してベッドの空きを確認して連絡します。』 翌日、事情を説明し、個室の空きに余裕があるとのことで部長、婦長の了解を得て心筋梗塞後のリフレッシュ入院目的で入院して頂くよう連絡をとった。『 悪いな、迷惑をかけます。今月いっぱいを目途に退院します 』。リフレッシュ入院目的で心臓の再チェック(種々検査)を行い問題ないことを確認できた。今でも印象深い思い出がある。着替えもさほど持って避難することもできず衣服の買い物に行きたいので外出して連れて行って欲しいと言われた。日曜日に家内と3人で病院近くの堺東の高島屋を案内した。衣服のフロアーでいくつかの品を選ばれ、対応した店員がそれらを預かってフロアーを回っていた。我々夫婦はこの二人から少し距離をおいて付き添った形になった。このフロアーだけでは目的が達せられなかったようで、店員に別のフロアーへの案内を打診し、結局は4人が揃って別階に行って買い物を継続することになった。私は心の中で 『 嶋さん、服は服でこのフロアーで精算するんですよ 』 と囁きながらお供していたが、店員も一言も発せず追従する様子が言葉では言えない杖をつきながら歩く嶋さんの迫力と凄味を感じ、そのオーラーを初めて味わった。最終的には、この店員が全てをまとめてくれた。今では外商のお得意さんが担当者に事前に連絡して購入するスタイルはあるが、一切、自分が何者であるか、地震で被災してきた者であるなどは言わず、その凄さを見せつけられた。『 この人は、やっぱり本物の凄い人だ!』 と感じた。今月いっぱいで退院しますといわれた通り、入院中に銀行の担当者が幾度と面会に来られ、家探しを頼まれていたようで、自分で設定された月末までに新たな家を決められ退院されて行かれた。何と綺麗な入院だったことかと感心させられた。その後、落ち着かれた時期に新居に招待された。


2019.4.29 嶋の大ばあちゃん(2)

退院後、毎月1回 私の外来を受診され、その後も調子の良いことを報告してもらった。『 なんで私は、心筋梗塞になったんやろ? 半年前に主人が亡くなったことが影響してるのかな?』 確かに、血圧が高いわけでもなく、コレステロールが高いわけでもなく、糖尿病があるわけでもない。『 多少、影響してるかもしれませんね 』。『 私の主人はな、凄い人やったんや。佐賀藩の鍋島家の末枝なんや。侯爵(公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵という区別のある華族)なので、私とは身分が違うんや。私は武家の出なので身分は下。夫婦別姓です。私は鍋島でなく嶋のままなんや。主人は、天皇家にしばしば呼ばれることもあったし、それは凄い人や。佐賀の自宅前まで鉄道(鍋島鉄道)を引いてたけど、この前、JRに寄付した。感謝状だけもらったな』。 今般、キャリアウーマンが夫婦別姓を認めるようにと運動を起こしているが、桁違いのこの人たちは既に夫婦別姓で生活をされている。こんな話が、入院中や外来でバンバン聞かされた私は腰を抜かしそうになり、これまで関わったことのない非常に貴重な世界を味わせてもらうことになった。もはや、医師と患者といった関係でなく、私なりに凄く興味をもった世界をどんどん大きくしてくれた嶋さんだった。『 嶋さん、日ごろは健康診断でも受けてましたか?』。『 毎月、芦屋病院から自宅に採血などしにきてくれる。特に異常は言われたことはなかった。私ら5人ほどで寄付して芦屋市民病院を綺麗に建て替えさせた。折角住んでいる街の病院が立派でないと。芦屋の住人は殆ど市民病院なんか行かないのよ。神戸市内の立派な病院に通ってるわ。淋しいよね 』。 どおりで、入院時に芦屋市長や市民病院長などが駆け付けたわけだ。嶋さんはメゾネットタイプの分譲マンションにご主人と住んでられた。分譲なのに管理費が月20万円と当時、寝ずの当直、休みの無い土日出勤、終わりのない日常勤務の全ての手当を足しても年収600万円に満たない嘱託医(非正規職員)の私からは驚きばかりであった。隣には清少納言の末枝の村山さん?が住んでおられ、まさに近くにある別世界であった。『 あの日、胸が痛くなったとき芦屋病院は大騒ぎ。国立循環器病センターに搬送しようか、阪大病院に搬送しようかと。しかし、誰かが、近くに循環器の立派な病院があるやないかと言って、あんたのところに運ばれたんや 』。『 あんたは給料安いんやろ!?』 と言っては、毎回私の外来の終わりごろに受診され、病院(関西労災)の屋上でエビフライやハンバーグなどの定食をご馳走になった(今ではありえない話ですね)。嶋さんからしてみれば私が孫のような存在だったのか、いろいろ気にしてもらい、新婚間がない私ども夫婦をご自宅に招いてくれたり、食事会に誘っていただいたりと関係が拡がっていった。平成5年7月、阪大医局より民間病院の心臓カテーテル治療の立て直しを依頼され、関西労災病院より転勤。1ヶ月で前年1年分の症例数をこなし8ヶ月後に古巣の大阪労災病院にカテーテル室の室長(やっと正規職員)で戻ってくることになった。この間も、嶋さんは月1回、私の勤務する病院に定期通院され、平成13年に開業してからもクリニックに通院された。・・・ (つづく)


2019.3.12 嶋の大ばあちゃん

『 間もなく、心筋梗塞の患者さんが到着します。先生が主治医になります。』 と外来の看護婦(現 看護師)さんから連絡が入った。『 どこからの紹介? 』、『 芦屋市民病院です。』 と心筋梗塞の急患が頻繁に搬送されていた関西労災病院に勤務していた平成 5 年ごろの一幕である。当時の阪神間で、カテーテル検査・治療のできる心臓救急病院は関西労災病院と兵庫医大の 2 病院だけであり、しかしその殆どは関西労災病院に紹介搬送されてきた。本拠地とする尼崎市をはじめ、伊丹市、宝塚市、西宮市、芦屋市、神戸市の一部と非常に広範囲から心筋梗塞の救急を受付けていた。グループの方針で紹介された症例は絶対に受入れを拒否しないということで、たった 6 人の医者でフル回転していた。現在であれば救急外来で診察後、すぐにカテーテル室にストレッチャーで運ばれ、治療を開始。終了後は CCUや ICUといった設備の整った集中治療室で数日継続治療をし一般病棟に移されるわけであるのだが、当時の関西労災病院は心臓外科、脳外科もかなりの手術数をこなし、術後に ICUで数日経過を診ることが多かったため、ICUのベッドは取り合いであり、また重症の交通事故や傷害による患者搬送も受入れる特救部もあった為、たった 9 床のベッドはすぐに埋まってしまう。少しでも元気であれば(経過が良ければ)その患者さんは一般病棟に追い出されることもしばしばであった。当然、一般病棟といえども、その科の空室(ベッド)がうまい具合に空いているわけでもなく、予定手術ならまだしも、心筋梗塞のような救急患者に対しては、ベッドの保証もなく、常に ICUの婦長(現 師長)や病棟の婦長にベッドを空けてもらうように交渉したものだった。内科の一般病棟が全く空きが無いときは、外科病棟や泌尿器科病棟などにも交渉することも珍しくなかった。  救急車で搬送されて来たのは70歳台の女性だった。意識はしっかりしているものの、胸が痛いと何度も訴えていた。ストレッチャーに寝たままの患者さんに向かって、私は立ったままで、いくつかの問診と心筋梗塞を示す心電図を確認し、準備の整ったカテーテル室からの連絡をもらって移動した。治療はスムーズに行うことができ、心筋梗塞のダメージも小さく、ICUでの管理も不要と判断し、消化器内科病棟のリカバリー室(詰所隣)が空いていたのでそこで引き続き治療することとした。 間もなく、狭苦しく決して綺麗とはいえない当時の病棟の待合室が騒々しくなってきた。『 看護婦さん、何 あの人だかり? 』、『 嶋さん(この救急患者さん)の関係者の方々です。芦屋の市長や太陽神戸銀行の支店長やなんだか凄い人達が来てますよ。』、『 えっ! 嶋さんって何者なの?』、 『 さあ~ 』。経過は良好で、翌日にはトイレまで歩いて行くことを許可して欲しいとか 個室の部屋に替えて欲しいとか注文が多くなってきた。『 嶋さん、治療は上手く行きましたが、まだ心臓は落ち着いていません。安静にしていないと急変して死ぬかもしれませんよ。』 その翌日もまた翌日も同じことを繰り返し、やっと希望の個室に替わる日が来たときは非常に嬉しそうにしておられた。その後も順調に回復され、無事退院の日を迎えることができた。『 嶋さん、また来月、外来でお会いしましょう。』、『 先生のお陰で命を助けてもらった。あんたは凄いな~。 でも、あんたぐらいや!私に命令するの!はっはっは・・・。』 、『 えっ?・・・』 。入院した日と違って、綺麗に化粧をして綺麗に着飾って、杖を突いて長女の方を傍らに、上品に退院していかれた。何とも言えぬ人間としての凄味を感じ、なぜか病院玄関まで送って行ったことを覚えている。 私が玄関まで送ったのはこれが最初で最後であった。・・・ (つづく)

 

2019.1.22 とんだ針事故!

医療関係者が採血や点滴時に患者に使用した針を破棄するとき、誤って指先に刺してしまう事故がある。いわゆる『 針事故 』である。対象の患者さんになんら問題となる感染症(B型、C型の肝炎ウィルス保菌者、梅毒保菌者、HIV陽性者など)がなければ大丈夫であるが、そうでなければ直ぐに水道水で傷口を5~10分程度しっかり洗い流す必要がある。私はこれまで針を刺してしまったという事故は数回なのであるが、勤務医時代に長時間のカテーテル治療を行っているときに動脈から噴き出す血液を顔面に浴びたり、カテーテル操作を行っている間に、いつの間にか手袋が破れてしまい、血液が直接肌にしみ込んでしまっていることなどよくありました。待機的(予定)治療の場合は、必ず問題となる感染症に罹患していないか治療前に患者さんの血液検査を行っており、感染症陽性者の治療を行う時は非常にナーバスになり治療を進めていました。心筋梗塞などの緊急治療では感染症の検査をしている余裕もなく、患者の状態も悪いため、最悪の場合は治療室の床は血の海になっていることもよくありました。幸いにも、これまで感染することなく現在に至っています。 数日前、お歳暮に頂いた海苔の詰め合わせを親戚にお裾分けしました。極上詰め合わせなどと書いてあったので喜んでもらえました。しかしそれがとんでもない事件を起こしたのです。昨日の朝のTVでも放送されたのですが、何とその海苔の中に4~5cmほどの長さの縫い針が1本混入されており、親戚の方が気づかず口に入れて刺さってしまったという針事故が起こりました。販売元の百貨店に連絡し、早急の対応をして頂きました。7622セットを自主回収したとのことです。何本見つかるのでしょう? こんな『 針事故 』は初めてで、怪我が軽傷であったことと、これが毒でなかったことが唯一の救いかと思っています。最早、缶に密封された食品も安全でない時代に来たのかと世の終わりを更に感じる事例でした。


2019.1.2 南海トラフ地震?? 地球破滅の大予言!

2019年、また一年が始まった。年末の天皇誕生日の折、皇居に河内の出身である楠木正成像があることを知り、今年の初詣は楠木正成を祀ってある湊川神社に行ってきた。恒例のおみくじを引いてきたが、昨年同様 『 小吉 』 であった。内容は全く悪くなかったのだが、まあどこまで信じるかは人夫々である。今年はどんな年になるのやらと考えても神のみぞ知るである。災害の多かった平成も残り4ヶ月ほどで終わってしまう。酷い震災が多かった時代だったと顧みるところである。多数の死者まで出した平成の地震を調べてみると、平成5年に『 北海道南西沖(奥尻島)地震 』、平成7年 『 阪神・淡路大震災 』、平成12年 『 鳥取県西部地震 』、平成13年 『 十勝沖地震 』、平成16年 『 新潟県中越地震 』、平成19年 『 新潟県中越沖地震 』、平成20年 『 岩手・宮城内陸地震 』、平成23年 『 東北地方太平洋沖地震(東日本大震災) 』、平成28年 『 熊本地震 』、平成30年 『 北海道胆振東部地震 』など、非常に多くの地震を経験している日本国民であるが、これらの大きな地震すら地震学者や気象庁は予測することができていない。逆に、草津温泉や箱根温泉の火山が爆発する可能性が高いなどと予測し、幸いにもその予想は的中せず、多くの温泉街の方々に多大なる迷惑をかけたことすら謝罪のない地震学者。彼らは、これまで犯した自分たちの愚かさを反省することもなく、20年後に 『 南海トラフ地震 』がおこり、死者は32万人などと偉そうに世間に発信している。非常に滑稽である。これまで大きな地震でお亡くなりになられた多くの人々に対し、彼らは自分たちのプロとしての仕事、その責任はどう感じているのか非常に疑問である。また、その推測の仕方が幼稚である。1361年(室町時代初期)に起こった正平地震以降、南海トラフ領域で起こった地震が100~150年おきに発生し、直近の南海地震は昭和19年および21年に起こった昭和東南海地震、昭和南海地震であるとしている。終戦を挟んで前後の年である。それから72年が経過しており、過去の周期?から今後20~30年後に起こる確率が高いといった予測である。まあ、専門的にはもっともっと細かいデーターを参考にしているのであろうが、なんら競馬の予想と変わらない。この昭和の南海地震では1000名ほどの犠牲者が出たようであるが、6,000人以上の犠牲者を出した阪神淡路大震災や、2万人以上の犠牲者を出した東日本大震災を考えると、更に32万人の犠牲者が出ると想定される地震なんてあり得るのかと疑問に感じる。ここまで予想もできない地震学者の言うことを鵜呑みにして地震対策だの避難訓練だのとおかしな話である。もっとも、忘れたころにやってくる災害に対しては、常に発生時の対処を考えておく必要があることは否定しないが、そんな大きな地震がきたらちっぽけな人間の知恵で対処することなどほぼ不可能と感じる。まあ、20年以内と言わないが、30年~50年以内に中国やロシア、アメリカ、中近東などで大戦争が起こる確率の方がはるかに高いと感じる。あてにならない地震対策より世界戦争が起こることの対策を国民をはじめ、世界にアピールしていく方が重要であると感じる。このような戦争が起これば32万人程度の死者では済まず、ほぼ地球は破滅する方向に向かうであろう。1年1年、凄いスピードでIT(情報技術)が進歩し、AI(人工知能)の改良・進化で人間の仕事まで奪い取ってしまう時代。30年もすれば、今の時代が大昔になっていると想像できる。人は殆ど仕事をなくし、収入をなくし、貧困と暴力がはびこる時代になる。国同士はいがみ合い、侵略目的で戦争が起こる。30年先まで中国やロシア、中近東が平和でおれるはずがない。もう、人間の生きている意味がなくなってしまうのである。あくまでも私見であるので怒らないでほしいが、30年先に南海トラフ地震が来るのでなく、地球の破滅がくるのではとノストラダムスの大予言ではないが、私の大予言である(笑)








2018.12.24 先輩先生に捧ぐ

今日はクリスマスイブ。長女の誕生日でもあり、売り切れ間際のクリスマスケーキ兼誕生日ケーキでも買いに行こうかと思っています。小さい子どものころは、誕生日用とクリスマス用のプレゼントを準備していましたが、いまでは・・・。 今年も残すところあとわずかとなってきました。比較的暖冬でスタートしたこの冬であり、今のところクリニック周辺ではインフルエンザの流行も起こっていません。しかしながら血圧が上昇したと不安になって臨時受診される患者さんが例年のごとく増えてきました。 先週、勤務医時代の 5 歳年上の先輩医師(現在は開業されている)が、詳細は不明でありますが突然死されました。これといった持病もなかったようですが、大動脈解離による急変らしいです。面倒見のいい明るい先生でした。派手な結婚式に抵抗を感じていた私の手作りの披露パーティーの司会を買って出て頂き、会を盛り上げて頂くなど本当にお世話なった先生でした。まだまだ、人の為、医学の為、そして自分の為に頑張って行ける年齢でしたのに残念でなりません。黙祷を捧げたいと思います。


2018.11.9  どこかおかしい今の世の中2 ・・・ 不謹慎狩り

今朝の産経新聞に学習院大学の遠藤薫氏が「不謹慎狩り」という記事を掲載していた。非常に聞きなれない言葉である。記事を読んでいくうちに「な~るほど」と、日ごろ私が納得できない不快感を少なくとも解消してくれた。「不謹慎」とは慎みや考慮、思慮分別の欠如などを指して言う感情的形容詞(形容動詞)で、それを見る他者を不快にするような状態であると感じられる事象あるいは集団感情のこととフリー百科事典ウィキペディアに記されている。どうも不謹慎とは個人の感情というより集団での感情のようであることに少しの違和感を感じる。 辛い目に遭っている人に、無神経にも思慮分別の無い発言や行動をとる人間がいる。いわゆる不謹慎者である。昔なら「 あの人は無神経だよね。人の辛さもわからない人だよね 」 などと陰でささやかれて事は終わっていたが、最近は携帯(スマートフォン)や PC の SNS(交流サイト)で陰口が一斉に拡散され、それについてああだこうだと強烈な批判に進化していってしまう。そうなると、どんどん過激になり、不謹慎者となった人間はいつの間にか陰でのささやきが廻り廻って自分が叩き潰されるまで非難制裁を受けるようになってしまう。これが「 不謹慎狩り 」というものらしい。もう、標的になってしまうと社会におれなくなってしまうほどで、最悪うつ病や自殺にまで発展してしまう事例もあるようだ。不謹慎な言動を指摘注意することは悪いことではないが、指摘注意するなら自分の名前、顔を表し、直接本人に言うべきである。結局は、自分に自信のない弱い人間が SNS といった便利な道具を得たことで日常発言もできず、孤独に生活を送っている憂さ晴らしをしているように思える。確かに、辛い目にあっている人に対して無神経、不謹慎な言動には非難することは悪くはないが、制裁を加え 叩きのめすまでの行動はやりすぎである。SNS だけでなく、TV での情報番組もそうである。なんら法律的には問題はないが、不謹慎であるということを理由に、その人間を完全否定し、二度と浮き上がってこれないほどにまで叩きのめす低能マスコミも同様である。まあ、不謹慎者をかばう気は毛頭ないが、謝罪するべきところは謝罪し、過剰に非難されていることには一切謝罪をしないことが不謹慎狩りの対策だと思うのだが・・・


2018.9.25 産業医科大学・防衛医科大学校・自治医科大学(特殊3医科大学)

日本には3つの特殊医大がある。大学は本来、国公立、私立の区別はあるものの文部科学省が所管する。しかしながら、私の母校、産業医科大学、防衛医科大学校、自治医科大学の3校は夫々独自の創設目的から所管が異なる。防衛医大は自衛隊の医官、幹部自衛官の育成を目的に防衛省の所管になる。合格すれば入学金や卒業までの学費は免除され、学生でありながら手当(給与)ならびに制服を支給される。卒業後は幹部自衛官となり医師としては研修後、自衛隊病院や部隊などで勤務することになる。卒業9年以内に義務を果たさない場合(自衛隊を退官、関連医療機関退職など)は学生時代に卒業まで掛かった学費、給与などの経費全てを国庫に返済する必要がある。 自治医大は僻地を含む地域医療に従事する医師の養成目的で自治省(現 総務省)が設立した大学である。全国の各都道府県から必ず合格者を必要とし、各都道府県の合格者は毎年2~3名と決まっている。卒業後は研修後、4年半の僻地医療での勤務を義務付けされ、防衛医大同様卒後9年間、指定された僻地などの公立病院などで勤務した場合は、在学期間の学費は全て免除される。 そして私が卒業した産業医科大学は、北九州市に1978年に専門性にたけた産業医の養成や産業衛生医学を専門とした医師の養成を目的に労働省(現 厚生労働省)の労働基準局所管の産業医学振興財団の助成を受けて創設された。入学金と授業料は国立大学と全く同等であるが、医学教育にかかる学費は振興財団から全額貸与された形となり、卒後9年間は産業医や産業医学に関係した医療機関に従事する義務があり、従事できない場合は貸与された学費(約1,000万円ほど)を返済しなければならない。私の場合、卒後産業医にならずに一般臨床医(循環器医)を選択。産業医学に関係した臨床病院として労災病院を希望した。出身が大阪であるため、関西には大阪労災病院、関西労災病院、神戸労災病院と3施設があるが、当時新設医大であった産業医大はこれらの病院に十分なスタッフを送り込むことなど不可能で、伝統校である大阪大学、神戸大学が掌握しており、勤務することは不可能に近い状況だった。そこで卒後大阪大学第一内科の入局試験を受け、同グループに所属し3年間大阪労災病院で研修後、2年間関西労災病院で循環器医として勤務、その後、再度大阪労災病院に戻り2001年4月まで勤務させてもらえた。もっとも、このような例は非常に非常に稀で、一般臨床医を選択した殆どの卒業生は卒後9年間の義務を果たせず、学費を返済する場合が多いようだった(当時の私立医大の年間授業料は400~500万円のところが多かった)。これら3医科大学のうち防衛医大のみ国立大学扱いとなり、自治医大、産業医大はなぜか私立医大扱いになっている。授業料が国立大学同等あるいは免除ということと、受験日が独自で設定され、他の国公立大学と異なっているため、私もそうであるが希望の国公立大学とこれらの特殊大学の受験が併願できるという選択を与えられた(産業医大のみ1982~2005年に国公立大学と同日の受験日になった)。当然の如く、莫大な受験人数となり、当時は30倍以上の人気となった。サラリーマンの子供が私立の医学部を受験することなどほぼ不可能で、義務・条件は付いているものの授業料を気にせず受験できるという夢を与えてくれる3大学である。産業医大は2005年より、100%貸与されていた学費が国の予算の変更で63%に減額され、その分自己負担するようになったようである。


2018.8.16 女子医学部受験生の減点入試・・・医師の65%は理解できる

東京医大の裏口入学問題が、女子医学部受験生の一律減点入試の問題に波及し、連日騒がしく報道されている。医師人材紹介会社の「 エムステージ 」が医師対象にアンケートを取ったところ、65%の医師は理解できると答えたようだ。長年、救急の現場でチーム医療をしてきた私としても同じ意見である。別に女性を差別する気は毛頭ないが、やはり妊娠、出産、育児で数ヶ月勤務に穴があいてしまうことは現場の残されたメンバーにとってかなりの負担になってしまう。それが、1人ならいざ知らず、複数となれば医療は崩壊してしまう。残された医師は、自分の受け持ち患者以外に休まれている女性医師の受け持ち患者を引き継いだり、担当していた外来も割り振って受け持ったり、救急患者の対応のための当直業務まで残された医師で穴埋めしなければならなくなる。精々1~2週間は我慢できるであろうが妊娠・出産・育児までの長期休暇の穴埋めは不可能である。当然、女性イコール妊娠、出産、育児ではなく、生涯、男性にも負けず働き続けるという女性もいるだろう。ここでは一般論として話を進めるが、現場を知らない無責任な部外者は非常勤の医師を雇えなどと言っているが、教師と違って医師は出産休養か病気休養者以外皆、どこかの医療機関で仕事をしている。例え、非常勤医を雇えたとしても、専門的な技能を要求される大病院では役に立たず、チーム医療もできない。いわゆるペーパードライバーがいきなり長距離のトラックを運転するようなもので医療事故が起こることが想定される。部外者は、殆ど口を揃えて「 女性医師が出産後も働き続けられるよう、医療現場が根本的な働き方改革を進める必要がある 」なんて綺麗ごとを言っているが、不可能である。この仕事は男女平等とかいう仕事ではないのであって、医師個人の権利を胸張って主張できるものではなく、命に関わる疾患を相手に時に時間との闘いをする仕事であって自己犠牲はつきものであると言える。勉強ができるのに不公平だといったレベルのものではない。ある意味、スポーツに似たところがある。女性であるという理由で甲子園を目指せない、大相撲を目指せないといったところと若干の共通点はある。TVで何度となく見るが、東京医大を受験失敗した女子受験生のインタビューが流され「 折角勉強してきたのに酷い。不公平は許されない。 」などと言っているが、そもそも、サラリーマンの子供などは授業料が高すぎて、私立の医学部受験の選択肢すらない訳であって、それを不公平と言わずして自分の受験失敗を棚に上げて情けない。こんな偏ったインタビューで医学部受験を捻じ曲げて報道するなど、相変わらず低能のマスコミのやることにはうんざりである。どうせ流すなら現場の医師の意見を報道すべきであろう。


2018.8.3 熱中症

過去にない猛暑が続く日本列島であるが、熱中症患者が急増していると世間は大騒ぎしている。確かに死亡者も出ている状況であり、私が少年野球に夢中であった時代の夏とは比べものにならないほどの暑さである。しかし、相変わらず騒ぎ立てるマスコミ報道により高齢者の皆さんは、恐怖におののいて生活をしている毎日である。いわゆるマスコミのあおり運転である。連日、診察に入ってくるお年寄りは、『 この前、熱中症にかかりました。少しふらふらしました。』とか『 少しふらついたので熱中症かと思って救急車を呼んで救急病院に行きました。』などと熱中症の意味もわからず簡単に話されます。しっかり冷房を利かせ、水分を摂取されている状況で熱中症などかかるはずがない。そもそも熱中症は高温・多湿な環境に長時間暴露され、体温調節ができなくなった状況で発症する。以前は屋外の炎天下で水分補給せず、運動や作業をして発症することが一般的であったが、最近の猛暑では、節電し温度が高くなる通気性の悪い室内(キッチン、バスルーム)でも起こる(節電熱中症)ことが増えてきたようだ。しかし、熱中症の殆どはⅠ度~Ⅲ度あるⅠ度(軽度)である。熱や湿気により体温が少し上がり、水分不足(軽い脱水)のために、血圧が少し下がり脳への血流が減少し、一時的なふらつきやめまいを生じるのである。頭を低くして涼しい場所で冷たい飲み物でも摂ればすぐに回復する。こういった対応もせず、救急車をよんで病院に向かう者が急増しているのである。はっきり言ってこんな程度(軽度)を熱中症と位置づけてしまったことに問題があるように感じる。中等度になると38℃前後の発熱が生じ、頭痛や嘔気、嘔吐が生じる。こうなれば医療機関を受診した方が良いと思われる。重症ともなると、40℃前後の発熱と、内臓機能障害、意識障害が出てくる。致死率も30%ほどあり危険である。生存しても脳機能障害や腎機能障害などの後遺症を残す場合も多い。まあ、世の中の熱中症騒動は大袈裟すぎて怒りさえ覚える。なぜ? 実は私は大学に入学した1年生の時、重度の熱中症(熱射病)で入院したことがあるからである。テニス部に入っていた私は、授業が終わって午後(土曜日)から練習に参加。1年生ながら少し上手かったので、上級生の先輩方の練習台になった。代わる代わる次から次へと先輩とストロークの打ち合い。雨の中で練習をしているかと思うほどTシャツはビショビショになり、汗の雫をポトポトと垂らしながらの状態だった。途中、休憩することもなく、水を飲むこともなく約4時間。終わった時は、凄い脱力感で下宿に戻るのもふらふらだった。風通しの悪い6畳一間で大の字をかいて休んでいたが、徐々に発熱。倦怠感が強く、一夜を過ごす勇気がなく、下宿仲間に頼んで病院に連れて行ってもらった。かなりの運動量と脱水を訴えたが、その医者は風邪と診断した。下宿に帰って更に発汗が増した。冷蔵庫の中には飲み物もなく、少しの水道水を飲んで凌いだ。翌朝(日曜日)、下宿仲間が心配して部屋を訪れてくれた時には意識もうろう。体温は水銀計の最大42℃を示していた。大家さんの車で大学病院に運んでもらい、『熱射病』の診断で緊急入院。頸部、腋窩、鼠径部など氷漬けと大量の点滴。お陰で夕方には37℃台まで解熱し、気分も楽になった。採血での検査値異常があったのか(教えてもらえなかった)、その後一週間も入院することとなった。幸いにも脳障害をはじめとする後遺症もなく、その後無事に医学部を卒業でき、医者になることができた。これが熱中症である。 ちなみに、大変お世話になった下宿仲間は今でも親交を深めている。入院で必要な物品を色々と買い出ししてくれたり、走り回ってくれた向かいの部屋の立道君(現 東海大学医学部衛生学公衆衛生学教授)、様子伺いに部屋を何度も見に来てくれた隣の部屋の宮本君(現 佐賀大学医学部微生物学教授)、『お~い、生きてるかい?』と朝一で部屋に来てくれた田中さん(現 蔦の会 たなか病院院長)には大変お世話になった。今、後遺症なくどうにか生きておれるのもこの友人たちのお陰と感謝している。


2018.6.13 非核化すれば安全な世の中?

昨日は歴史的史上初の米朝首脳会談が行われた記念すべき日であった。非核化や弾道ミサイルの廃棄などと日本を含む反北朝鮮諸国の国民は祈る思いで見守っていたものと思われる。世の中を破滅させるのは何も核やミサイルなどだけではないことを確認したい。科学者は実力を競って他人に作れないものを作ろうとする。当然、作ることに成功すれば使いたくなる。限定的ではあるが無人運転バスの試運転が内閣府が斡旋して各地で計画され期待されている。本当に期待していいのであろうか? 安全性に関しては現在は不十分であろうが、間違いなくこの課題はクリアーされる。となると、世の中の車は近い将来全て自動運転になるだろう。そうなると、運転手という仕事が世の中からなくなる。どれだけの人が職を失うことになるのか。しかし、自動車の無人運転などを検討するくらいなら、線路の上を走る電車の無人運転など凄く簡単なことである。実際、神戸のポートライナーは1981年から開通し、いまだ問題なく走っている。なぜ新幹線をはじめとする鉄道の無人運転に手をつけないのか? こんなの数年あれば全国の鉄道は運転士なしで走ることくらい簡単に成し得るはずである。それは核ミサイルのスイッチを押すようなことになるからであろう。鉄道関係の失業者が恐ろしい数に上ることになるのである。スーパーのレジ、コンビニのレジも無人化の方向に試行中。銀行は既に無人と言っていいほどリストラが進んでいる。便利だ便利だと愚かな人間は喜んでいるようだが、どんどん人間のできる仕事が機械に蝕まられ、働くことのできる人間は限られてくる。仕事をするからお金がもらえ、好きなものを買ったり食べたりすることができるのであるのに、働きもせずしてこの先どうして便利に便乗できるのであろうか? お金を稼がずしてバスにも乗れない。コンビニで買い物もできない。日本中は生活保護を受ける人間ばかりになるであろうが、誰が税金を払って国を支えるのであろうか? 便利なものを作れたからと必ず使ってしまおうとする時代をいつ止めることができるのか。非核化を成し遂げても、自分たちで時限スイッチを押していることに気づいているのであろうか。昭和の時代にベストセラー(映画化)となった『 猿の惑星 』をご存知だろうか?  進化した猿に狩られ奴隷となる知能のない人間が支配される惑星(未来の地球)の話である。『 AI の惑星 』である。


2018.1.22 どこかおかしい今の世の中… あおり運転?

言論の自由だなどと偏った思想や意見を発信している今のマスコミには呆れ返るところが多い。毎日のニュースを観ても、どの放送局も一語一句全く同じ言葉で感想まで同じことを言っている。全く、くだらない。感想ぐらい、放送局によっては180度違ったことを言っても良さそうなものである。記者会見ともなると、何十台ものカメラで眩しいばかりのフラッシュを浴びせて無数の写真を撮影している。カメラマンの立ち位置による少しの角度の差こそあれ、殆ど同じような写真が写るのであるから、せいぜいカメラマンなど2~3人いて(1人でもいいかもしれない)、代表で撮影して共用すればいいものをと思う。それも4~5枚の写真撮影でいいのではないか。何百枚も撮ってるようで、馬鹿みたいですね。いや、馬鹿なんでしょうね! 若者のテレビ離れのせいで、視聴率を取ろうと、高齢者向けの健康番組や高学歴者のクイズ番組が多くなってきた。健康番組も適切な説明やアドバイスを与えるならまだしも、的を外れた疾患の説明をするもんだから、心臓疾患が取り上げられた翌日には、同じような症状・不安を抱えてクリニックを受診する人(患者でない)が増え、診療に支障をきたす。クイズ番組だって、決まった芸能人ばかり正解する。推測ではあるが、番組本番で出題するクイズの問題集を前もって渡しておいて、その中からアットランダムに出題しているのだと思う。やらせである。あおり運転がニュースになったときも、あおられたドライバーが全て被害者のように報道しているが、確かに非常に極悪なあおり運転とその後の暴力は許しがたいものがあるが、逆の見方をすると運転マナーが悪く、携帯しながら追い越し車線をゆっくり走っている大バカ者や、運転が下手で後方から追いついてきた車の確認もせず、いつまでもダラダラと追い越し車線を走行しているドライバーが多い事実の紹介がされていない。この場合、法律的には道交法27条「 左側に寄って進路を譲る義務があり、5万円以下の罰金を請求されることになる」。どちらが被害者で、どちらが加害者でしょうか?ルール通りの運転をしていたら、世の中からあおり運転など起こらないのではと逆に思います。ある番組のアンケートであおられたことがあるという人の割合が50%以上あった。この数字をどうとらえますか? それだけ、下手なドライバーが増えた(二人に一人は下手なドライバー)ということを証明する数字です。おまけにドライブレコーダーを付けてあおり運転を摘発しましょうなどとテレビコメンテーターはそれこそあおっていましたが、確かに暴行を行うような極悪人対策には一つの効果があるとは思えるが、あおり運転を摘発するつもりが、あおられている方が道交法27条違反の証拠として警察に告訴されれば、立派な証拠となるので告訴は受理され捜査は開始され、後日罰金刑が下る公算が大きいと言えるでしょう。いや~、本当に下手なドライバーが増えました。最近特に目立つのが、狭い路地に左折するわけでもなく、普通の一般道を左折するときに大きく右に一度振ってから左折する車である。酷い時は、横の右側車線を少し越えてまで振って左折するものだから、右側車線を直進する車に接触しそうになっている光景を幾度となく見たことがある。ドライバー本人は何とも思っていないのでしょうね。もう少し、内輪差について勉強しなおした方がよいでしょう。マスコミのようなものの見方ばかりすると、ボサーとした自分を反省しない人間ばかりが守られ、被害者である人間が加害者にされてしまう。おかしな世の中である。


2018.1.12 世の中に風邪の咳に効く薬なし

年末、年始と風邪をひいて受診される患者さんが多くなっています。特に、咳が止まり難いと受診される方が多く、何軒か診療所を回って当院に来られる方もおられます。恐らくその逆で、当院を受診され咳が改善しないと他院を受診されている方もおられると思います。風邪はウィルス感染ですから罹ってしまうと自己免疫力で治すしかありません。ご存知の通り、一般的には4~7日ほどかかりますが、体からウィルスが消えても咳だけが長く(3~4週間)残ることはよくあることです。先日も一週間も咳が止まりませんと言って大騒ぎして診察室に入ってきた患者さんがいました。まあ、珍しい光景ではありませんが。すぐに肺炎だ、結核だと騒ぐ患者さんが多く、これもいらぬ情報の影響かと嘆いています。熱が下がらず咳が持続する場合は要注意ですが、熱もなく全体的に落ち着いてきたが咳だけが酷いという場合は3~4週間は覚悟しておかないと仕方ありません。昨年末にアメリカ胸部医学会が、市販の咳止め薬や民間療法を含め、この世に有意に咳に効く薬は存在せずこれらの薬の服用は推奨されないという見解を発表しました。当院では、希釈したコデインを含むシロップを処方することで少しは軽快している患者さんがいる印象です。但し、軽度の喘息が隠れている症例がちょこちょこおられ、この場合は吸入ステロイドなどを併用すると著効する場合があります。やはり風邪は引かないように日頃から手洗い、うがいなどの予防に心掛けることが大切ですね。

 

2017.7.20 ヒアリ(火蟻)、セアカゴケグモ、スズメバチ

「 先生、ヒアリ(火蟻)って怖い蟻らしいですね。刺されると死んでしまうこともあるらしいですね。」とMさん。「 小さな虫でも、大きな人間を殺してしまうなんて馬鹿にできないですね。」「 先生、ニュースで毎日騒いでますが刺されたらどうしましょう?」「 Mさん、実は3年ほど前の夏に、私は自宅の庭で夕方セアカゴケグモに咬まれた経験があります。右足の甲が一瞬チカッと痛みが走ったので、何もわからず手で足の甲に乗っている虫を叩き潰してビックリしました。1センチほどの正に背中が赤い蜘蛛でした。すぐに洗い流しで冷やしましたが、痛みは時間とともに酷くなり、細い焼け火箸を足の甲にジューっと刺されているような痛みで、その晩は寝ることさえできず、部屋の中を歩き回っていました。翌日も痛みは持続しましたが、少し軽快していたので診察はできました。」「 えっ、先生がセアカゴケグモに咬まれたんですか。ショックを起こさなかったのですか? 」。今、騒がれているヒアリにしろ、セアカゴケグモにしろ、スズメバチにしろ、その毒素で死ぬわけではありません。まあ、痛くて腫れあがりますが。そんな小さな虫の毒素が人間に入ったって大した量ではありません。怖いのはアナフィラキシーショックという過剰なアレルギー反応です。もっとも、この反応は初回で起こることはなく、一度咬まれてこれらの虫の毒素(抗原)が体内に入ることで IgE 抗体というものが作られ、二度目の毒素(抗原)の侵入で抗原抗体反応が起こってショックを起こす訳です。また、二度目の侵入で必ずショックを起こす訳でもありません。「 私も連日、ヒアリの報道をテレビで見ていますが、説明が不十分な上に、視聴者に対してヒアリを見つけたら冷静に対処するようになんて呼びかけていましたね。騒ぎ立てているのはマスコミの方なのにね 。」 マスコミよ! 知識のない君たちこそ、もっと冷静に視聴者に伝えるべきではないですか!


2017.7.9 救急車の頻回要請

今年3月、総務省が昨年の救急車の出動件数を 621万82 件の過去最高数と発表しました。その要因として、救急車頻回要請者の本来は救急車を必要としない要請が影響しているようです。全国で年間 10 回以上救急車を要請した数は 2,796 名で延べ要請回数52,799 回に上ると報告されています。 東京都においては年間 30 回以上の頻回要請者を集計すると、なんと年間の平均要請回数は 60 回、多い人で 200 回にも及ぶようです。これらの人たちの多くは、夜間一人でいると息が苦しくなり、死を覚悟して救急車を要請するらしく、救急隊が来ると間もなく症状は落ち着き、救急車も不搬送で引き返す例が多いようです。現場では30~45分ほどの時間を要し、この間に本来の救急患者の搬送要請に支障を来してしまうことになるわけです。精神的疾患を有する人や、高齢者の一人暮らしで孤独を感じている老人が多いようです。解決策、さてどうしたらよいものなのだろうか?


2017.5.31 17年目の診療

今日でクリニックの16年間の診察が終わります。明日からは17年目の診察が始まります。16年間という月日が只々早く過ぎ去ってしまったように感じます。40歳になる年に開業し、私も今は55歳になりました。昔でいえば定年退職の歳です。小学校2年生、幼稚園の年中組だった娘たちも立派?な大人になりました。今も日帰りの心臓カテーテル検査は行っていますが、10年間日帰りでカテーテル治療を行った実績に我ながら感動を覚えます。無床のビル診療所で行うことは、世界中を探しても当院だけでした。おそらく、最初で最後のクリニックだと思います。クリニックで診療をする傍ら、大阪府下の複数の病院、奈良県下の病院、滋賀県下の施設など関西圏のみならず、日帰りで月1回 福岡市内の病院にもカテーテル治療で出かけたことも今となれば懐かしい思い出になりました。疲れも感じず、全力でよく頑張ったなと自分を褒めてあげたい気分です。今も甘えることなく頑張っているつもりではあるものの、当時の自分に笑われてしまう程度の頑張りなのかもしれません。そろそろ引退かな?と感じる今日ですが、一緒に走ってきてくださった患者の皆さんを置き去りにするわけにもいきませんね。体調が悪く、気分が冴えない時もありながら、午前5時間、午後2時間半ほどの息継ぎなしの診察には終わるころには息切れと大きな疲労を感じます。体力が減退するのは当たり前。いかにモチベーションを保って仕事をするかがこれからの課題と感じ、17年目のクリニック診療に突入です。患者のみなさん、一緒に頑張っていきましょう!


2017.3.4 バカが多い世の中!?

診察室に入るや否や「 先生、最近凄く体調が悪いの。知人は病気になるし、私の吞んでいる薬は良くないと近所の人が言うんです。心配で今日、予約外で受診しました。」毎日元気にスポーツジムに通い、卓球に励んでいるMさん。「 近所の人は医者か医療関係者ですか? 」「 いいえ、全くの素人です。」「・・・?」全く、あきれ返ってしまいます。なんの知識もなく、どこからか根拠のない情報を仕入れ、よくも他人に平気で薬の批判などできたものである。また、そんなデマに惑わされて不安になる人もおかしなものである。つい先日、日本睡眠学会と日本神経精神薬理学会がNHKの『 ガッテン!』という医療情報番組に抗議し、厚生労働省からもNHKは指導を受けた事例がある。番組内で、「 睡眠剤を服用して睡眠障害を改善すると糖尿病が良くなる!」と適当な科学研究論文を誤用あるいは捏造して説明したらしい。現場では大混乱。こんなことをNHKでも平気で行う時代。視聴者もなんの疑いもなく平気で信用する。なんとバカな人間が増えてしまったことか。先日、面白い文庫本を購入した。『 バカが多いのには理由がある 』という本である。巻頭に、テレビ局のエリートディレクター曰く「 昼間っからテレビを見ている視聴者って、暇な主婦とか、やることのない老人とか、失業者とか、仕事をしていないまっとうじゃない人達です。彼らをひとことでいうとバカです。彼らを喜ばせるためにくだらない番組を毎日作っているんです。1000万人単位の視聴者を相手にするテレビ(マスコミ)の役割はバカに娯楽を提供することです。(要約)」といわゆる視聴率を上げるためには間違いであっても手段を選ばずといったところである。韓国や中国が反日を謳うとその国民が喜ぶのと同じようなものである。お互いが目覚めないとこの現象はどんどん酷いものになってしまうだろう。振り込め詐欺が老人を相手にどんどん手法を凝らしてエスカレートするのと同じで、マスコミは老人など病気で不安になっている人達に拍車をかけて不安がらせ、適当なことを言って視聴率を上げている。いざ、間違いを指摘されると「 訂正とお詫び 」などと簡単に謝罪して終わり。罰せられない分、振り込め詐欺よりたちが悪い。だからといって、お年寄りに信じるなと言ったところで難しい話である。要は、「 マスコミよ、もういい加減にしろ! 」と言いたい気分である。

2017.1.29 世も末

先日、Mさんが駅の階段でつまずいて転倒し、頭をぶつけて3針縫うほどの怪我をした。勢いよく後方から走ってきた人と接触したらしい。「 エスカレーターを使えばよかったのに 」と言うと「 先生、今のエスカレーターは縦に一列に並ぶような、どうも不可解なものになってしまって乗り口で渋滞するもんだから階段を使うことが多いです。」「 そうですよね。私も以前から気になって、この光景を見るたびに世の中の終わりだとも思ったりすることがあります 。」いつからこんなことになったのだろうか?はじめの頃は駅のエスカレーターだけであったのが、いまでは百貨店などありとあらゆる場所で全てのエスカレーターがそうなっている。東京と大阪は並ぶ側が違うと誇らしげに話しているTVを見たことがある。確かに駅の場合は、急がないと電車に乗り遅れそうになる場合など、片側を空けておいてあげることは悪くはないが、なぜ急ぐ必要もない百貨店などのエスカレーターまで片側を空けておく必要があるのか全く理解に苦しむ。中には急いで階下・階上に行きたい人もいるだろうが、その場合は「 すいません 」の一言を言えばいいだけのことである。私は意地悪にも、友人や家族とエスカレーターに乗る場合は、駅以外は敢えて横に並んで乗るようにしている。Mさんのいうように、乗り口で渋滞していることも結構ある。今の人たちは考えることより、右にならえをしておけば楽だと思う人が多すぎる。スーパーのレジでもトートバッグを持参している人は、『 NO レジ袋 』の札を買い物かごの上において精算をしてもらうシステムが普及している。「 レジ袋要りません 」と一言発することがそんなに煩わしいことなのか?店員との会話をしてはいけないのか? なんと、しらけた世の中になってしまったことか。そのうち、病院やクリニックでも同じようなシステムになるものと思われる。人工頭脳(AI)の登場である。コンピューター画面に向かって、症状を選択し指でクリック。画面の質問が次々に進み(銀行のATMのように)、最終的には『 あなたは、〇〇検査、△△検査を受けて下さい。○○検査は3番、△△検査は5番の検査室に行って下さい。』と、もはや医者に問診をしてもらうことはなくなることであろう。実際、今の大病院はマニュアル化されたガイドラインという症状や疾患に応じた検査と治療の虎の巻をみて、若い医師たちは医療に励んでいる。我々年代の医師と違って、事細かに問診なんぞしてくれない。一言、二言症状を訴えただけで、虎の巻に書いてある検査を無数といっていいほど多数の検査を一斉に予約し、患者さんに受けさせ後日結果説明。最早、人間である医者がする仕事ではなくなってきているのであり、後は立派な人工頭脳が出来上がるのを待つだけである。手術も、ダヴィンチという支援ロボットを使って遠隔操作で行うものであるから、直接患者さんに触れることもなく治療をしてしまう。今は病院内で行っているのであるが、そのうちロボットの操作器具を多数備えたセンターを1ヶ所に集約して、外科系の医師がそこから無線で手術をしてしまうことになるだろう。離れ島など医療水準の低い地域の人たちには有難い話だが、都会の病院でも現在のような多くの医者は必要なく、医師過剰な時代となってくることだろう。スマートフォン一つでなんでも調べる便利な時代だが、しっかり本を読んで調べ、そこで考えるという一連の行為がなくなってきた現代、破滅に向かっていると感じるのは私だけだろうか。


2016.12.30 今年も終わります

また今年も終わろうとしています。一日一日があっという間に過ぎてしまうせいか、一年もあっという間に終わってしまおうとしています。今年も 沢山の患者さんが診療に訪れ、元気を取り戻してもらえた方が多いことと思っていますが、私の力不足で元気が戻らない方もおられたことには、更なる勉強が必要と思っています。28年間医療に携わり、思い出に残る患者さんや、印象強かった疾患が思い出されるときがあります。研修1年目に90歳の明治生まれの Y さんが、心筋梗塞が原因で緊急入院。治療の効果もあって、元気になり退院されていかれましたが、入院中、胸痛や息苦しさを感じたときに舌下して使用するニトログリセリン錠(現 ニトロペン)について説明すると、「 先生、口の中で爆発しませんか? 」と真剣に尋ねて来られたことが今でも思い出されます。確かに、ニトログリセリンはダイナマイトの原料ですものね。O さんの場合は、胃カメラ検査でカメラを口に挿入するときに、「 Oさん、舌を出してべ~として下さい。」と私が指示すると、横になったまま、右人差し指を下まぶたに添えて、『 あっかんべ~』をされたとき、吹き出しそうになったことを今でも鮮明に覚えています。研修医時代は胃カメラもしていましたね。I さんは、いまでもクリニックに来てくれていますが、心臓外科の手術前にMRIをとることになり、私が研修をしていた R 病院には、当時 MRI がなく、私の車と、ご家族運転の車の2台が連なって(ナビがない時代)O 病院に行き、検査をしてもらったことも懐かしい思い出です。R 病院の心臓外科手術第一号でしたね。M さんの場合は、40歳台後半で不安定狭心症で R 病院を受診され、緊急でカテーテル治療をしました。家族性高脂血症が元々あり、内服薬では全くコレステロールが下がらないため、放置するとまた血管が詰まってしまうとの考えで、透析内科の医師にお願いして、2週間に一度、LDL アフェレーシス(透析の器械で血液中の悪玉コレステロールを抜いてもらう治療)をしてもらったことも、R 病院では第一号の治療でした。現在は、凄くよく効く内服薬ができ、お蔭で元気に月一回通院されています。N さん、S さんはともに心筋梗塞で緊急入院。カテーテル治療を担当しましたが、心筋のダメージが大きすぎて血流の再開だけでは延命効果も見込めず、当時世界的に行われ始め歴史の浅い『 Dor手術 』を心臓外科部長 T 先生に進言し、高リスクを覚悟で第一例、第二例の Dor 手術をしていただき、無事大成功を収め、T 先生の勇気と力量に敬意を表しました。今でもお二人はお元気に通院されています。まだまだ思い出される症例はあります。これからも、ところどころでご紹介します。 では、良き新年をお迎えできますよう心よりお祈り申し上げます。


2016.12.24 保険診療と人間ドック

「 先生、TVで血液検査をすれば癌がわかると言ってました。癌マーカーというのがあるらしいですね。 」と検査を希望するKさん。「 腫瘍マーカーのことですね。」 夫々の臓器にできる癌が特殊な物質を作り出し、血液中に放出してきます。これを検査で測定するものです。数十種類あります。例えば、胃がんや大腸がんであれば CEA などのマーカーが高値を示し、肝がんであれば AFP や PIVKA-Ⅱ などが上昇することがあります。しかしながら、あくまでも補助診断的な意味しかなく、異常値が出ても癌の存在は認められなかったり、正常だからといっても癌が隠れていることも良くあります。一般的には保険診療では特別な場合(癌の治療中や治療後の経過を見る目的)しか測定することはできません。「 Kさん、心配だから調べて下さいというのは皆さんが診察室で受けている保険診療ではできません。心配なので検査を受けたいという場合は、全額自己負担(保険がきかない)の人間ドックで検査を受けてください。心配だから・・・なんて検査していたら、保険制度がパンクしてしまいますよ。」 保険診療とは、何らかの症状があって病気を疑われる場合に医療機関を受診し、医師の判断で必要な検査や治療を行うことで、何の症状もなく、ただ心配だからというのでは保険診療にあたいしません。高齢者は1割負担なので自己負担が少なく、腫瘍マーカーのみならず、何でも心配だからと検査を受けたがる傾向が非常に強く感じます。検査の必要性は医師が判断するのであって、患者が希望するものではありません。


2016.12.11 続・悪魔の尿管結石発作

初回の尿管結石発作から丁度5年が経過したときに2度目の発作が起こり、その後5年経ち、6年経てど全く発作の気配もなく生活していたが、10年後の一昨年に3度目の発作が起こった。悪魔の到来である。2度目の時同様、午前の診察が終わった昼休みである。3度目ともなると、痛みで七転八倒しながらも、この先どうなるのかという時系列が頭をよぎり、不安は以前ほどではなかった。しかし、この時の痛みは過去2回をも凌ぐ激しさで、また長時間持続し、消失してもすぐに繰り返すというしつこさであった。結局、午後の診察には間に合わず休診させて頂いた。夜になっても痛みはひかず、只々床を転げまわっているばかりであった。結局、自宅にも帰れず、初めてクリニックで一夜を過ごすことになった。クリニックが4階にあるのだが、大げさでもなく、何度となく” 窓から飛び降りたくなる”ような気分であった。痛みに対して、ペインクリニックで麻酔を打ってもらったが効果なく、痛み止めの注射も効果なし。しかしながら、今回は、比較的ボルタレン坐剤が効果を表し、発作を感じるごとに早め早めに使うことで日々の診療、生活を凌いできた。1ヶ月が経過しても排石されない。痛みの度合いは軽くはなったとはいえ、坐剤なしではのたうち回る状況には変わりなかった。この時期に、B病院に出向して、患者さんのカテーテル治療をすることがあった。治療中は全く問題なく手技を進め終了することができたのだが、終わって20分ほどして発作が起こり出した。流石、プロだなと自分に感心しながら、坐剤を求め急いで自宅に戻った。10年前も、大阪市内の J病院に招かれてカテーテル治療を行ったとき、この時は既に結石が膀胱に落ちていたので痛みは全くなくなっていたのだが、頻繁にトイレに行きたくなるという状況で、我慢しながら手技を終えたという苦い思い出がある。結局、ボルタレン坐剤に感謝しながら結石が出たのは半年後であった。なんと出てきた石は長方形のスライドガラスを何層にも重ねたような見事な結晶で、11mm×7mmという恐ろしいほどの大きさであった。ここまで大きければ、本来、ESWL(衝撃波結石破砕術)の適応であったと思われるが、仕事を休む時間はなかった。先日、健診を初めて受けてみたが、CTで右腎臓に次の候補がしっかり準備をしているようだった。


2016.12.4 悪魔の尿管結石発作

ぎっくり腰になって5日が経ちますが、未だ痛みはひきません。朝、ベッドサイドに起き上がるのに5分以上もかかる状態です。連日、お年寄りの患者さんが「 朝起きる時に凄く腰が痛くて起き上がるのに一苦労です。」 という言葉が身に染みて良くわかります。私は20年ほど前から3回、この腰痛以上に恐ろしい尿管結石の発作を経験しています。まさに悪魔の到来です。例えようのない痛みで、少し腰に違和感を感じたとたん数分以内に激しい痛みが襲ってきます。初めて起こった20年ほど前は、朝6時ごろ就寝中に起こり、ベッド上で左右にのたうち廻っていました。数十分の格闘で少し立ち上げる余裕ができた時を見計らって、勤務先の病院に家族の車で運んでもらったことがありました。結局痛み止めなどの注射をうけるも効果なく、ベッド上でのたうち廻っているうちに少し楽になって帰りました(たまたまこの日まで夏季休暇中だったので業務にさしつかえませんでした)。翌日から、時折おとずれる痛みと闘いながらの仕事をしていましたが、幸い石が小さく間もなく軽快しました。その5年後にはこれにも増して激しい痛み発作を経験。開業して2年?ほど経過しており、幸い昼休み中のこと。やはり腰の違和感から始まり悪魔の到来です。4時間後の5時から夜の診察(今は3時から午後診)があるのでどうにか落ち着かせないとと祈りながら床の上をのたうち廻っていました。ベッドがあるのですが、痛みの激しさでベッドで休めるような状況でなく只々床の上をゴロゴロとのたうち廻っているだけです。痛みは徐々に軽快し、夜の診察にはぎりぎり間に合ったという状況で神に感謝して、何事も無かったかのように診察を始めました。しかし、3人目の診察で再び激しい痛みと吐き気を催し、トイレに駆け込んで吐いてしまった経験があります。職員に事情を説明してもらって、残りの患者さんの診察はできず、後日謝りの手紙を送ったことを覚えています。晩には落ち着き、帰宅しましたが、翌日の午前の診察中にまた激しい発作に襲われ診察を止めました。救急車で病院に行っても意味のないことを重々承知であるため、耐えるしかないのです。この石は2週間ほどで排尿時に飛び出してきました。米粒の半分ほどの小さなトゲトゲした憎き石でした。たった、こんな小さな奴に負けたのかという人間の弱さを感じました。そしてそこから10年後・・・・・

2016.11.29 五十肩に疲労骨折、そして ぎっくり腰

「 だいぶ寒くなってきましたね。でも先生はいつも元気そうで羨ましいですね。 」 とHさん。勤務医時代から拡張型心筋症で診ている患者さんです。内服薬の効果良く、もう20年ほどになりますが、心不全の症状もなく元気に過ごされています。「 いえ、10月から右肩が痛く、夜中うずいて十分寝れない日が続いています。50歳台に多い五十肩というやつですね。」 寝ると肩が落ちて痛みが悪化する夜間痛が特徴です。50歳台に多いようですが、学生時代テニスをしていた影響か、30歳台後半のときにも五十肩になった既往があります。痛みが落ち着くのに、半年から一年はかかる長丁場の疾患ですね。肩の寿命が50年ということなのかもしれません。「 先生も五十肩になるんですか? 」「 いえいえ、それだけではないのです。3週間ほど前、ゴルフのスイングをした時に、左腋下の痛みを少し感じて、先週一気に悪化。肋骨の疲労骨折らしいです。」「 え~、2つも同時に大変ですね。」「いやまだあるんです。今朝 自宅の階段を降りてるときに突然ぎっくり腰になって、今腰にベルトを巻きながら診察してるんです。今日は地獄ですよ。」 診察を放棄したいほど辛かったです。泣き面に蜂とはこのことです。長年、カテーテル治療に携わってきた影響で、12年ほど前に腰椎ヘルニアを発症。それ以来、1~2年に一度の割でぎっくり腰になってしまいました。医者も患者なのです!

2016.8.28 水銀血圧計がなくなった!

「 あれ、先生、新しい血圧計を買ったのですか? 」と開口一番、診察室の椅子に座るや否やAさん。「 ええ、そろそろ水銀の血圧計は世の中から消えていくことになりました。」 3年前に水銀に関する水俣条約という外交会議で2020年以降、水銀を使用した製品の製造販売が禁止になりました。実際、現在でも水銀(血圧計、体温計)の廃棄処分が非常に厄介で、その廃棄に支払う費用も高価なものになっています。丁度この時期に、医師会が各医療機関の使用できなくなった水銀計を一括し、安い費用でまとめて廃棄処理の手続きを取ってくれるということで、このタイミングでクリニック内の血圧計を一新しました。「 水俣病って、どんな病気でしたか? 」「1950年代に熊本の水俣湾、1960年代に新潟の阿賀野川流域で工場より垂流された水銀が魚に摂取され、それを食した人々が様々な中枢神経の病気を発症した公害病のひとつですね。」「 そういう事件がありましたね。」「今の中国が大気汚染や廃液の垂流しを大きく報道されていますが、実は昔の日本そのものなのですよね。別段、水銀計を垂流すわけでもないのですが、水俣病に罹患した患者さん達からすれば、憎き水銀ということになりますよね。これも時代の流れ・変化ということなのでしょう。しかし、長年毎日使ってきた水銀血圧計と さようならしたことは結構感慨深いものがありますね。」

2016.4.27 申年?

「 あ~先生、ここに来ると落ち着きます。今朝、R病院に半年ごとの定期健診に行ってきました。あの病院に行くと、急に気分が落ち着かなくなって苦しくなります。だから、診察受けようとここに来ました。」と3年前に僧帽弁形成術を受けたAさんが午後の診察にやって来ました。「 R病院での診察の結果はどうでしたか? 問題なかったのではないですか?」「 え~、特に問題なく経過良好とのことでした。」「 そうでしょうね。上手く手術をしてもらっていますよ。今、元気なのもR病院の先生方のお蔭ですね。」「 いや、でも先生、R病院に行くと急に息苦しく感じるんです。」「 入院中、何か怖いことがありましたか? トラウマになるようなことがあったのですか?」「 私は申年です。申年は気が強いはずなんですがね!」「 ・・・???」

2016.4.17 熊本地震

また大きな地震が起こりました。ついこの前まで元気に生活をされていた高齢者の方々や、大きな夢を持って勉強されていた大学生。家の下敷きになって命を落すことになるなんて、誰が想像できたでしょうか。病気で悩まれている人の命を救う医療は日々進歩を続け、病気という自然現象にも打ち勝とうと多くの研究者や医療関係者は努力を続けている。南海トラフがどうのこうの、その時の津波がどうのこうの、死者は32万人と想定などと馬鹿みたいにシミュレーションをホームページに載せて得意がっている大馬鹿な役人たち。阪神淡路大震災、東日本大震災そして今回の熊本・大分の震災すら予測もできない地震研究者。おまけにM6.5、震度7の地震が起こっても、その28時間後にM7.3の本震が起こることも予想できず、にもかかわらず得意げにTVに出演して胸を張って解説を加える。なんと時代錯誤の低レベルの分野であることか。反省すらせず、自然現象なので何とも言えないなどと平気で開き直るこの態度に腹が立つ。草津温泉、箱根温泉周辺が大噴火する可能性が高いなどと言っていたが、あれはどうなってしまったのか。もう少し、国家も資金を出して有能な科学者を集め育てる時期に来ていることに気づいているのだろうか。2009年にイタリアで300名ほどの死者を出した大地震で、地震専門家6人が一審判決で禁固6年の有罪判決を受けている。その後、二審で無罪にはなったようだが、検察が上告を検討し再度有罪になる可能性もあるらしい。間接的とはいえ、それくらい人命を扱うプロフェッショナルは覚悟をもって仕事をするべきという判決に思える。車は最早ハンドルを握らずに走行できる時代にきているのに。

2016.3.30 健診、人間ドックで異常! いや正常!!

人間ドックや健診を受けて異常が認められれば医療機関の受診を勧められ、再検査や治療が開始される。しかしながら、異常と指摘されたことが実ははなから異常ではなかったということが結構ある。先日も、「 健診で糖尿病と高脂血症と言われ、再検査を受けるよう言われました。結構悪いのでしょうか? 」と健診結果を持参され診察室で相談されたFさん。「 血糖値が102、HbA1cが5.9% ですか。これは正常値ですね。総コレステロールが210、LDLコレステロールが128ですか。これも正常値ですね。」「 エッ、どういうことですか?」 健診や人間ドックでは日本人間ドック学会と健康保険組合連合会が独自に健康な人から集めた検査値の分布の中央の95%を含む数値範囲を統計的に表わしたもので、なんの指標にもなりません。臨床の場で用いる判断値は、専門学会(動脈硬化学会、高血圧学会、糖尿病学会、循環器病学会など)で疫学的調査をされ、将来心筋梗塞や脳梗塞などを起こしてしまうことが予測され、予防が必要であると判断される検査閾値のことで、簡単に言えば糖尿病や高脂血症は予防を怠ると心筋梗塞や脳梗塞を来す疾患であるため、安全な値まで治療して下げておきましょうというのが臨床判断値です。この値は長年に多大なデーターを集積され検討されてきた値で、人間ドックで使う基準値とは全く比較になりません。「 Fさん、血糖値は110以下、HbA1cは6.2%以下が正常値(判断値)です。総コレステロール値は220以下、LDLコレステロール値は139以下が正常値です。ですから、貴女はともに正常ですから今の時点では心配いりません。」「 そうですか。安心しました。」「 いえいえ、高いお金をかけて健診を受けて、正常なのに異常と言われ、時間とお金を使ってクリニックを受診するなんて大損ですね 。インターネットで調べれば、各々の正常値(臨床判断値)が載っていると思いますので、これからはそれを調べてからクリニックを受診された方が良いですね(笑)」

2016.3.27 高血圧! 一度薬を飲むとやめられないという戯言

いつの時代からなのか、高血圧の薬を一度飲んでしまうと二度とやめられないという戯言(たわごと)が世に出回ってしまっている。先日も半年前に高血圧が気になりクリニックを受診されたYさんが、「 先生、暫くは血圧は安定していたのですが2か月ほど前から150mmHg以上がちょこちょこ出るようになってきました。治療は必要でしょうか?」「血圧手帳を見せてください。」「 確かに140mmHg未満の日は少なく、140~150mmHg以上の日が多くなってきましたね。そろそろ降圧剤の服用が必要かもしれませんね。」「 でも先生、血圧の薬は一度飲んだら一生やめられないのでしょ!?」「・・・?? 」 血圧の変動は、早い人で40歳前後、平均的には60~65歳あたりで高血圧と言われる値(140/90)を超えてくることが多いですね。中には80歳になっても全く血圧が上昇しない人もおられますがこれはごく一部の人達です。生活習慣がどうのこうのと立派な先生方は言われますが、私は加齢現象のひとつと考えています。顔に皺が増えるように、髪の毛の量が減るように血圧は加齢とともに上昇するものです。一部の人を除いて、いつか 血圧が 140/90 を超える時が来て、当然年々歳は増える訳ですから血圧はさらに上昇していくわけで、血圧の薬は必要となり、年々、やめれるどころか増えていくことになります。高い血圧を無症状だからと放置しておくと、脳や心臓をはじめ全身の動脈の病的変化(動脈の狭窄や閉塞、変形、瘤形成など)がおこり、7~10年後あたりに突然救急車の世話になって最早元の体には戻れない状態になってしまう危険性が高いことを覚えておかれるべきでしょう。

2016.3.18 帯状疱疹(へルペス)

高齢になれば免疫力も弱まりかなり多くの人が帯状疱疹(ヘルペス)に罹った経験があると思います。命取りになるような疾患ではないのですが、高齢になってから罹るほどその後の神経痛で悩まされるやっかいな疾患です。先日も「 先生、右の腰あたりがピリピリして何とも言えない痛みが2~3日前から出だしました。昨日整形外科に行ってすぐにMRIを撮ってもらったのですが、加齢による腰痛と言われました。でも、何とも言えない痛みが治まりません。」「 ちょっと、痛むところを見せてくれませんか。」Sさんは服をたくしあげて痛む腰を見せてくれました。「 あ~、なるほど。Sさん、これはヘルペスですね。よ~く見ると3つ小さな丘疹(湿疹)がありますよ。抗ウィルス薬を呑まなければ どんどん増えて火傷のように帯状に湿疹が広がり、痛みも更に酷くなりますね。薬と軟膏を出しますから、早速服用して下さい。1週間呑み切って下さいね。」「 整形外科で腰痛の薬をもらったのですがやめた方がいいですか。」「 まあ、痛み止めですから呑み続けてもらってもいいですが、神経痛にはあまり効果は期待できません。神経痛用の痛み止めをだします。」ヘルペスは、小児期に罹った水疱瘡のウィルスが消滅することなく長年潜伏(冬眠)しており、抵抗力の弱った時にヘルペスとして復活します。左右どちらか片側にしか出ません。また、電線の上にカラスが群れをなして止まるように、このウィルスは神経の上に止まるように広がるので、顔や胸~背や腹~腰など体の半周(片側)に局所的に出ます。あちこちに散ることはありません。何とも言えない、しつこい痛みが2~3日続いた後に湿疹が2~3個出だすのが特徴で、この時に皮膚科か内科を受診し、診断されれば比較的治癒は良好です。しかし、このタイミングを逃して遅れると、ヘルペス後神経痛に悩まされることが多く、ペインクリニックに数か月通院する場合が多くなります。しかし、いろんな病気ありますね。

2016.2.26 ヒートショック

最近、ヒートショックという言葉をよく耳にしませんか。浴室での突然死を指す言葉です。 いつもご夫婦で月1回、クリニックに通院され、年末に胃がんが見つかり、腹腔鏡下で胃がんの治療を受け、年始には元気に復活されたK氏。その10日後に手術を受けた外科の主治医から『 風呂場で心肺停止状態で奥さんに見つけられ、先ほど救急車で搬送されて来られましたが死亡が確認されました 』と電話連絡を受けた。絶句である。高校時代の友人のお父さんも一昨年、風呂場で亡くなられているところを見つけられた。寒い冬には高齢者の風呂場での突然死が非常に多く、年間の交通事故死の2倍ほどにも上ると言われている。暖かい部屋から寒い脱衣所で裸になり、更に寒い洗い場で今度は熱い湯をかぶってそのまま湯船に入るパターンではないかと想像する。血圧の乱高下で脳梗塞や脳出血、心筋梗塞を起こして突然死に至るなどと書かれている記事が多いが、否定はしないが殆どは失神による溺死と考える。暖かい部屋から寒い脱衣所、洗い場で血圧は上昇し、いきなり42℃程度の熱い湯をかぶり体も洗わず先に湯船につかる。今度は一挙に血圧は下がることになる。血圧が 90mmHgを一気に切れば、脳への血流は一気に減って気を失ってしまう。湯船の中で気を失うものだから溺れ死んでしまうことになる。洗い場で気を失ったのであれば溺れることはなく、間もなく気がつき何事もなかったかのように風呂を出ることになるだろう。お金はかかるが脱衣場と浴室には暖房をつけることが高齢者の場合の対策になるだろうし、熱い湯をかぶっていきなり湯船に長くつかることには十分注意することである。長湯の後、脱衣所で大きな立ちくらみを経験する人も多いと思うが、これも血圧が下がっている症状である。サウナで起こる立ちくらみもそうである。

2016.2.3 脚が浮腫む

「お変わりありませんでしたか?」「先生、大変です。最近、両脚が浮腫んでしまいます。足の甲も浮腫んで靴が履けない日もあります。心臓か腎臓が悪いんですか? 娘が言ってましたが。」「確かに心臓がかなり悪くなると浮腫みが出てくる場合もありますが、日常生活が普通にできていて心臓による浮腫みは考えられませんね。腎臓の場合、過剰にたんぱく質が尿に出てしまうような病気では浮腫みがでることがあります。Mさんの場合、先日の健診で尿検査は異常なく、血液検査で腎機能は正常でしたのでこれも心配ありません。安心してください。」「では、なぜ浮腫むのですか?」「連日数名の患者さんが同じような質問をされます。一言でいえば加齢現象、老化現象ですね。」「歳を取ると脚まで浮腫むのですか?」「心臓から送られた酸素の豊富な綺麗な血液が動脈を通って全身の各臓器に流れていくことはご存知と思います。その後は、毛細血管を通って静脈に向かいます。静脈は動脈と正反対に、足の先から重力に逆らって下から上に血液が流れて行きます。静脈の中には弁(静脈弁)が何ヵ所もあって、若いころは元気に下から上にバケツリレーのように血液を心臓へ押し上げています。しかし、歳を取ると(特に、長年立ち仕事やデスクワークをしている場合)、この静脈弁の動きが悪くなり上手く血液を重力に逆らって押し上げることができなくなります。そうすると、重力に従って、心臓より下にある足、脚に血液がうっ滞して静脈が広がり、更に水分が血管から皮下に浸み出していきます。浮腫んだ脚を指で押すと指の型がついてぺこんとへっこむと思います。静脈瘤ができるのもこれが原因です。」「どうしたら浮腫みは取れますか?」「弾力性の強い膝下までのストッキング(弾性ストッキング)を履くことや、時間があれば昼に下肢を胸より高く上げて20~30分横になって休めれば浮腫みは軽快します。しかし、酷い場合は皮膚科(形成外科)で静脈の簡単な手術をすることも結構あります。心臓や腎臓で浮腫む人より圧倒的に多い原因です。」

2016.1.22 皮膚が痒い!

寒くなると毎年皮膚の痒みを訴える高齢の患者さんが増えてくる。日に何件も同じようなことを訴えられる。老人性掻痒症いわゆる皮脂欠乏症である。皮膚にはほど良い脂と汚れが必要であるが、高齢になるとその脂分がかなり減ってしまいカサカサになる。そうなると痒みが出てくるのである。細かなことは皮膚科の先生に相談されるのが良いであろうが、一般患者さんの訴えの多いことには驚く毎日である。痒くなると何かの皮膚病かと思い、入浴時に石鹸で一生懸命こすりつける。かすかな脂分をも洗い流してしまうものだから、痒さは更に酷くなる。精々、お湯で汚れを流す程度にとどめ保湿に努めることが重要である。皮脂欠乏用のクリームや軟膏も複数の製薬メーカーから出ている。今、当院ではヒルドイドローションが最も患者さんから受けが良い。老いてくると、皮膚の痒みも出てくるのですよ。

2016.1.6 自己診療と自家診療

「先生、明けましておめでとうございます。今年の冬は暖かくていいですね!」「おめでとうございます。今年も元気で頑張りましょう!」「この冬はインフルエンザはどうですか?先生が罹ったら薬はどうするのですか?」「この冬は暖かいので例年と違って堺市ではまだ流行していません。当院も2日前にこの冬初めてのインフルエンザA型に罹患した若い女性が受診しました。第1号です。私自身が病気になったときは自分で診察(自己診療)や検査はできません。知り合いの先生に診察を受けて処方してもらわなければなりません。私の家族も同様です。家族を診察(自家診療)して、薬を処方することもできません。尤も全額自己負担での保険外診療は可能ですが、結局3割負担で済む検査や薬代が10割になり、診察料は保険請求ができません。私や家族には何の特典もなく、どちらかといえば損な状況にあります。変な法律(医師法)を国は作りましたね(怒)」

2016.01.03 正月

2016年が始まった。今日はすでに3日目。初詣といえば、住吉大社、大鳥大社、方違神社に行くのが定番で、子供の頃は、親にリンゴアメを買ってもらうのが楽しみだった。近頃は、神頼みすることも少なく精々家の近所の萩原天神に足を延ばす程度である。おみくじは余り信用しないと思いながらも一年間、財布の中に入れてお守り代わりにしている。今年はまだ初詣に行っていない。元来、吉凶を占うためのくじであったものが大凶や中吉、末吉などなんだか判り辛い表示になっている。調べてみると、大吉>吉>中吉>小吉>末吉>平>凶>大凶というのが一般的らしいが、神社によってその順位はまばらなようである。どちらにせよ、長年内容を眺めていると、どれもさほど大した差異はなさそうで、結論から言えば、『 今年一年も、努力して頑張り、健康に注意しなさい 』ということである。さて、今年一年はどんな年になるのであろうか?

2015.12.09 入浴剤

テープかぶれを起こしやすい S さん。「 先生、お風呂に入浴剤を入れようと思って買ってきたのですが、注意書きに皮膚や体質に異常のある場合は医師に相談して下さいと書いてありました。私は大丈夫ですか?」「へ~、そんなことが書いてありましたか。一緒に研究して作ったわけではありませんから知りませんよ」。小生も入浴剤を愛用している。家に帰って入浴剤のパッケージを眺めてみると、これがなかなか面白い。某会社のものでは、「十和田湖」と書いて青森の温泉を想像させ、そこに林檎の香りと書いてある。温泉にリンゴの香り? 更に下の方には「本品は、温泉の湯を再現したものではありません。」とも書いてある。「え~、じゃ温泉名まで表記してあるのに無関係?」折角、全国の温泉巡りが数百円でできると楽しんでいたのに、この表記をみて残念である。裏面には S さんが言っていた通り、皮膚あるいは体質に異常のある場合は医師に相談して下さいと記載されている。さらに、使用中、使用後に皮膚に異常が現れたときは医師にご相談下さいとも書いてある。医者側からすれば、勝手に作って、売って、儲けておきながら、何かあったら医者に行けとは何と身勝手な言い分かと反論したくなる。別段、医者側と入浴剤会社が提携しているわけでもなく、契約をしているわけでもない。小生から言わせれば、「異常が現れた場合は、まず当社にご連絡下さい」じゃないだろうか。まあ、なんでもかんでも何かあったら医者に相談しろみたいな商品が増えましたね。「そんなもん、神様じゃないんだから知りませんよ!あなた達で相談して下さいよ。」というのが本音である。しかし、今日の入浴剤も気持ち良かったな~。明日はどこのにしようかと・・・。

2015.12.04 低体温で免疫力が低い??という真っ赤なウソ!

「先生、私は低体温で元々35℃くらいしかないんです。体温が低いと免疫力が弱くて癌になりやすいと聞きましたが?」「誰に聞きましたか? また適当なテレビ番組でやってましたか?」そもそも体温ってどこの温度なのか一般的に理解されていない。哺乳類は恒温動物であるということは小学校、中学校の理科の教科書にのっている。恒温とは外気の温度に左右されないということで、人間の場合は中枢(体の中)の温度が37℃程度に保たれるようになっている。特に生命に大切な脳や心臓は他の部位を犠牲にしてまでも最後の最後まで37℃に保とうというメカニズムになっている。しかし、体の中心(内部)の温度なんて自己で測定することなど不可能に近く、その代替部として表面から比較的容易に測定できる ワキ(腋窩)、耳、口(舌下)、直腸が代用されるようになっている。要するに、皆さんが測定している体温はワキの温度や口の温度であって、個人差があり、体中心の本来の体温ではないということです。当然、ワキの温度など暑い日と寒い日で異なったり、汗でワキが湿っているだけで温度も変わります。歳を取ると、体からの熱の産生も落ち、体温調節機能も低下するので若い人よりワキの温度は低下します。高齢者の場合、35℃台の方が結構多いことに気づきます。それでも中枢の温度は37℃程度に保たれるようになっています。ということで、体温の低い人の免疫力は低いというのは、真っ赤なウソであるということが理解できると思います。最も、風邪をひいたりインフルエンザにかかったりするとこれらのウィルスは低温で繁殖しやすいため、体は発熱(中枢の温度上昇)して繁殖をくい止めようと反応します。同時に免疫細胞(マクロファージや白血球など)が発熱によって、ウィルスを活発に食べようと頑張ります。ですから、人間の体はちゃんと外敵が侵入したときには体温を上げて免疫を高めています。なにもない時から体温を上げる意味もなければ努力してあげることもできません。自分のワキの温度は各自が日頃から把握しておく必要はありますね。

2015.12.01 ふたりの子供

「寒くなりましたね。お正月は先生、ご家族でどこかへ行かれるのですか?」「いいえ、自宅でのんびりする予定です。」「お子さんは、大きいのですか?」「大学4年生と高校3年生です。」 開業当初は小学2年生と幼稚園に通っていた可愛い女の子たちでしたが、クリニックと一緒に成長し、大きく(??)なりました。デザインの仕事がしたいと頑張る長女と、プロゴルファーを夢見て小学3年生の時からゴルフを始めた次女。高校1年生の時には関西高等学校選手権で優勝し、関西チャンピオンになるもメンタルの厳しいスポーツに苦戦の連続である。来年からプロテストを受験するようであるが医者になるより難しい世界に挑戦する子供たちに、畑違いの私はアドバイスもできず陰でこっそり応援団長を務めている。「 がんばれ!子供たち 」

2015.11.25 大変なこと!?

「先生、1ヶ月もの間、殆ど横になったきりで動けず大変なことになってました。」と診察室に入るや否や元気な一声。85歳になるTさん。長年、大動脈弁狭窄症による心不全の治療で診ている患者さんである。「何が大変なことでしたか?」「先月、布団を押入れに上げようとしたら、そのまま後ろ向きにひっくり返ってしまいました。骨折はなかったようですが、背中などあちこちが痛くて動くのが苦痛で、この1ヶ月間は殆ど寝たきりに近い状況でした。」「Tさん、大変なことが起こったわけではないですね。後ろ向きに尻もちをついてひっくり返ったくらいのことなど大した問題ではありませんよ。しかし、この程度で1ヶ月も寝込むことになったのは、もはや体の方が大変なことになっているわけですね。自分では元気と思っていても、体はかなり大変なことになっているので、これからも無理せず体のかなりの老化を自覚しないといけませんね!」85歳で布団の上げ下げをするなんて、凄い時代になってきましたね。そういえば、小生の84歳になる母親も自転車に乗って毎日元気に買い物に出かけている。半世紀前では想像もできない現実である。脚元に注意して、いつまでもお元気で!

2015.11.18 世界一の平均寿命は薬のおかげ

「最近、薬をのんでいるのに血圧が上がってきました。」「そうですね。気温が下がってきたし、夏のように汗をかかなくなったのでどうしても血圧はあがりますね。」降圧剤服用で、130/70mmHg前後で安定していた血圧も、Hさん本人の申告通り、この日は156/82mmHgと高値を呈していた。「Hさん、もう1錠降圧剤を追加する必要がありますね。」「先生、整形外科や眼科も含めて沢山の薬を呑んでいるので増やすのは嫌です。呑まないといけませんか。」「呑んだ方がいいですね。貴女の年齢は79歳ですね。まあ、人間が自然に生きれる限界を大きく越えていますので、薬でコントロールしないとこの先、生きていけないでしょうね。実際、世界の平均寿命を大きく上回っているわけで、薬があるから長生きできていると思って下さい。」今年のWHOの発表した世界全体の寿命の平均値は71歳。日本は女性87歳、男性80歳、男女で84歳と世界一である。これは日本人が凄いのではなく、国民皆保険により誰でも、特に高齢者が安価で医療を受け、高価な薬を服用できることにあることを理解している人は少ない。それにも関わらず薬を呑みたくないと言うなど、他国の人々から見れば、何と羨ましい贅沢を言っているものだと思われているのである。イギリス81歳、アメリカ79歳、ロシア69歳、インド66歳 …… 最下位のシェラレオネは46歳です。世界の平均値が71歳ということは、75歳以上の後期高齢者なんて世界に存在しないことになります。今の医療のあり方に、特に高齢者の皆さんは感謝するべきと思いますね。決して薬なしでは生きられませんよ!

2015.11.6 カルシウム摂取は骨折予防に効果なし!

「娘にも勧められて毎日牛乳やサプリメントでカルシウムを多く取って、骨を鍛えています。」と自信満々に69歳のYさんは話された。「やっぱり、更に歳を取って骨折して寝たきりになるのは嫌ですからね」と続けた。「確かに高齢になって転倒でもすれば大腿骨を骨折して寝たきりになることが多いですからね」。「先生、カルシウムのサプリメントはいいですね!?」。「Yさん、残念ながら中高齢者には沢山牛乳を摂ったり、カルシウムのサプリを服用しても全体の骨の強化にはごくごく少しではあるが効果があるようですが、大腿骨や上腕骨の骨折予防にはならないという結果が先日、多数の研究の成績をまとめて解析した海外論文で発表されました。」「えっ、駄目なんですか?」「はい、残念ですが転倒による太ももの骨(大腿骨)や腕の骨(上腕骨)の骨折予防には効果がないようですね。逆に、尿路結石や心血管疾患のリスクが上昇するようで、不利益の方が強いようです。健康のためと思って牛乳を飲むのでなく、美味しく飲むのが一番ですね!」。また、これも適当な根拠のないコマーシャルに振り回された結果なのですね。

2015.10.30 ヨーグルトの罪

TVや雑誌のコマーシャルで「ヨーグルトは健康にいい!」なんていうフレーズに良く出くわす。一言でいうと便秘には少しいいかもしれない程度のことである。乳酸菌やビフィズス菌などと言われる善玉菌を増やしたところで「健康にいい!」などとは過言である。アレルギーを抑えるとか免疫を高めるとか適当な検査をして証明したなどとの戯言を食品メーカーは唱えている。医学的には、コレステロール特に悪玉コレステロールを増やし、動脈硬化を進行させ狭心症や心筋梗塞、脳梗塞の一員になるということがわかっている。クリニックにも折角、コレステロールのコントロールの良かった患者さんたちが、おかしなコマーシャルをみて過剰にヨーグルトを摂るようになって悪玉コレステロールが上昇した例が山積である。皆、その悪化した検査結果をみて「明日からヨーグルトをやめます」と口を揃えていた。

2015.10.29 悪玉コレステロールは下げろ!

特にこれといった大きな病気にかかったこともない50歳台のSさん。人間ドックでコレステロールが高いと指摘されクリニックを受診。「 先生、自覚症状は何もないのですが治療は必要ですか?」と。「あなたの場合は悪玉コレステロール(LDLコレステロール)がかなり高いので治療を勧めます。乳製品や魚介類の過剰な摂取はありませんね。」「特に普通です。」ということで内服治療を開始し、1か月半後に血液検査を行った。「見事に下がって、理想的な値になりましたね。」「先生、こんなによく効くんですね!服用を止めたらどうなりますか?」「ほとんどの場合は、逆戻りです。」心臓治療(冠動脈カテーテル治療)を行っている私からすると、狭心症や心筋梗塞で治療をしてきた患者さんの血管には、べっとり(もはやカチカチ)にコレステロールの塊がくっついているのに頻繁に出くわすため、一般の医師に比べて積極的に治療を勧めています。

2015.10.27 風邪の予防って?

「昨日から喉が痛くて風邪をひいてしまいました。しんどいです。」と日頃は元気なHさん。「先生は、風邪をひかないのですか?」「はい、風邪はひきませんね。年中うがいをしています。上手なうがいをすれば風邪なんて罹りませんよ。」「どうするんですか?」「私は特にイソジンなどの消毒液なども使用せず、水道水だけでうがいをしています。朝起きた時、午前の診察が終わった13時半ごろ、午後の診察が終わった18時ごろ、そして帰宅した時の4回は最低しています。手を石鹸で洗ってから一口の水を含んで喉の奥まで入れてオエッと少し涙目になるようなすすぎ方を2~3回します。喉の奥にくっついていたバイキンを吐き出すような感覚です。これでOKです。風邪の季節などで少し喉に違和感があるときは、さらにのど飴を1~2個舐めておけば予防は倍増です。」「へえ~、水だけでいいんですか。そういえば、先生は風邪の季節でも診察室でマスクをしていませんね。」「本来はマスクをした方が良いんでしょうね。しかし、咳を吹っ掛けられても 5~6時間以内に上手なうがいをしておけば予防はできるはずです。」

2015.10.21 人食いバクテリア

またTVで放送されていたのか大げさに診察室に入ってきた Oさん。「 先日、脛のところがチクチクしたので人食いバクテリアかと心配して皮膚科に行ってきました。大丈夫といわれホッとしました」。「また、TVででもやっていたの?」。「すごく進行が早くて脚が腐って死んでしまうんですね!人を食べるなんて怖いですね!」。「???」。「日本でも調査され出して15年ほど経っているようですが、ここ数年に症例数が増えてきたので騒がれ出したのかもしれませんね」。死亡率は3割ぐらい。死亡しなくても手足の切断など大きな障害を残す怖い病気です。「私も死ぬのではと、一人でパニックになっていました(笑)」。元々、扁桃腺炎や丹毒、蜂窩織炎、とびひ(伝染性膿痂疹)などの原因菌(A群溶連菌)で珍しい細菌(バクテリア)でもなく、庭で草いじりをして虫刺されした後に汚れた手で特に爪を立ててかきむしった数日後に脛のあたりを赤く腫らして受診する患者さんが結構います。これは丹毒、蜂窩織炎で皮下組織までの侵襲であり抗生剤を服用すると間もなく治癒します。尤も、丹毒や蜂窩織炎は黄色ブドウ球菌感染の方が多いようですが。このA群溶連菌が筋肉や血液にまで到達すると劇症化して3日程度で死亡してしまうようです。今のところ年間300名ほどの感染者で死亡者は90名ほどですから、昨年の交通事故死亡数が4,100名強に比べると危険性は非常に低い数字と感じませんか。よくもこんな低い数字の疾患をTVで堂々と放送したかと思うとこれを計画したTV局スタッフのレベルの低さが示されている。「Oさん、今まで生きてきて交通事故にあったり、怖い目にあったことはありましたか?」。「いいえ、全くないです」。「なら、心配しなくていいですよ(笑)」

2015.10.9 楽しく笑って死んでいく

「 お蔭さんで今月も調子良かったです。」とニコニコと診察室に入って来られたのは85歳のMさん。定期的な採血検査、心電図検査の結果が、まずまずであることを説明し、聴診と血圧測定を終えたところで、「 先生、最近2kg少々体重が増えました。食欲が旺盛で何を食べても美味しいんです。あきませんね!」と言われた。心筋梗塞の既往があり、当院でも日帰りで二度の心臓カテーテル検査を受け、更に数年前から間質性肺炎で大学病院にて2か月に一度の定期フォローを受けておられる。「 Mさん、何歳まで生きたいですか?」「先生、もう十分ですよ(笑)」「うむ。まあ、これ以上は太らない程度に好きなものを食べればいいじゃないですか。20歳も若ければ、食事制限は厳しく指導するところですがね(笑)」「ありがとうございます。好きなもの食べて、楽しく笑って死んでいきますわ。ハッハッハ。」。ほんと、人生が楽しそうです。陰ながら見守っています。お大事に。

2015.10.5 上には上が… 下には下が…

93歳の I さん。私が勤務医の時から、もう20年ほどの付合いになる。「I さん、20年前は若かったね!お互い歳を取りましたね!」。「 先生、この間からデイサービスに行っているんですけど、私より元気な100歳のお婆さんが居られて、ちょこちょこ説教されてます。この前も、あんたまだ若いのに・・・ってしかられました」って。「上には上がいるものですね!」と大笑い。 野球、陸上、テニス、スキーと運動の好きな私も、今ではゴルフしかできない体になってしまった。ここ数年、70台がちょこちょこ出るようになり、更なるレベルアップにと打球場(打ちっ放し場)にも足を運ぶのだが、案外この打球場は騒がしい。自分より下手な人間を見つけてああだ、こうだと結構でたらめな理論?をぶちまけている教え魔があちこちに出没している。あまりに騒がしい時は練習もほどほどに帰ってくることもしばしば。下には下を探す人達の多いスポーツ?ですね。

2015.9.25 鉄人親爺

「 先生、お蔭さんで毎日楽しくグラウンドゴルフをしています。」といつも元気に明るく診察室に入って来られる Uさん。心筋梗塞の既往があるにもかかわらず、既に85歳になるが自分の趣味を見つけ、毎日が楽しくて仕方がないようだ。学校の校庭や専用のグラウンドでゴルフのパターのようなクラブ1本でグラウンドに立てた旗を目掛けてボールを転がす競技である。誰でもが入りやすい競技であり、最近は男女問わずご高齢の方々に人気を集めている。しかし、更なる鉄人がいる。小生の父親である。間もなく83歳になろうとしているが、毎週本格的なゴルフコースでラウンドをしている。誘いさえあれば、週2回でもラウンドをしている。スコアーも大崩れなく90前後。競技会で既に2回のエイジ・シュートと、2回のホールインワンを達成している。昔はシニアチャンピオンやグランドシニアチャンピオンにもなっているシングルプレーヤーである。死ぬまでゴルフはするという意気込みで、筋力の衰えを嫌い、週2回ジムでトレーニングをしているという鉄人親爺である。当然、膝痛や腰痛を抱えてはいるが、休んでいたらもう二度とゴルフができなくなると頑張る姿に拍手である。

2015.9.21 膝が痛い、腰が痛い

「 先生、膝が痛くて長いこと整形外科に罹ってますが治りません 」、「 腰が痛いので整形外科や整骨院に罹っています。治してくれません。」という悩みが、循環器医である私に連日訴えられる。「 顔のしわと同じですよ。歳を重ねるとしわは増えますよね。努力しても若い時のように元には戻りませんよね。整形外科や整骨院は多少は痛みを和らげてくれますが、病的な異常がない限り、治してはくれません。というか治りませんよ。」と毎回説明。若い時なんて、気にもしなかったことが・・・。そういう私も2年ほど前からかなり酷い首筋の痛みや肩コリに悩まされ、診察の合間に湿布を張ったり、鎮痛剤の軟膏を塗ったりと辛い診療を毎日行っている。「 いつになったら治るのか? 」と早2年が経過。「 もう治らないのか! 」と歳を重ねていく自分を患者さんに置き換えて考える今日この頃である。

2015.9.11 マスコミ広告

開業して15年目になりますが、開業当初は蝿がたかるようにマスコミ関係から電話・FAX・ダイレクトメールが届いた。どこで調べたのか、『 先生のこれまでのご経験などを雑誌に載せませんか 』、『 連日、5分程度のコーナーを設けますので、ラジオ番組に出ませんか 』、『 週刊誌に名医シリーズで連載しますので如何ですか 』・・・まだまだ多数あった。流石に開業当初はクリニックも採算が取れるのかと不安になる医者が多いらしく、広告・宣伝にでもなればと了承するものがいるようだ。うまいこと足元を見ているといったところである。これ皆、かなり高額の金銭を払わなければなりません。ラジオは5分×2週間?ほどで150万円とか言ってました。週刊誌は白黒で1/4ページで30万円ほどと言っていたかな?まあ、お金を払えば名医になれたり、名門クリニックになれてしまうところが怖いですね。この話、当然医療関係だけでないことは推測できるわけで、「 行列ができる・・・店 」、うまいことサクラを並ばせて行列を作っているのですね(笑)。

2015.9.10 テレビ番組

若者たちはインターネットにて様々な分野の情報を手に入れている時代になったが、いまだお年寄りはテレビ番組で情報を入手することが一般的のようである。『 先生、昨日テレビで・・・・・してましたよ。・・・・・が血圧にいいらしいですね! 』などと沢山の患者さんが診察中にお話しされる。正しい情報、納得できる情報は殆どない。そもそもテレビ局の収入はスポンサーや番組取材から得るもので、いくら何百万の人々にテレビを観てもらっても一銭も収入にはならない。ならば、どうするか? スポンサーになってくれる相手の言うことを、真実が否かを調査することもなく大きくうなずいて過大広告する。この手口で今の番組はなりたっている。お酢がいい、ニガリがいい、バナナがいい、トマトがいい、玉ねぎがいいとダイエットを謳う番組が、その都度テレビ局にお金を払ってくれる団体や個人から言われた通りに放送される。全部バランスよく食べるのが一番いいに決まっている。報道の悪質さに加え、受け取る側の冷静さを無くした判断力の甘さが今の世の中であることに非常に残念で情けなく感じる。食べ物でダイエットなんてできませんよ。ダイエットしたいなら、食べないことあるいは食べる量を計画をもって減量することですね。

2015.9.6 血圧計

診察室で血圧を測ると20~30mmHgほど毎回高くなる患者さんがいる。知らず知らずに診察室の雰囲気に緊張してしまうようで、『白衣高血圧』という。しかし、診察室で使用する水銀計と違って、自宅では上腕で測定するタイプや手首で測定するタイプなどがあり、果たしてこれが正しいのかと疑問をもつ患者さんは少ない。診察室で測定する方が低くなるという『白衣高血圧』とは逆のパターンがある。『仮面高血圧』という表現もあるが、大抵は手首の血圧計を使用されている場合が多い。診察室に持参して頂き、3回ずつ測定をして比較すると、手首の血圧計は10~20mmHgほど水銀計より高い値が出る事実に遭遇する。実際、自分で家電に出向いて数種類の電動血圧計で試してみるとやはり手首の血圧計は20mmHgほど高い値がでる。新たに購入する場合は、上腕タイプを勧めるが、既に手首の血圧計を購入した患者さんは診察室で比較してもらい、補正した値で血圧を記録するのが良いと思われる。ただし、中には殆ど差の無い場合もある。

2015.9.1 猛暑!

今年の夏は、お盆が過ぎてから雨が多くなり、過ごしやすくなってきた。去年の夏は9月中旬まで異常な暑さが持続していた。毎年のことではあるが、診察室では「先生、今年の夏は異常に暑いですね!」って患者さんは訴える。しかし、この会話は毎年同じ内容が診察室では繰り返されている。皆さん一年前のことなんて忘れてしまっているのですね。きっと来年のこの時期、「先生、今年の夏は異常に暑いですね!」って聞こえてきそうです(笑)。